2018年07月04日 13:22 弁護士ドットコム
2017年度のふるさと納税で、大阪府泉佐野市に対する寄付金が135億円余りと、全国の自治体の中で最も多かったとNHKが7月3日に報じた。2016年度に比べ、約100億円増えたという。100億円超えは全国の自治体でも初めて。ただ、他県のフルーツやビール、航空会社のポイントなども大胆に「返礼品」に据える姿勢に、ネット上では疑問の声が続出している。
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「返礼品は市と全然関係ない」「返礼品がビールだから寄付金が多いのではないか」ーー。NHKの報道を受け、ネット上ではこうした声が上がっている。地場産品以外を返礼品にする自治体はほかにも複数あるが、泉佐野市は特に目立っていることが、135億円超もの寄付金を集めたことからもうかがえる。
ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」によると、泉佐野市は、約1000種類の「返礼品」をそろえている。特産の「泉州タオル」や「季節の泉州野菜セット」も選べるが、他県や大手メーカーで作られる特産品も寄付額に応じて選べ、かなりの充実ぶりだ。
目立つものをあげてみても、鹿児島県産のうなぎや信州の桃、ビール類のプレミアムモルツ、エビスビール、よなよなエールなどがあり、さらには、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションで使えるポイントも返礼品としている。
ふるさと納税をめぐっては、総務省が4月1日、「ふるさと納税の返礼品は原則として地場産品にするように」との通知を各都道府県あてに出した。
ただ、法的拘束力のない通知ということもあって、「どこ吹く風」ということなのか。泉佐野市のふるさと納税の返礼品には、上述したもの以外にも依然として数多くの地場産品とは呼びがたい品々がそろっている。
このあたりのことを聞くため、弁護士ドットコムニュース編集部は7月4日、泉佐野市政策推進課ふるさと納税担当に取材を申し入れた。電話口で担当者は「いまバタバタで、答えられる担当者が忙しいんです」と話した。
ちなみにNHKの報道では、泉佐野市の千代松大耕市長が次のように話したことが紹介されている。「泉佐野市は財政破綻寸前だったので、ふるさと納税に積極的に取り組んできた。全国から多くの寄付が寄せられ感謝の気持ちでいっぱいです」。
また、過熱する返礼品競争に歯止めをかける狙いで、総務省は返礼品の調達価格を寄付額の3割以下におさえることを求めている。泉佐野市では現在この水準を上回っているため、今後見直していくという。
(弁護士ドットコムニュース)