平成最後の夏が到来した。これ、毎年思うことかもしれないけど、年々暑くて過ごしにくくなっている気がする。
それこそほんの20年ぐらい前は、まだ洒落で済む程度の気温と湿度だったような……まあ、気のせいかもしれないけど。しかしその20年のうちに、私たちの生活、トレンドは大きく変化している。これは間違いないことだ。(文:松本ミゾレ)
「パソコンより高性能な端末が手のひらサイズに収まって無線でインターネットできる」
先日、おーぷん2ちゃんねるに「20年前の人に言っても信じて貰えなそうなこと挙げてけ」というスレッドが登場した。書き込みもそこそこ面白いものが多いので、早速だけどいくつか引用してご紹介させていただきたい。20年前の自分と、その当時の周辺環境なんかも思い出しつつ読んでみてほしい。
「音楽業界衰退。CD一番売れてた頃やろ」
「20年前のパソコンよりもはるかに高性能な端末が。手のひらサイズに納まって無線でインターネットできる。それをほとんどの国民が所有しており、公共交通機関ではみんなその端末からインターネットをしながら時間を潰している」
「昔の軍艦が大人気」
このあたりは非常に、ここ20年の時間の流れを感じさせるものではないだろうか。日本の音楽シーンはたしかに大きく様変わりした。かつては、人気アーティストが握手券をセットにしなくてもCDの売上がミリオン、ダブルミリオンという状況がしばしば見られていた。ところが今はCDの売上そのものが落ち目で、代わりにダウンロード販売が主流になっている。
CDを集める楽しみは乏しくなったものの、個人的にはかさばらないデータで数千、数万もの音楽を持ち歩けるようになったのは嬉しい限りだ。
また、20年前、携帯電話は既にあったが、機能は「電話ができる」くらいでしかなかった。それが今や高性能端末を(使いこなせているかは疑問だが)、国民の大半が所有しているのだからガジェットの進歩はバカにならない。
それからこれだ。戦艦を擬人化したブラウザゲームが一部のオタクに受けたことで、今や「戦艦長門」とネット検索すると、本家本元の戦艦ではなく、美少女キャラばかりがヒットしてしまう有様となった。
加えて歴史上の偉人や英雄もまた、ソーシャルゲームなどで美少女化されたことで、検索してもそういった創作物ばかりが目立つようになっている。この状況もまた、20年前には到来することすら考えられなかったに違いない。
20年前、インターネットで買い物する日常を想像した人は少なかったのでは
「Amazonが日本を支配する」という書き込みもある。恐らく20年前の私たちは、「今ではネットでほしいものを買えるし、注文したらすぐに配送される」と聞いても、SFの中の話と捉えていたんじゃないだろうか。
当時は既にイオングループがジャスコを各地に出店し、商店街が閑散としていた時期だが、Amazonがそのとどめを刺したような形と言える。ネットの買い物は風情や人間味に欠けるという向きもあるが、そもそも買い物は便利であるのが一番。Amazonの出現は、ここ20年のうちにすっかり、日本の消費者に受け入れられている。
もちろんAmazonだけに限らず、今では各企業が生き残りを賭けてネットでの顧客争奪戦に躍り出ている。こういう状況だけを抜き取って考えても、20年という時間の長さを感じざるを得ない。
"十年一昔"とは言うが、その倍の時間が経過すると流石に、色んなことに大きな変化が生じているものだ。ちなみに、個人的に一番、20年前の僕に伝えたいことは「セガサターンじゃなくてプレステを買いなさい」である。