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TOYOTA GAZOO Racing 2018スーパーフォーミュラ第4戦富士 レースレポート

2018年07月08日 22:51  AUTOSPORT web

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初優勝を飾ったニック・キャシディ(中央左)と近藤真彦チーム監督(中央右)、2位の石浦宏明(左)、3位の国本雄資(右)
2018年全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士
ニック・キャシディがポールから逃げ切り初優勝!
2位に石浦宏明、3位国本雄資。トヨタ勢はホーム富士でトップ7独占

 1か月ぶりの開催となったスーパーフォーミュラ富士ラウンドでは、ポールポジションからスタートしたニック・キャシディ(KONDO RACING)が石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)の猛追を凌ぎ切り自身スーパーフォーミュラでの初勝利を飾りました。石浦が2位、国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が8番手スタートから好戦略で追い上げ3位。トヨタエンジン搭載車がホーム富士でトップ7を独占する速さを見せました。

 スーパーフォーミュラの第4戦が7月7日(土)、8日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで行われました。
 
 前戦SUGO大会から1か月以上のインターバルを経ての開催となったスーパーフォーミュラ。日本全国が豪雨に見舞われた週末、土曜日の予選は天候に翻弄される結果となりましたが、日曜日の決勝は好天の下で実施されました。
 
 今大会、来季より使用される新型シャシー『SF19』がお披露目。5年間にわたって“クイック&ライト”で迫力あるバトルを見せてきたSF14での、最後の富士でのレースとなりました。トヨタ勢はSF14に代わってからの4年間、富士では負け無し。SF14最後の戦いも勝利で締めくくるべく、富士のハイスピードコースに望みました。

予選
 7日(土)、富士スピードウェイ周辺は雨自体はそれほど強くなく、それでも不規則に代わる天候に翻弄される予選となりました。
 
 直前に行われたF3決勝レースは完全にドライコンディションでしたが、スーパーフォーミュラ予選が開始される午後2時半を前に、軽い雨が落ちてきて、セッションはウェット宣言に。しかし、完全に路面を濡らすまでには至らず、全車スリックでQ1に挑みました。

 まず1セット目のタイヤでアタックし、タイムを記録したところで全車ピットイン。タイヤを交換して2度目のアタックに出ましたが、この頃から第3セクターで雨が降り始め、タイム更新できないままピットへ戻ってくることに。関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)を先頭に、トヨタ勢は順当に上位タイムをマーク。今大会、スーパーフォーミュラ2戦目となるトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)のみが17番手でQ1敗退となりました。
 
 Q2は、濡れた路面でタイヤ選択が難しい状況のなか、スリックとレインタイヤ装着車に分かれましたが、レインタイヤ装着組は1周したところでピットへ戻り、スリックで再コースイン。チェッカー後、次々にタイムが更新される状況となるなか、ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)が惜しくも9番手。フリー走行でトップタイムをマークするなど好調だった山下健太(KONDO RACING)は、遅い車に阻まれ無念の12番手、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が13番手。小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はコースオフもあり、アタックに入ろうとした直前でチェッカーが振られ、14番手でQ3進出ならず。トヨタ勢は6台がQ3進出を果たしました。
 
 Q3は開始直前に一気に空が暗くなり、第3セクター方面で雨が降り始めるなかで開始。中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)のみがレインタイヤ、それ以外の7台がスリックでコースインしましたが、スリック勢は1周でピットへ戻り、レインでアタック開始。
 
 当初からレインタイヤでアタックした中嶋がタイムを出し、雨脚が強まっていったため、そのままポール確定かと思われましたが、終盤、石浦が1周のみのアタックチャンスで着実に好タイムをマークし中嶋のタイムを上回ると、最後の最後にキャシディがトップに浮上。キャシディが昨年の第6戦SUGO大会以来自身2度目となるポールポジションを獲得しました。
 
 石浦が3番手、中嶋4番手。関口、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、国本が6,7,8番手で決勝レースに臨むこととなりました。

決勝
 8日(日)は天候が回復。空にはやや雲が多いものの、日差しも顔を出し、気温30度、路面温度37度の蒸し暑いコンディションで、午後2時15分、55周で競われる決勝レースのスタートが切られました。
 
 ポールポジションのキャシディがまずまずのスタートを切った一方で、3番手グリッドの石浦と5番手グリッドの関口が素晴らしいダッシュを決め、TGRコーナー(1コーナー)へは3台が横並びで進入する状況に。しかし、キャシディは首位をキープ。石浦、関口がこれに続く形となりました。

 注目のタイヤ選択は、予選上位勢はソフト、後方はミディアムでのスタートが多く、ソフトタイヤでスタートしたキャシディと石浦が3位以下を引き離していく展開となりました。

 13番手と後方スタートながらソフトタイヤを選択した大嶋が序盤から目覚ましい追い上げを見せ、10周目には7位へ浮上。一方、ミディアムタイヤスタート組は9周目過ぎからピットインしタイヤをソフトへ交換。ソフトタイヤへ交換した集団では、国本が最上位、平川がこれに続く形となりました。

 レース中盤、関口らソフトタイヤでスタートした車両がピットへ向かうなか、首位を争うキャシディと石浦は、ソフトタイヤのまま周回を続行。34周目を終えたところでキャシディがピットへ向かいましたが、石浦は入らず、5周後にピットイン。この間に追い上げを狙った石浦でしたが、キャシディのすぐ後でコースに復帰しました。
 
 42周目に中嶋、44周目に大嶋がピットインし、全車がタイヤ交換義務を消化。中嶋は5位、大嶋は7位でコースに戻ると、前を行く関口と激しいバトルを繰り広げました。

 首位争いは、2位の石浦がキャシディを追いましたが、その差は3秒ほどのまま詰まることなく、キャシディが逃げ切ってトップチェッカー。自身スーパーフォーミュラ参戦2年目にして、念願の初優勝を飾りました。Kondo Racingにとっては10年ぶりの勝利となりました。キャシディはこれで、ドライバーズランキングでも首位に1ポイント差まで詰め寄ることとなりました。

 2位に石浦、3位に国本が入り、P.MU/CERUMO・INGINGの2台が共に今季初表彰台を獲得。4位に平川、5位に中嶋。6位は大嶋の猛追を最後まで凌ぎきった関口、そして13番手スタートから大健闘を見せた大嶋が7位でポイント獲得。トヨタエンジン搭載車が、ホーム富士でのSF14最後となるレースでトップ7独占の速さを見せました。

KONDO RACING 3号車 ドライバー ニック・キャシディ
「月を飛び越えたような気分です。こんなタフなレースで勝てて嬉しいです。近藤監督とチームのみんなに本当に感謝しています。スタートは、新しいシステムを導入して学んでいる最中だったので、安全に、ホイールスピンをしないように心掛けていました」

「結果的にスタートは上手くいったので、その後はソフトタイヤを持たせるためにペースをコントロールしながら走りました。途中、15周から20周ほどにわたって周回遅れの車両に阻まれてしまい、厳しい状況でもう駄目かと思ったこともありましたが、最終的に勝つことができて良かったです」

「前戦SUGOのあと、チームと共に開発を続けてきた効果が出た勝利だと思っています。チャンピオンシップは考えず、毎戦確実にクルマを良くしていくことだけを意識して努力を続けます」

P.MU/CERUMO・INGING 1号車 ドライバー 石浦宏明
「今週末はどのセッションでもニック選手が速く、スタート前まで悩んでいたんですが、結果的にソフトタイヤで長いスティントになるという予想は立てていたので、スティント後半に合わせたセットアップを狙いました」

「そのため、序盤はニック選手とほぼ同じペースでついていくのでぎりぎりでしたが、スティント後半になって、ニック選手が辛そうになってきたのと、周回遅れが多く出てきたことでチャンスができ、並びかけるまでは行ったんですが、逆転には至りませんでした」

「ニック選手がピットインした後プッシュしましたがやはり届かず、あそこで勝負がついてしまったかなというところです。悔しいですが、昨日今日と速さはありましたし、今シーズンの残り3戦に向けて、ぎりぎりチャンピオンシップ争いにも踏みとどまれたかなという感覚もあるので、後半戦は更に勝負していきたいと思います」

P.MU/CERUMO・INGING 2号車 ドライバー 国本雄資
「スタートのタイヤ選択ですごく悩みました。結果ミディアムでスタートするなら、前半のスティントで後のソフト勢に飲まれず、ミディアム勢のトップにいなくてはダメだとチームから言われていました。そんななかで完璧なスタートを切れて、ミディアム勢のトップで前半スティントを走ることができました」

「ただ、やはりソフト勢が速く徐々に離されてしまっていたので、12周目と早めにピットに入り、ソフトタイヤで後半長い距離を走るという作戦を採りました。そこから誰も居ないところで常にプッシュしてトップを狙っていったんですが、ちょっと足りませんでした。ラスト10周はタイヤのグリップはあったんですが、前にも追いつけず、最後までタイヤが持つか不安な部分もあったので、後続との間隔を知らせてもらいながらペースをコントロールするという、タフな展開を強いられました」

「抜き合いとかバトルは少なかったんですが、自分の中では結構ヒヤヒヤドキドキしながらのレースでした。ただ何とか3位表彰台を取ることができたので、チームの皆に感謝したいです」