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キャシディ、石浦との一騎打ちを制してポール・トゥ・ウインでスーパーフォーミュラ初優勝

2018年07月08日 19:01  AUTOSPORT web

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2018年スーパーミュラ第4戦で初優勝を飾ったキャシディ
全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦決勝レースが7月8日、富士スピードウェイで行われ、ニック・キャシディ(KONDO RACING)がポール・トゥ・ウインでスーパーフォーミュラ初優勝。KONDO RACINGとしても2008年の富士戦以来となる10年ぶりのトップフォーミュラ優勝を飾った。

 午前中のフリー走行終盤に雨がぱらつくシーンはあったものの、55周にわたる決勝レースはスタート時で気温30度、路面温度37度のドライコンディションで争われた。タイヤ選択は上位陣のほとんどがソフトタイヤを選択。5番グリッド塚越広大(REAL RACING)、7番グリッドの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、8番グリッドの国本雄資(P.MU / CERUMO · INGING)などがミディアムタイヤでスタートした。

 好スタートを切ったのはポールのキャシディと3番手スタートの石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、6番グリッドの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。3台が並びかけ1コーナーに飛び込むなか、ホールショットを奪ったのはキャシディだった。そして石浦、関口が続く。

 2番グリッドスタートの山本尚貴(TEAM MUGEN)は動き出しは悪くはなかったものの加速で伸びずにポジションを落とし、4番手。さらにミディアムタイヤの塚越もオープニングラップで順位を下げている。

 ソフトタイヤを履いたキャシディは序盤からファステストラップを更新しながら周回し、2番手の石浦以下に5周で約1.3秒のアドバンテージを築く。

 序盤に大きく順位を上げたのは、初めて走る富士で雨とウエットコンディションに見舞われた予選に苦戦し最後尾スタートとなったダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)。最初のスティントでソフトタイヤを選択したティクトゥムは、後方グリッドのドライバーのほとんどがミディアムタイヤを選択したこともあり8周で8つポジションを上げ、11番手につける走りを見せた。さらにティクトゥムは9周目の1コーナーで伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)をオーバーテイク。10番手に浮上する。

 9周目、その伊沢、スタート直後からペースが上がらず順位を大きく下げてしまった小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)、ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)がピットイン。ミディアムタイヤからソフトタイヤに交換している。

 その後もミディアムタイヤ勢のピットインが続き、ソフトタイヤに履き替えてコースに復帰、対してファーストスティントでソフトタイヤを選択したドライバーはラップタイムも速く安定しており、ピットインをせずそのまま走行を続ける。15周に入るとミディアムタイヤスタートのドライバーがピットインを終え、全ドライバーがソフトタイヤで走行する状況となった。

 トップ争いを繰り広げるのはキャシディと石浦のふたり。約1秒ほどのギャップで周回を重ねていたが、周回遅れのドライバーラインがラインを譲らなかったことでペースダウン。ピットイン組のトップを走る国本の方が約1秒ペースが速い状況が続き、レース終盤での逆転の可能性が出てくる。ファーストスティントソフトタイヤ勢としては、25周を走った関口がいち早くピットインしタイヤ交換。ミディアムタイヤでコースに復帰する。

 27周目、4番手を走っていた中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)が1コーナーの飛び込みで山本をオーバーテイク。山本も抜かせまいと横に並びかけられてもねばったが、ここは一貴に軍配が上がった。2番手スタートの山本だが、上位に浮上するきっかけをつかめず苦しいレースとなった。上位陣はすでにレース半分の周回をソフトタイヤで走っており、さらにここで路面温度が40度にまで上がっているという情報が入っている。

 32周目に入るころ、周回遅れのティクトゥムにトップのキャシディが詰まり、石浦と3台が接近してヘアピンでふたりはテール・トゥ・ノーズに。石浦はすぐにオーバーテイクボタンを使ってキャシディのオーバーテイクを試み、ダンロップコーナーでアウトから並びかかるもキャシディはインをしっかりと守り、ポジションは変わらず。

 そして35周目、トップのキャシディがピットイン。対して2番手の石浦はステイアウトを選択。石浦はトップを奪うため、キャシディがピットにいる間にコース上で懸命にプッシュする。まずは最初にピットに入ったキャシディはピット作業を12.9秒で終えコースに復帰した。

 コースに復帰したアウトラップ、コース上でキャシディを追ったのは国本だ。ファーストスティントミディアムタイヤ勢でトップを走っていた国本は、ピットインを終え4番手でレースに加わった事実上のトップ、キャシディに迫る。しかし、その背をとらえるところまではいたらない。

 ステイアウトを選択した石浦は40周を走り切りピットイン。発進時にギヤがニュートラル状態になってしまったことで少し手間取り、ピット作業を13.4秒で終えてコースに復帰したが、わずかにキャシディを交わすにはいたらず、国本の前、事実上の2番手でコースに復帰している。

 44周を終えると、最後までタイヤ交換をを引き延ばした大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)がピットイン。残り10周をきり、トップはキャシディ、2番手に石浦、そして3番手に国本というトップ3の顔ぶれ。石浦はキャシディをとらえることができず、最後にはキャシディが約4.2秒のアドバンテージを築いて、スーパーフォーミュラ自身初優勝をポール・トゥ・ウインを飾った。この優勝はKONDO RACINGにとっても10年ぶりの勝利だった。

 2位には今季自身初表彰台の石浦、そして石浦と同じく今季初表彰台かつ初ポイント獲得の国本が、8番グリッドから3位表彰台を獲得した。

 4位は平川、5位は一貴、抜群のスタートを見せた関口だったが、レースペースが上がらず6位でレースを終えている。ランキングリーダーの山本は8位にとどまった。トヨタ勢が得意と言われているとおり、富士でトップ7を占めたトヨタ勢に対し、山本の8位がホンダ勢最上位でのフィニッシュとなった。

 また、序盤にソフトタイヤで好走を見せたティクトゥムは11位、17番グリッドスタートのトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が10位となった。

 金曜、土曜と降ったり止んだりの雨に振り回されたものの、決勝レースではドライコンディション。どのチーム、マシンもドライでのセットアップを詰め切れない状態だったこともあり、レースペースがマシンによっていつも以上に大きな差となり、ドライバー同士の戦い、オーバーテイクの多い第4戦となった。

 ランキング2位のキャシディが優勝を飾り、ランキングトップの山本が8位に終わったことでシリーズは山本がトップ22ポイントで、キャシディが21ポイントと1ポイント差になり、今後のシリーズのゆくえがわからなくなってきた。