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「一生認知しない」「堕胎費用は折半で」既婚彼氏の自己中な言い分、どこまで通る?

2018年07月03日 09:22  弁護士ドットコム

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同棲中の彼氏は、妻と別居中の既婚者。当初は「離婚する」と言ってくれたけど、結局は口だけ。こんな境遇にある20代女性が妊娠をきっかけに、弁護士ドットコムニュース編集部に相談を寄せました。


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女性によると、不倫関係と分かっていながらも同棲を続け、彼との子どもを妊娠。子どもを産みたいことを伝えると、「産むなら一生認知しないから」、「堕胎すること、費用は折半で支払うのが当たり前」と言われてしまったそうです。


女性としては、妻と離婚してほしい、自分の子どもを認知してほしいと思っています。ただ、彼に認知をしてもらえたとしても、妻に不倫の事実がバレて慰謝料請求をされるのではないかと不安もあるようです。また、やむを得ず堕胎することになった場合、彼に慰謝料を請求できるのか知りたいそうです。


一方的に自分に都合のよいことばかりを主張する彼。どこまで、その言い分は通るのでしょうか。早川雅子弁護士に聞きました。


●認知をすれば、相手方の妻に慰謝料請求されることもある

相談者は、彼に妻との離婚と子どもの認知を求めています。「産むなら一生認知しないから」という彼の言い分は通るのでしょうか。


「妻と離婚するよう求めるか否かは、相手方の気持ちと自己の法的責任を理解した上で判断された方が良いでしょう。                


任意に相手方が認知しない場合、調停で認知をするよう協議することができます。調停が不成立の場合は訴訟で判決を得て強制認知をすることになります。認知をすれば、戸籍に記載されるので、相手方の妻に知れることになるでしょう」


その結果、彼の妻に慰謝料を請求されることもあるのでしょうか。


「あります。相談者が妊娠した時期が相手方が妻と別居後だったとしても、婚姻関係破綻後の関係であることの立証が困難で、慰謝料を相手の妻に支払うことになるでしょう。ただし、慰謝料額で調整されることもあります」


●堕胎費用は双方折半、堕胎に関する慰謝料請求は困難

では、「堕胎すること、費用は折半で支払うのが当たり前」という彼の言い分についてはどうでしょうか。


「堕胎費用は、2人の行為の結果なので、双方折半となります。不貞関係で、堕胎せざるを得ないことを承知の上での妊娠ですので、堕胎に関しての慰謝料の請求は困難です」


堕胎することになった場合でも、慰謝料請求は難しいということですね。相談者はどうするべきでしょうか。


「相手方は、妻と離婚する意思も、相談者と婚姻する意思もなく、無責任な態度に終始していることを踏まえ、自分の態度を決定すべきです。


堕胎すれば、相手の妻に発覚するおそれが少なく、慰謝料を請求される可能性が低くなるでしょう。逆に、認知する場合は、慰謝料を支払わなければならない可能性が高くなるでしょう。ただし、相手男性から子供の養育費を受け取ることが出来ます。その場合は、成人までの養育費ですから、慰謝料の額を超える可能性があります。


大人2人の不貞行為の結果の子どもですが、子どもに罪はありません。よく考えて、相手に妻との離婚を求めるか、否か決めましょう」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
早川 雅子(はやかわ・まさこ)弁護士
平成21年1月、司法過疎地の法テラス鹿屋法律事務所(鹿児島県鹿屋市)に赴任しました。DV被害者支援団体「アミーチ」の会長として、市と協力して、DV問題の啓発、独自の被害者支援活動を行っております。児童養護施設「大隅学舎」の顧問として、子ども相談ルーム「つながり」を利用し、直接会いたくない元夫婦が、時差で子供の受渡しを行なう面会交流を実現しました。
事務所名:早川法律事務所
事務所URL:http://www.hayakawahouritsu.jp/index.html