年齢を重ねるごとに、以前は好きではなかったものが気に入ってしまう。そんなことってないだろうか。
たとえば若い頃は興味がなく、中継番組を観ても退屈で仕方なかったゴルフが大好きになるおっさん、そこらに山といる。年齢を重ねることで、今まで特に好きでもなかった物の良さが分かることは、往々にしてある。(文:松本ミゾレ)
控えめな味に魅力を感じるようになった人多数
先日、おーぷん2ちゃんねるに「年取って良さが分かった物ンゴwww」というスレッドが立った。スレ主は一例として「がめ煮 うまい」と書き込んでいる。いわゆる筑前煮だ。分かる、分かるぞ~。全部の具材がいつの間にか好物になってしまっていて、いくらでも食えそうだ。
スレッドには食べ物に関する書き込みが多い。「漬け物やな」「茄子」「湯豆腐」メインのおかずにはならなくても、控えめな味に魅力を感じるようになった人が多いのだろう。僕も、茄子は20代の頃まで全く食べられなかったけど、いつしか大好物になってしまっている。
「お茶。これはマジで」という書き込みには、
「わかる。30過ぎてからは甘いコーヒーすら受け付けなくなった」
と賛同する声もあった。「木綿豆腐。昔は絹一択だったのに」という声もある。
食べ物以外には「スポーツ中継の面白さ」「赤ちゃんや子ども」
食べ物以外の意見も書き込まれている。
「赤ちゃんとか子供。なお自分は結婚すらできない模様」
「演歌」
「スポーツ中継の面白さ」
といった塩梅に、色んなコメントがある。僕はまだ味覚以外は子供なので子供は嫌いだし、スポーツ中継も大嫌いなんだけど、演歌の魅力には気付いてきた。本人の自覚はなくとも、年齢を重ねると好みの傾向ってのは変動していくようだ。
ところで、この原稿を書いている今、僕は誕生日を迎えて34歳になった。今夜はお祝いをしようと、子供の頃からの好物であるピザポテトと穴子の巻き寿司、それからエビフライを用意した。
が、最近はどうも揚げ物だとか、ポテトチップスだとかが食べ切れない。夜食のカップ焼きそばなんかも半分と食えなくなっている。その代わりに、すまし汁やら酢の物、それからコメントにもあった筑前煮辺りを好むようになった。
以前好きではなかった食べ物がどんどん美味しく感じられるようになったのは、個人的には嬉しいことである。食べ物の好みに限らず、「好き」の許容範囲が増えるのは素晴らしい。その点からして、僕は10代20代の頃より今の方が色んな意味で毎日楽しい。楽しみの選択肢が年々増えるのは良いもんだ。