台風7号の影響で7月1日、沖縄県で予定されていた2018年度前期の保育士実技試験が中止になった。試験は、自然災害で実施取りやめになった際の受験料返金や再試験実施といった救済制度がなく、受験者から「なんとかならないか」といった声が相次いでいる。
実技試験は、4月の筆記試験に合格した人だけが受験でき、沖縄では200人が受験予定だった。後期の実技試験日は12月9日と約半年の間が空く。慢性的な保育士不足が深刻化する中、「どうしようもない事情で受けられなかった、受かる可能性がある人を掬わないあたりどうなんだろうね」と、試験運営団体の対応を疑問視する人も多い。
保育士養成協議会「再試験も返金も、我々には判断権限がないため決められない」
保育士試験に関わる事務は、全国保育士養成協議会が47都道府県分すべてを請け負っている。手引書の印刷や配布、願書のチェックに加え、問題を作成する委員への依頼などを行う。
協議会によると、年1回実施だった2015年度までは、自然災害で中止になった場合には、予備の問題を使って再試験を実施していたという。保育士不足に対応するため2016年度から2回開催になった後は、試験問題作成委員の負荷や事務スケジュールから、中止になった場合の再試験はできないと伝えてきたという。
ただ、今回の中止による受験者からの要望を受け、「沖縄県からは、後期試験との間になんとか再試験を入れられないか、と言われてはいる」という。協議会はスケジュールの調整を行っているものの、「日程が密のため、対応できるかどうかは難しい」のが現状だ。
「再試験だけでなく返金を求める声も聞いていますが、我々は事務を行う機関。試験実施に関する法律上の権限は都道府県知事にあるため、我々が対応を決める事はできません。受験者の方々をお待たせするわけにもいかないので、厚労省や沖縄県と話し合い、今週中には結論を出してお知らせしたいと思います」
仮に再試験実施しても「これが前例にはなりえない」
今後、同様に自然災害で試験が中止になったときの対応については「今回のことが前例にはなりえないと思ってほしい」と話した。
「東京のような大規模な都市で自然災害が起きれば、受験人数も多く、すぐに再試験を行える状態ではありません。今回、もし再試験を実施するとしても、それを前例に『あのとき沖縄ではやったからうちでもできるはずだ』とは考えないでいただきたいです」
ネットでは自然災害時の対応について、「手数料を返すか、再受験出来るように最初から仕組みを設計しておくべき」という指摘も出ている。