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何度もタイヤ選択が分かれるダンプコンディション。キャシディが逆転ポールを獲得【スーパーフォーミュラ第4戦富士予選】

2018年07月07日 17:31  AUTOSPORT web

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キャシディのポール獲得に喜ぶKONDO RACINGの田中耕太郎エンジニアと近藤真彦監督
全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の公式予選が7月7日、富士スピードウェイで行われ、雨が降ったり止んだりのダンプコンディションでタイヤ選択が分かれるなか、ニック・キャシディ(KONDO RACING)がポールポジションを獲得した。

 ウエットでの走行となった午前のフリー走行から一転、午後に行われた予選では曇天は変わりないものの、予選が始まる直前まで路面はドライ。各チームもドライでの予選を見越して、予選前にはスリックタイヤを準備していた。しかし、セッション開始直前に雨が落ち始める。レインかスリックか、タイヤ選択が微妙な天候のなかウエット宣言が出され、予選Q1が始まった。

■Q1:雨に翻弄されたセッション。前戦ポールの野尻がQ2進出逃す
 20分間で争われる予選Q1。ぱらぱらと小雨が降るものの路面はドライで、気温は25度、路面温度27度という低めの気温のなか、ほぼ全ドライバーが週末初のスリックタイヤでのセッションとなった。

 ファーストアタックでターゲットタイムを出したのは、ランキングトップの山本尚貴(TEAM MUGEN)。3周目で1分24秒181を記録している。山本のこのタイムを上回ったのが関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)で、1分23秒954をマークしリーダーボードのトップに立つが、走行するたびに順が激しく入れ替わる展開に。

 残り10分となったところで、各車がピットイン。ここで後半セクションのセクター3で雨が降っているという情報が入り、全車コースインを行うことなくピットで待機を行う。この時点で、前戦ポールポジションの野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、初の富士戦となるトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)などがノックアウトゾーンのままの状態となる。

 残り約7分で、各車再びコースイン。ほとんどのマシンがスリックタイヤで2度目のアタックを目指したが、コースはウエット状態で滑りやすい状況。ウォームアップでは、ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)が最終コーナーでスピンを喫している。

 このタイミングで小雨から本降りの雨となり、路面はウエットに。すでにスリックタイヤで走れる状態ではないことからほとんどのドライバーがピットインを選択するなかで、いまだノックアウトゾーンにいる野尻は最後まで諦めずにステイアウト。わずかな可能性に懸けてタイム更新を目指すがウエット路面をスリックでアタックするには厳しいコンディションで15番手以内に入ることができず、前戦のポールシッターがQ1敗退という波乱のQ1となった。

 また、千代勝正(B-MAX RACING TEAM)、野尻とともに雨が本降りになってからもステイアウトを選択したトム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、カーティケヤン、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)がQ2進出を逃している。

■Q2:スリックとレイン、スタートで分かれたタイヤ選択
 一時は本降りになった雨だが、Q2のスタートを迎えるころには上がった。だが、路面はまだ若干濡れている状況で、タイヤ選択が難しい状況。ただ、Q2からはスリックのソフトタイヤが使用できるため、Q1のミディアムタイヤよりウォームアップ性は高い。それでも、セッション開始直前にピットロードに並んだマシンのタイヤは、ドライバーにより『スリックのソフトタイヤ』と『レイン』で分かれた。

 把握できている範囲では、伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)、石浦宏明(P.MU / CERUMO · INGING)、関口がレインタイヤで、山本尚貴(TEAM MUGEN)がミディアムタイヤ、他のドライバーはソフトのスリックタイヤ、コースインした。

 わずかなインターバルで路面はほぼドライとなり、アウトラップで路面を確認したレインタイヤ勢は再びピットインしスリックタイヤに交換することになった。ただ、関口はやや遅れてピットイン。残り3分でレインタイヤからスリックタイヤに交換している。

 残り2分でターゲットタイムをマークしたのは塚越広大(REAL RACING)で1分24秒893。そのタイムを伊沢が上回りトップに浮上する。さらに平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が1分23秒328で1番手タイムを記録する。このまま平川がトップでQ2通過なるかと思われたが、国本が1分23秒200でタイムを更新した。

 タイヤ交換がやや遅れた関口は残り3分でコースインし、ワンアタックで5番手タイムをマーク。最後は8番手でQ3進出を決めた。

 一方でジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)、松下信治はここで姿を消し、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは野尻とともにQ3進出を逃している。伊沢、山下健太(KONDO RACING)、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)はQ2脱落を喫した。

■Q3:再びの降雨によるタイヤ交換のなかでトップタイムをマークしたキャシディ
 雨が上がった状況で迎えたQ3。しかし、徐々に空が暗くなり始め、セッション開始と同時に本降りの雨になる状況に。8台中7台がソフトのスリックタイヤを選んでいたなか、ただひとり最初からウエットタイヤでコースインしたのが中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)だった。スリックタイヤでスタートした7名のドライバーはコースインしてすぐに緊急ピットイン。レインタイヤに交換して残り約3分でタイムアタックを行うことになった。

 一貴は計測1周目で1分38秒840を記録してトップに。しかし、計測2周目にタイムが伸びない。このまま一貴が1番手タイムなるかと思われたが、チェッカー後、セッション中にレインタイヤに履き替えた石浦、キャシディ、山本が続々とタイムを更新。トップを奪ったキャシディがこのままポールポジションを獲得した。

 キャシディと山本はレインタイヤで2周アタックを行うことができ、石浦はピットインが最後になったこともあり、1回のみのアタックとなった。2番手には山本、3番手に石浦が続いている。一貴は最終的に4番手となり、5番手には塚越広大(REAL RACING)が入った。

 雨に翻弄された公式予選。明日の決勝は曇りの予報だが、クルマのパフォーマンスというよりもタイヤ選択とアタックタイミング、ドライバーの頑張りで順位が決まった予選だけに、天候の不安もあり、レース展開を予想するのが難しい。第4戦富士スピードウェイの決勝レースは7月8日、14時15分から行われる。