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日本青年会議所「スモハラ」問題で女性元職員と和解、解決金440万円 解雇に問題あり

2018年07月02日 19:42  弁護士ドットコム

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若手の企業経営者らでつくる日本青年会議所(JC)の女性元職員(30代)が、受動喫煙対策を求めたところ解雇されたなどとして、解雇無効や未払い賃金など約490万円を求めて、東京地裁で起こした労働審判は、JC側が440万円を支払うことで和解が成立した。6月29日付け。


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7月2日、女性の代理人弁護士らが記者会見を開いて明らかにした。「要求が全面的に認められた」としている。


●女性「受動喫煙対策、自分のわがままなのではないかと思うことも…」

この女性は大学卒業後、2008年に正職員としてJCの事務局に入局。JCが入る青年会議所会館(東京・千代田区)の分煙が十分でないとして、2010年ごろから繰り返し受動喫煙対策を求めていた。しかし、対策は進まず、2016年9月から体調不良で休職。2017年4月に解雇された。



女性側代理人の増田崇弁護士によると、労働審判で、JCは分煙が不十分であることは認めたが、喫煙所をつくるのに費用がかかることや、過去に建物禁煙にしようとしたところ、多くの会員から反発を受けたことなどから、対応に時間がかかっていたと説明。女性の解雇理由についても、出勤命令に応じなかったためなどと反論したという。


一方、労働審判委員会は、女性が職場復帰の条件として、受動喫煙対策が必要という医師の診断書を提出したのに、配慮なく出勤命令を出したことを問題視。女性を解雇する理由はないとして、双方の協議を促した。


女性は「受動喫煙防止を求めるのは、自分のわがままなのではないかと思うこともあった。すべての人に同じ体調不良が起こるわけではなく、理解してもらうことがどれだけ難しいのかも、よく分かった。同じような苦しみを味わっている人にひとつでもプラスになれば、報われる思いだ」と話した。


JCは、「和解の内容は粛々と履行する。JCとしても受動喫煙対策は不十分と認識しており、今後対策を強化する」とコメント。和解により、女性は合意退職しており、「今後を応援したい」とも述べた。


●全国的に受動喫煙対策が求められている

受動喫煙対策は、「労働安全衛生法」や「健康増進法」で、企業や施設管理者の努力義務とされており、「労働契約法」も使用者の安全配慮義務を定めている。


また、6月27日には従業員を雇う飲食店を原則屋内禁煙にする「東京都受動喫煙防止条例」が成立。国会でも、受動喫煙防止に関する健康増進法改正案が審議されている。


全国的に対策を求める声が強まる中、今回の労働審判も踏まえ、JCの会員が経営する中小企業でも対応が急務となりそうだ。


(弁護士ドットコムニュース)