初日午前のセッションで最初の1周のみに装着されたスカウター型眼鏡モニター 7月3日に行われたスーパーフォーミュラの次期型シャシーSF19のシェイクダウンテスト、午前セッションの走行開始直前にガレージ内がザワめきはじめた。「あれは何?」「SF19の新しいモニターか?」「ホンダの新型モニターじゃないか」「(ドラゴンボールの)ベジータみたいだ!」さまざまな憶測とともに、SF19と同じくらい注目を浴びることになったのが、写真のスカウター眼鏡型モニターだった。
外観からもわかるように、このスカウター型眼鏡モニターにはラップタイムらしき細かな文字から、大きめの数字までさまざまな大きさの数値が表記されているのが外から確認できた。おそらく車両データ、タイヤの内圧やラップタイムなどが表示されるものと推測されるが、以前にはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGはドライバーの心拍数などヘルスデータの取得などにも積極的であった。
スカウター型眼鏡モニターは外観の表示カラーも、グリーン、パープル、ブルー、オレンジ、ピンクの5色が確認できたが、カラーバリエーションは豊富なようで、まだまだバージョンがありそうだ。モニターに表示できる情報量や視認性などなど、そのデザイン性と合わせて、とにかく未来感が半端ない。なにはともあれ気になるデバイスだ。
この日のセッション後、シェイクダウンを担当した野尻智紀が会見でわずかにこのスカウター型眼鏡モニターについて「チームに問い合わせてほしい」とお願いしつつ、わずかにコメントを残した。
「外から見えるのと、中から見るのでは違うと思います。(外から数字は逆ですが)中では正常に見えています」
ドライバーとしては実戦で導入してほしいデバイスなのか?
「そのためにテストしていると思います。今のフォーミュラカーでは視線は上で、モニターは下(ステアリング)なので、視線を変えないといけないのが無駄な動きになりますよね。すべての情報を同じ視線で見れるというのが狙いなんじゃないかなと思います」
「そういう新しい技術がこのスーパーフォーミュラでできれば一般乗用車にも使えるし、スカウターもできるかもしれない。相手の戦闘力が分かるように(笑)」
野尻が冗談で話す「スカウター」「戦闘力」とは、ご存知、世界的アニメ『ドラゴンボール』に登場するサイヤ人のベジータが『スカウター』という名で片眼に装着したモニターで、そこには相手の戦闘力が分かるというデバイスのこと。形状がそのスカウターに似ていることから、会見でも話題となった。もちろん、実際に相手のパフォーマンスを相手が数値で見れるというのはまだまだ先の未来の話になるだろうが、現在の車両データを表示して実用できるようになるのは、意外と近い将来かもしれない。
しかし、このスカウター型眼鏡モニター、実はこの富士ではその詳細だけでなく概要もまったくわからないままとなってしまった。今回のテストでの使用に関してはJRPでもホンダでもなく、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが主導して行ったもので、チームに問い合わせても、今の時点で話をすることはできないという。
とにかく謎だらけの新デバイスだが、実際に機能すればその実用性とこのデザイン性、そして未来感を含めて話題性は充分。AI技術ばかりが先行している自動車の運転で、ドライバー視点のこのような新しい創造的なデバイスの発信は、スーパーフォーミュラだけでなく、日本のモータースポーツにとって大きな魅力となる。
是非、この新デバイス、スカウター型眼鏡モニターの詳細と今後の続報を心より待ち望む。