茨城県城里町環境センターの女性嘱託職員(30代)が、当時の男性所長(50代)から、昨年10月から今年3月にかけて、業務の一部をフォローする見返りに「罰金制度」と称して、現金計57万円を受け取っていたことが報じられ、ネット上で話題になっている。
産経新聞が7月4日に報じたところによると、町は、今回の「罰金」を「恐喝」には当たらないと判断したものの、嘱託職員を職場内の秩序を乱したとして、契約満了を待たずに解雇することを決めた。(文:宮西瀬名)
「嘱託いじめかと思ったら違った」と困惑の声相次ぐ
嘱託職員は「罰金制度」を始めた理由として、「仕事を覚えてほしい」「やる気を出してほしい」とし、強制的に罰金を徴収していたわけではないと説明。受け取った現金には一切手を付けていなかったようで、「(所長が)仕事をきちんとやってくれれば戻すつもりだった」と釈明したという。
もちろん、罰金を科すことは労基法に違反する。ただ、「遅刻したら罰金を請求された」「罰金と称して給料から天引きされた」など、罰金に関する事件はちょくちょく耳にするが、それらの多くは、上司から部下といった力関係が明確に存在する中で行われる。
今回は部下から上司への罰金命令とあって、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)上では「嘱託いじめとは酷いな、と思ったら違った」「普通は立場逆じゃないですかね?」と困惑した様子のコメントが見受けられた。
委託職員の方がPCスキル上だった? ハラスメントが生まれた構図
記事によれば、所長はパソコンを使った書類作成などの業務を女性にフォローしてもらっていたといい、PCスキルに難があったのかもしれない。
パワハラは、役職上の優劣関係だけでなく、専門知識やスキルの成熟度によっても発生する場合がある。まさに今回のケースは、PCスキルが嘱託職員の方が優れていたことが、「罰金」という違法行為を発生させてしまったと言える。
「パワハラやセクハラなどのハラスメント行為は、上司から部下に向けられるもの」という先入観を持っている人は少なくない。だが、上司に対する何気ない行為が、ハラスメント行為と認識されてしまうことも、今の時代は配慮しなくてはいけないのだろう。