モンスターエナジーNASCARカップは7月1日、イリノイ州ジョリエットのシカゴランド・スピードウェイで第17戦が行われ、最終ラップでカイル・ラーソン(シボレー・カマロZL1)とサイド・バイ・サイドの激闘を繰り広げたカイル・ブッシュ(トヨタ・カムリ)が優勝。シーズン5勝目を飾った。
第17戦の舞台となったシカゴランドは、これまでチャンピオン決定戦“プレーオフ”の開幕戦を務めてきたが、今年は開催時期が変更された。コースは1.5マイル(約2.4キロ)のオーバルで80周、80周、107周の3ステージ合計267周で争われた。
ステージ1は大きなクラッシュなどはなく順調に推移し、予選6番手から着実にポジションを上げてきたアリック・アルミローラ(フォード・フュージョン)がトップチェッカー。自身初のステージ優勝を飾ってみせた。
続くステージ2は最終ラップまでカート・ブッシュ(フォード・フュージョン)がラップリーダーを務めていたが、最終ラップのターン4でアウト側から仕掛けたケビン・ハービック(フォード・フュージョン)がオーバーテイクに成功して逆転勝利を上げた。
迎えたステージ3では、177周目にデニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)が単独スピンしてイエローコーションに。このコーション時のピットでカイル・ブッシュは10番手から6番手までポジションを上げる。
ピットでマシンのハンドリングを改善させたカイル・ブッシュはリスタートでさらにポジションをふたつあげると、トップを猛追。208周目に出されたコーション時にラップリーダーに浮上した。
その後は後方からハービックが追い上げてきたが、オーバーテイクは許さずポジションをキープ。レース残り30周のタイミングで約1秒までギャップを広げてみせた。
そしてレース残り19周、後方からポジションを上げてきていたラーソンがハービックを交わして2番手に浮上。この時点でカイル・ブッシュは充分なマージンを稼いでいたかに思われたがファイナルラップ直前にバックマーカーに進路を阻まれる不運があってペースダウンしてしまう。
これで両者はテール・トゥ・ノーズの状態でファイナルラップに突入。追いかけるラーソンはターン2の立ち上がりでバランスを崩し、カイル・ブッシュの右リヤに軽く接触、バランスを崩したカイル・ブッシュのマシンはコンクリートウォールに接触し加速が鈍る。
これでバックストレートでポジションが入れ替わり、ラーソンが先頭、ドラフティングしたカイル・ブッシュがテールにつける形でターン3へ飛び込んだ。
そして、このターン3への飛び込みで、今度はカイル・ブッシュがラーソンのリヤに接触。この衝撃でラーソンはバランスを崩してハーフスピンし、カイル・ブッシュはアウト側ウォールにヒットしてしまう。
ウォールにぶつかったカイル・ブッシュは、マシンを壁にこすらせるように走り、最低限のタイムロスでレーシングスピードに復帰。そのままチェッカーを受けて、劇的なシーズン5勝目を手中に収めた。
ハーフスピン状態に陥ったラーソンはクラッシュなどはせずに体勢を立て直し、2位でフィニッシュしている。
■カイル・ブッシュ「こういった戦いが嫌いならレースを見るべきじゃない」
「周回遅れに前を抑えられてスロー走行を強いられた」とカイル・ブッシュ。
「最終ラップでラーソンはスピンしそうになり、それを避けるために僕を“利用”した。だから、ターン3では僕が彼を利用したんだ」
「大変な1日だったけど、決して諦めず攻め続けた。チーム全員で勝ち取った、素晴らしい勝利だよ。もしかしたらこういう戦いが嫌いな人がいるかもしれないけど、そういう人はレースを見るべきじゃない」
2位に終わったラーソンはチェッカー後、カイル・ブッシュにサムズアップして戦いを称賛。レース後には「NASCAR史上に残るバトルだったんじゃないかな」とコメントしている。
「怒ってはないよ。彼のマシンを借りるような形でオーバーテイクしてしまったから、ターン3でやり返される可能性はあると思っていた。これで貸し借りはなしだよ」
「確かに少し彼のほうが得をしたかもしれないけど、気にしてない。カイル・ブッシュのことを悪く言うファンもいるだろうけど、僕たちは最高のショーをみせられたと思っているよ」
モンスターエナジーNASCARカップ第18戦は7月7日、フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われる。