30号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND 4
チャン・インターナショナルサーキット
開催地:チャン・インターナショナルサーキット(タイ・ブリーラム県)/4.545km
6月30日(予選)
天候:曇り コースコンディション:ウエット~ドライ 観客数:9417人
7月1日(決勝)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万219人
またしてもツキを欠いたシリーズ第4戦、足回りのトラブルで無念の今季初リタイアを喫す
年に一度、海外でレースが行われるスーパーGTシリーズは、今年で5回目の開催となるタイ、チャン・インターナショナルサーキットを舞台に第4戦、『Chang SUPER GT RACE』を6月30日~7月1日に開催した。
高い人気を誇り、全8戦で争われるシリーズに、今シーズンもaprは2台のトヨタ プリウスZVW51を走らせ、#30 TOYOTA PRIUS apr GT3年目のタッグとなる、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。ここまでの3戦、どうにも#30 TOYOTA PRIUS apr GTには不運な展開が続き、未だ入賞ならず。
特に天候に翻弄されることが多く、本来の実力を出し切れずにいる。その意味では海を渡って、普段と異なる環境でレースをすることは、これまでの悪しき流れをリセットするには絶好の機会となるかもしれない。今回の舞台、チャーン・インターナショナルサーキットは前半に3本のストレートを、後半にテクニカル区間を備え、まったく性格を異にするのが最大の特徴である。
エンジンパフォーマンスに定評のある FIA-GT3の方が前半では有利なのは明らかな一方で、コーナリング自慢のJAF-GTには後半の方が有利とあって、どちらがタイムを大きく影響を及ぼすか。アップダウンのほとんどない、しかも幅の広いコースは、随所にオーバーテイクポイントを設けており、激しいバトルが期待できそうだ。
なお、#30 TOYOTA PRIUS apr GTは、昨年まで蓄電装置にリチウムイオンバッテリーを採用していたため、ハイブリッドシステムを外さなければ渡航が許されていなかったものの、今年からキャパシタに改められたことで、初めて海外のレースでも装着して参戦が可能になっている。
公式練習 6月30日(土)10:00~11:35
タイでのレースはこれまでシリーズ第7戦として開催されることが多かったが、今年はシリーズ第4戦に改めての開催となった。この時期は雨季の始まりということで、雨の心配はあったものの、レースウイークの始まりとなる公式練習に関しては、どうやらその心配はなさそうだ。
ただ、相変わらず気温は高く、セッション開始を控えた段階で30度にも達しようとしていた。最初に#30 TOYOTA PRIUS apr GTのシートに乗り込んだのは佐々木選手。スタート同時にピットを離れ、すぐにピットイン。最初のセットを終えた後に、まずはセットアップが進められていく。
ほぼ10分を経過したところから、本格的な走行を開始。周回を重ねるごとタイムを伸ばしていって、佐々木選手は1分34秒772をマークしたところで2度目のピットイン。4周の計測の後、早々に永井選手と交代することとなる。
しっかりコースとマシンの習熟を進めていった永井選手は、3回のピットを挟んで、実に走り続けること50分、かなりマイレッジを稼いだ格好だ。このセッション、自己ベストとなる1分35秒670をマークしたところで、ふたたび佐々木選手に交代。GT300単独のセッションで、永井選手の詰めたセットを再確認すべく、コースを激しく攻め立て、最後に1分34秒146をマークしたところで走行を終了することに。あとは予選に挑むだけとなった。
公式予選Q1 6月30日(土)15:15~15:30
またしても#30 TOYOTA PRIUS apr GTは、天候に翻弄されることとなった。公式練習の時には広がっていた青空が、その後黒い雲に覆われたと思うのも束の間、強烈なスコールに見舞われたからだ。幸いスコールだけあってすぐにやんだものの、コースは一転してウエットコンディションになってしまう。
水はけの良いコースではあるのだが、大事をとって予選は15分間のディレイで開始された。今回もQ1担当は佐々木選手だ。セッション開始からすぐにピットを離れずにいたのは、少しでもコンディションの良くなるであろう、後半に勝負をかけたがゆえ。7分間経過したところから走行を開始、ライバルの多くは周回を重ねることタイムを詰めていたため、狙いとしては的中したことになる。
しかし、1番ソフトのウエットタイヤをチョイスするも、なかなかタイヤにグリップが出てこない。計測3周目で1分45秒122をマークした佐々木選手であったが、最後いちばんおいしいラップでもウエットタイヤは発動せず、それ以上のタイムアップは果たせずじまい。22番手に終わったものの、Q2終了後の再車検でトップと3番手の車両に違反が発覚。全タイム抹消となったことで、ふたつポジションが繰り上がり、決勝には20番手から挑むことが決定した。
永井宏明選手
「雨によって、かなり厳しい予選となってしまった。タイヤをコントロールできる状況になく、まったくアタックできずの状態でした。下位に沈んだのは、MC、JAF 車両が多いことからも我々にとっては不運としか言えない。明日は、晴天でのレースならば着実に順位を上げてポイント獲得を狙いますので応援のほど、よろしくお願いいたします」
佐々木孝太選手
「フリー走行からブレーキがロックする現象がありそれも予選までには改善されておらず。ウエットタイヤもまったく機能せず。カローラ三重チームとして、最高の環境を整えてくれメカニックも頑張っているのにまったく結果に繋がらないのが悔しくって仕方がない。明日は、トラブルの原因を見つけてもらい気持ちよく走りたいです」
金曽裕人監督
「流れが悪すぎる。セットが良くないのか、トラブルなのかハッキリしない症状が出ているのは確かである。それにしても、佐々木選手をもってしてもアタックができない状況で予選が終わったことが、あまりにも情けない。今回の目標は入賞、ポイント獲得。明日は是が非でも狙い獲りに行きたい」
決勝レース(66周) 7月1日(日)15:00~
通常は土曜日に、公式練習の後に行われるサーキットサファリが、今回は日曜日に行われることとなり、続いて行われるウォームアップと合わせて、それぞれ20分間が決勝レース前、最後のチェックの機会となった。サーキットサファリには永井選手から走り始め、まずは1分38秒278をマーク。終了間際に佐々木選手が乗り込み1周だけ計測、そこでは1分36秒580を記していた。
続くウォームアップでも永井選手から走り始め、よりセットアップを進めるため、一度ピットに戻りはしたが、そのまま永井選手は走行し、レースセットでありながら、このレースウイークの自己ベストにも迫る1分35秒681をマークする。
その意味で得られた自信は大きかったに違いない。そして残り4分で佐々木選手がふたたび乗り込み、1分34秒669をマークしたところでチェッカーが。全車がグリッドに並んだ時点での気温は32度、路面温度は47度。ドライバーには過酷な条件ではあるが、タイヤにとっては想定内。今回も#30 TOYOTA PRIUS apr GTでスタートを担当する永井選手が、果たしてどこまで順位を上げてくれるか注目された。
背後につけるマシンは本来ならば上位につけていたはずの車両、そのためオープニングラップでふたつ順位を落としてしまったものの、2周目にはひとつ順位を上げて、その後も2台のマザーシャーシと同タイムで周回を重ねていく。
そんななか、スタート違反のあった車両が、ドライビングスルーを行なったことで順位を上げる。さらに11周目にも順位を上げて、永井選手は17番手に浮上。こうやってコツコツと順位を上げていってくれることが期待された。
ところが15周目、ブレーキロックにてスピン、最後尾に後退。21周目にはトータルでの周回数が3分の1を超えたこともあり、早くも#30 TOYOTA PRIUS apr GTをピットに戻すことに。
交代した佐々木選手は、どこまで巻き返してくれるのか。すでにレースは荒れ気味となっていた。素早いピット作業もあり、入賞が届きそうなポジションにてコースイン。さらに走り始めてからの佐々木選手は慎重に順位を上げながら周回を重ねていた。
しかし、34周目に佐々木選手もマシントラブルであろう原因からスピンを喫し、コース脇でストップ。足回りの損傷があり、佐々木選手をもってしても再始動ならず。ここまで続けてきた完走さえ果たせず、今季初めてリタイアを余儀なくされた。悔やんでも悔やみきれない結果に終わったものの、シリーズもここから後半戦に突入。
まわりはしっかりウエイトハンデを背負った状況のなか、幸か不幸か、まったくのノーハンデで挑めるメリットは絶対にあるはずだ。今度こそ……の期待を、8月4~5日に富士スピードウェイで行われる第5戦に込めることとしよう。
永井宏明選手
「スタート直後はかなり混戦でスペースの確保が難しかったが、数周後には数台のマザーシャーシと対等に走れました。前後マザーシャーシばかりの中でのバトルは特性も似ていることから抜きどころが少なく苦戦しました。順位も着実に上がっている最中、少し突っ込みすぎもありましたがスピンは余計でした。まだまだ、セットも決まっていないので自らも含め、磨き上げたいと思います」
佐々木孝太選手
「永井選手スタートで序盤は前の車についていけましたがブレーキトラブルが直っておらず、バトル中にスピン。20周過ぎにドライバー交代して追い上げましたが、10コーナーで足回りが壊れてコースアウト。残念なリタイアとなりました。まだまだ課題は山積みです。 31号車は2位表彰台! PRIUSは戦闘力あるはず!! スポンサーのみなさま応援してくれているみなさま、すみませんでした」
金曽裕人監督
「シャシーのパッケージ問題を早期に解決する必要である。なかなか欲しいところに届いておらず、更にトラブルも発生。今が試練かも知れないが、ドライバーもマシンも秘めた性能は高いことは分かっている。それを最大限に引き出すのが僕の仕事ですので、後半戦は必ず巻き返しますので、次戦以降にご期待ください」