山形県労連は7月5日、山形市内で最低限必要な生活費について、30代夫婦と子ども2人の4人世帯で約45万円という試算を発表した。調査は2016年、東北地方の各県労連が、組合員を対象に実施したもの。山形県労連では1913部の調査票を配布し、336部を回収した。このうち、若年単身世帯は29部だった。
30代夫婦の世帯では、子どもは幼児と小学生を想定。家族4人で、山形市郊外の賃貸アパート・マンション(築25年、45平方メートル、2LDK、家賃5万円)に住んでいると仮定した。更新料は無いものとして考えた。
子どもが育つに従って、40代夫婦では50万円、50代夫婦では69万円必要
ひと月あたりの食費は家族全員で10万3017円。夫婦ともに弁当持参、もしくは家で食べるものとして算出した。外食は夫婦共に月1回の飲み会を想定し、一人4000円分が組み込まれた。
水道光熱費は月2万1169円。家具・家事用品費、被服費や教育娯楽費などは、原則として保有率7割以上の物を最低限の必需品としてカウントしている。家具・家事用品は、例えばトースター(2400円)、1リットル分の電気ポット(3315円)、全自動で7キロ入る洗濯機(3万9800円)などが含まれる。これらは、市内の大手スーパー・量販店で最低価格、最多価格、最高価格を調べ算出していて、6年間同じものを使うことを想定した。
被服・履物費のうち、礼服・喪服一式、背広、オーバーコート、ジャケット、腕時計や財布、イヤリングやピアスなどの外出用品は、「人前に出て恥をかかないよう」最低価格を避け、最多・標準価格で算出。これら以外の品目については、最低価格で試算している。
男性の場合、1着2万1384円の背広を2着買い、4年間使用することを想定。女性は、3万9800円のフォーマルドレス1着を10年着るものとして考えた。クリーニング代や子どもの被服費も合わせ、月あたりの費用を割り出すと、被服・履物費はひと月あたり1万2873円となった。
このほか、軽自動車1台の維持費や通信費で5万5291円、教育費の2万6986円、保健医療費の7392円などを合わせると、月あたりの消費支出額は36万15円。社会保険料や税金が5万4042円、予備費を3万6000円考え、ひと月最低45万円が必要と算出した。
子どもが育つと、教育費の増加もあり、ひと月あたりの必要最低額は更に増える。40代夫婦と子ども2人の家庭では、ひと月約50万円、50代では約69万円必要という試算になった。
調査結果を受け最低賃金の大幅引き上げを求める
調査では、25歳独身者で山形市内郊外の賃貸アパートに住む場合の試算も出している。家賃5万円、食費約4万円、貯金を1万7300円すると考え、交通費や被服費なども含めると、ひと月に必要な最低額は約22万円だった。
1日あたり8時間働くとすると、月22万円得るためには、最低時給として1267円必要だ。しかし、現在の山形県の最低賃金は739円と、試算結果と比べると500円以上の差がある。
県労連は、「今回の試算結果を山形地方最賃審議会・山形労働局に示し、大幅引き上げを求める」としている。