F1の元最高権威者バーニー・エクレストンは、特に政治的な面についてはフェラーリに反対する立場であることが多かったが、スポーツマンシップに関して言えばフェラーリは規範となったと考えている。
前戦オーストリアGPの決勝終盤で、キミ・ライコネンはチームオーダーに従うことになるだろうと多くが予想していた。チームメイトのセバスチャン・ベッテルのチャンピオンシップでの獲得ポイントを増やすために、優勝したマックス・フェルスタッペンを追う2位のポジションを譲るよう指示されると思われたのだ。
しかしながらチームオーダーが発動されることはなかった。2002年の同じレースで、当時フェラーリの代表を努めていたジャン・トッドがミハエル・シューマッハーを選手権で勝たせるために、不名誉にもルーベンス・バリチェロを追い抜かせたような、スポーツの公平性を損なうようなことは避けたのだ。
「誰もがフェラーリのスポーツマンシップの例に倣うべきだ。レース終了直前にベッテルに抜かせることは簡単だっただろうが、フェラーリはそうさせなかった。彼らはスポーツの公平性だけでなく、キミの士気も保ったのだ」とエクレストンはSport Bildに述べた。
エクレストンは、フェラーリとベッテルが世界タイトルを賭けて強力な戦いをしていることを喜んでいるという。
「フェラーリは、私が長いこと望んでいたようなステップをようやく踏み出したのだ」と87歳のエクレストンは語った。
「セバスチャンは世界タイトルに実にふさわしい。フェラーリが3ポイントを諦めたことが、痛手にならないことを願っている」
メルセデスF1トップのトト・ウォルフもエクレストンの考えに同調し、フェラーリのクリーンで公平な姿勢を称賛した。
「我々もチームオーダーを出すことはなかっただろうし、彼らがそうしなかったことに驚いてはいない」とウォルフは述べた。
「このスポーツとファン、そしてドライバーのことを考えると、7月初めというシーズンのこの段階でドライバーを入れ替えるということは、非常に残酷な判断だ」