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海外で最新作は賛否両論に 『ジュラシック』シリーズに続編は必要なのか?

2018年07月06日 18:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 「『ジュラシック・パーク』の正統な続編」だと称された『ジュラシック・ワールド』が、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』として7月13日に再び日本に戻ってくる。


参考:『ジュラシック・パーク』をクリプラが60秒で解説!【動画】


 前作の騒動から3年後を舞台にした本作は、イスラ・ヌブラル島の火山噴火の予兆を知ったオーウェン(クリス・プラット)たちが再び島を訪れ、恐竜たちの救出を試みる物語。監督は前作のコリン・トレボロウからバトンタッチし、『怪物はささやく』『永遠のこどもたち』のJ・A・バヨナが務めている。ちなみに、今回脚本と製作総指揮として携わったトレボロウは2021年に公開が予定されている『ジュラシック・ワールド3(原題)』でメガホンを取る。


 アメリカなどでは6月22日から公開されているのだが、全米週末興行ランキングは封切りから2週連続でトップを記録し、すでに全世界興行収入も9億4,347万9,755ドル(約990億円)を突破。2018年の全米興行収入ランキングでは5位にランクインしている。しかし、その一方で批評は興行のような大成功を収めていないようだ。


 辛口批評サイトRotten Tomatoesによれば、批評家の肯定的なレビューは全体の51%とギリギリ過半数に達したというところ。これは、同サイトで53%を記録した『ジュラシック・パーク』の続編『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』よりも低い数字となっている。また、一般のレビューも58%となっており、緑色のポップコーンが倒れたアイコンが表示されている。


 『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』は、ジュラシック・パーク計画が消滅した4年後が舞台。伝説的な人気を誇る『ジュラシック・パーク』の続編だったため多くの期待がかかったが、パニックスリラー映画への路線変更や登場人物の間抜けさなどが酷評を集め、最低映画に送られるゴールデンラズベリー賞(通称:ラジー賞)の「最低リメイクor続編」部門を含む3部門にノミネートされるという散々な結果となった。


 そんな失敗があったため、アメリカでは公開前から「どうして登場人物は、第1作目で描かれた悲劇から誰も学ぼうとしないのか?」とネット上で議論に。第1作目では、人間の手では操れない自然界の生命力の驚異が描かれ、「生命体は繁殖する道を探す」というイアン・マルコム博士(ジェフ・ゴールドブラム)の名言もあったが、その教訓を活かさず『ジュラシック』シリーズはフランチャイズを続ける。


 Colliderでアダム・チットウッド氏は、「『ジュラシック』シリーズは『ミッション:インポッシブル』のような息の長いコンテンツではない」とコメント。それでもマネーメーカーであることに変わりはないため、製作が続けば観客が観に行ってしまうことを嘆いている。


 マルコム博士の「科学者たちは、何ができるかに夢中になって、それをするべきかどうかは考えない」という台詞を引用し、「彼らはシリーズを続けることに夢中になって、それをするべきかどうかは考えない」とも言っている。


 一方、スコット・メンデルソン氏はForbesで、財政的な観点から見ると本作は理に叶っていると主張している上、続編で描かれている背景はユニバース内において十分な意味を持つとも言っている。「『炎の王国』を観た後、必ずあなたはその次に何が起こるのか気になって仕方ないでしょう」と絶賛。オリジナル版が星4つだとすれば、すべての続編たちは星3つのクオリティーであるとコメントしている。


 ちなみに本作の最後では、『ジュラシック』シリーズの重要なサプライズが用意されている。間違っても席を立たぬように……。(阿部桜子)