トップへ

『トーキョーエイリアンブラザーズ』夏太郎はハマり役? A.B.C-Z 戸塚祥太、役者としての資質

2018年07月04日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 A.B.C-Zの戸塚祥太が、7月23日からスタートする連続ドラマ『トーキョーエイリアンブラザーズ』(日本テレビ)でHey! Say! JUMPの伊野尾慧とW主演を務める。真造圭伍の同名コミックをドラマ化した本作は、「地球移住計画」に向けた現地調査のために地球にやってきた宇宙人兄弟と人間の交流を描いた物語。戸塚と伊野尾は兄弟役で、伊野尾は人間たちから愛される弟・冬ノ介を、戸塚は不器用だが心優しい兄・夏太郎を演じる。


参考:関ジャニ∞ 横山、NEWS 加藤、JUMP 伊野尾 夏ドラマに出演するジャニーズメンバーへの期待


 A.B.C-Z結成以来、戸塚は舞台を中心に演技経験を積んできた。グループ全員での出演作以外では、『熱海殺人事件』や『広島に原爆を落とす日』など複数のつかこうへい作品に主演。2015年には『恋する・ヴァンパイア』(「・」はハートマーク)で桐谷美玲の相手役の哲を演じ、映画初出演を果たした。さらに同年に公開された原田眞人監督作『日本のいちばん長い日』で陸軍大尉の藤井政美を演じ、出番はさほど多くなかったが印象的で、松坂桃李ら同世代の実力派の役者たちや当時の空気にうまく溶け込んでいた。


 舞台で培った発声のおかげか早口気味に話しても言葉が聞き取りやすく、それは、朗読をテーマにした昨年放送のNHKドラマ『この声をきみに』でも活かされていた。また、端正な顔立ちなのによい意味でアイドルらしくなく、時代設定や役柄に自分を合わせることもできる。このようにきちんと作品の一部になれるのは、役者として活動する上で重要な素質だろう。


 戸塚は、伊坂幸太郎を敬愛し、雑誌『ダ・ヴィンチ』で長らく連載エッセイを持つ本好きとしても知られている。今年、この連載『ジョーダンバットが鳴っている』をまとめた書籍も発売された。A.B.C-Zや読んだ本に関することだけでなく、家族や過去の記憶などごくパーソナルなことも率直に書かれており、人となりがよくわかり、内側に秘める表現欲や役者としての礎が見て取れる。


 特にコンサートのバックステージでのエピソードや担当編集者とのやりとりを綴った回を読むと、『トーキョーエイリアンブラザーズ』で彼が演じる夏太郎という役柄とリンクする。笑顔をふりまきながら何でも器用にこなすイメージの伊野尾もまた冬ノ介にぴったりで、もし逆のキャスティングだったらこのドラマは絶対に成立しないと思えるほど、2人とも適役で、ドラマへの期待がおのずと高まる。


 昨秋、A.B.C-Zの冠番組『ABChanZoo』(テレビ東京系)で劇団四季の舞台に挑戦するという企画が2週にわたり放送された。A.B.C-Zの5人が劇団四季の稽古場でバレエなどのレッスンを受け、実力を認められたメンバーだけが『ソング&ダンス 65』のステージに立てるという内容だった。指導と審査を担当した四季の飯田達郎と松島勇気は、メンバー全員の振り付けを覚える速さに驚き、戸塚の演技に関しては「劇団(四季)の役者みたい」と絶賛。その結果、5人の中から塚田僚一とともに選ばれた戸塚は、四季の俳優に加わり、ステージに立った。無事に踊りきったあと「エモーショナルでした」と興奮気味に言ってきたその晴れやかな顔からは、俳優という仕事への思い入れや情熱がひしひしと伝わった。


 A.B.C-Zはジャニーズのほかのグループに比べてJr.時代が長いメンバーが多く、しばし「下積みが長い」「苦労人ジャニーズ」などと称されるが、だからこそ身についている多くのスキルがある。今年32歳になる戸塚。アイドルとしては決して若いとは言えない年齢だが、役者にとって年齢は障害にならない。今後さらに経験を積んで、彼らしく一歩ずつ、着実な歩みで前進していくに違いない。(古閑万希子)