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“原宿系”アイドル 天晴れ!原宿が初チャートイン 新作は若年層ファンのトレンドを知る指針の一つに

2018年07月09日 00:22  リアルサウンド

リアルサウンド

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参考:2018年7月9日付週間シングルランキング(2018年6月25日~2018年7月1日・ORICON STYLE)


 2018年7月9日付の週間CDシングルランキングの9位には、天晴れ!原宿の『パレリラパレリラ/センチメンタルプリズム』がランクイン。記念すべき初のベスト10入りです。今回は、この「天晴れ!原宿」という一風変わった名前のグループについて紹介したいと思います。


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 アイドルには“原宿系”というジャンルがあり、ビビッドな色の衣装、若者のファンが多い点などが特徴です。そして、とにかく移り変わりが早い。そのなかでもこの2年間を生き残り、着実な成長を遂げてきたのが天晴れ!原宿でした。15歳から19歳までのメンバーで構成される7人組です。


 天晴れ!原宿にも若いファンが多く、ときには現場の事案が話題になることもありました。しかし、個人的にはボーカルユニットとしての魅力が大きく、特に朝比奈れいのまだ荒削りながら迫力のあるボーカルは、天晴れ!原宿の音楽のひとつの要だと感じてきました。


 その天晴れ!原宿が、勝負を賭けてきたシングルが『パレリラパレリラ/センチメンタルプリズム』。何をしたのかというと総選挙です。舞台の仕事があって中江さきが参加できなかったため、6人だけで総選挙が行われました。最下位は1カ月間スタッフを兼任します。


 また、同時に行われたのが原宿ジャック。クラウドファンディングで資金を募り、JR原宿駅竹下口にポスターを掲出し、竹下通りにBGMとして流し、アドトラックを走らせました。私も偶然アドトラックに遭遇したのですが、写真を撮っちゃいますよね……。こうして天晴れ!原宿のグループ名の由来の地はジャックされたわけです。


 ちなみに天晴れ!原宿のファンの総称は「竹の子」なのですが、なぜ「原宿」だと「竹の子」なのか若い世代は理解できないのではないかと不安になってきました。竹の子族、1980年代の話ですよ……。


 62回(!)のリリースイベントを開催するなか、発売されたのが『パレリラパレリラ/センチメンタルプリズム』。「パレリラパレリラ」の作詞はNOBE、作曲はKOJI oba。NOBEは、最近ではでんぱ組.incの『おやすみポラリスさよならパラレルワールド/ギラメタスでんぱスターズ』収録の「Ψ発見伝!」の作詞が記憶に新しいです。KOJI obaは、ももいろクローバーの「走れ!」の作曲者(michitomoと共作)として知られています。


 そのNOBEとKOJI obaによる「パレリラパレリラ」は、〈ちゅーちゅーちゅー〉というフックの効いた歌詞から始まり、フロアをヒートアップさせることに最適化されたかのようなBPM180前後の楽曲です。


 もう1曲のタイトル曲「センチメンタルプリズム」は、Yunomi作詞作曲。彼は、天晴れ!原宿に「原宿サニーデイ」という一大アンセムを提供しています。原宿系のアイドルのファンにとって、界隈の垣根を越えて知られているのが「原宿サニーデイ」であり、特に2017年の『関ケ原唄姫合戦』でのライブ映像は象徴的です。そこでは、さまざまなアイドルのTシャツを着た若者たちが、一斉に「原宿サニーデイ」の振りコピをしているのです。


 しかし、アッパーなダンスチューンである「原宿サニーデイ」とは打って変わって、「センチメンタルプリズム」はメロウでオリエンタル。大胆な肉声のサンプリングとエディットにも驚かされました。天晴れ!原宿の新たな一面を切り拓いたのが「センチメンタルプリズム」です。


 今、若いアイドルファンに何が刺さっているのか? ひとつの指針として聴く価値があるのが天晴れ!原宿の『パレリラパレリラ/センチメンタルプリズム』です。(宗像明将)