店舗禁煙化で話題になっていた串カツ田中が7月6日、禁煙化により客数が前年同期に比べ2.2%増えたと発表した。客単価は、前年同期比95%に落ち込み、売上高も97.1%へと若干減少した。しかし同社の担当者は、「今後客数が増えていけば、売り上げも上がる可能性はあります」と話す。
今年6月1日から国内192店舗のうち176店舗を全席禁煙にした。13店舗では、2階のみ喫煙可にしたり、喫煙専用室を設置したりすることで分煙を徹底。喫煙ができるのは、いずれも立ち飲みの新橋店(港区)と新宿京王フレンテ店(新宿区)、要町店(豊島区)のみとなった。
「女性のお客様や未成年のお客様が増え、客単価は減少」
その結果、客層に変化が見られたという。「会社員・男性グループ」が6%、「30代以上の男女グループ」も1%減少する一方、「家族連れ」は6%増加。「20代までの男女グループ」と「女性・カップル」も1%づつ増加した。
担当者は、客層の変化と売り上げ単価について、こう話している。
「女性の方は食べる量が少ないですし、未成年のお客様はアルコールを頼まれません。また未成年の方からはお通し代を頂いていません。さらに6月中は『感謝祭キャンペーン』と『200店舗達成記念キャンペーン』という値下げのキャンペーンをしていたため、売り上げは減少してしまいました」
6月1~14日に開催された感謝祭キャンペーンでは、通常100~200円の串カツ全品が税込み108円になっていた。また同月22~30日の記念キャンペーンでは、250~490円ドリンクが216円になっていた。こうした値下げも売り上げ減少に影響したという。
しかし来店客からは、「安心して子どもを連れてこれる」「妊婦でも来れる」と禁煙を歓迎する声が出た。従業員からも、「平日でもファミリー層が増えた」「土日は男女カップルが多くなる」といった意見が寄せられた。「働く上でも快適になった気がする」という人も。店員も受動喫煙の被害を受けずに働けるようになったようだ。
「小さなお子様に10年後には友達と、20年後にはご自身のご家族と来店してほしい」
串カツ田中には喫煙者の顧客も多い。それでも同社が禁煙に踏み切ったのは、顧客としての子どもを重要視しているからだ。
前出の担当者は、「10~20年に渡って食べつがれる食文化に成長するためには、お子様に食べていただく必要があると思っています。家族に連れられてきたお子様が10年後にはお友達と来店して下さる。20年後にはご家族を連れてきて下さる。長く愛される店舗づくりをすれば、長期的には売り上げも伸びていく可能性が高いと思います」と話していた。