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D’station Racing 2018スーパーGT第4戦タイ レースレポート

2018年07月02日 17:31  AUTOSPORT web

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D'station Porsche
D'station Racing
Race Report 004 - 2018.7.2

天候に翻弄され予選は苦戦も
作戦完遂で貴重なポイントゲット

AUTOBACS SUPER GT SERIES Round.4 Buriram
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June 30 - July 1 2018

 鈴鹿サーキットで行われた第3戦から1ヶ月以上。SUPER GT第4戦の舞台は、タイのブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットだ。今年でSUPER GTの開催は5年目になるが、D'station Racingにとっては、昨年3位表彰台を獲得した思い出深い場所。今季も上位進出を狙うべく、チームはタイへと飛んだ。

 酷暑のなかで準備を整え、迎えた6月30日(土)の予選日。タイらしい青空の下で公式練習がスタートしたが、ここでD'station Porscheは藤井誠暢からスヴェン・ミューラーに交代しながら周回。40周をこなし、1分32秒983というベストタイムで8番手につける上々のすべり出しをみせる。タイヤのチョイスについても、決勝で使う種類の選択も終わっていた。

 しかし、午後の予選に向けてサーキットには黒い雲がかかりはじめる。その前の2日間も降っていたスコールの雨雲がサーキット上空に立ちこめはじめたのだ。午後3時からの公式予選まであと45分というところで、サーキットには大粒の雨が降り注いだ。

 これで路面は完全にウエットとなってしまい、排水のために15分間遅れ、午後3時15分に公式予選Q1がスタートした。ステアリングを握るのは藤井で、水量が多いこともあり、軟らかめのウエットタイヤを装着しまずはアタックをこなす。

 しかし、コースはあっという間に乾いていく。さすがにスリックタイヤはまだ無理だが、硬めのウエットが必要だ……。ピットは迅速に判断を終え、藤井はタイヤ交換を終えふたたびコースへ。ただ、Q1の残り時間が刻一刻と近づいていく。藤井はなんとかタイヤが最適なグリップを発動するまで温め続けタイムを縮めていくものの、記録されたタイムは1分43秒934。予選後失格車両が出たため15番手グリッドとなったが、Q2進出はならなかった。

 天候に翻弄された予選となってしまったが、昨年もタイでは後方グリッドから表彰台を得たこともあり、何が起きるかは分からない。それに、予選後チームはこのレースである作戦を採ることを決めていた。それはピット作業時間を短縮できるタイヤ無交換作戦だ。公式練習ではそれを見据えたタイヤの選択も済ませており、あとはそれを遂行するのみ。7月1日(日)の決勝日は心配されたスコールもなく、晴天のなかで現地時間午後3時の決勝レーススタートを迎えた。

 いつもどおりスタートドライバーを務めたのは藤井。1周目には同じポルシェの#9と競り合いながらオーバーテイクをみせると、4周目には#2ロータスを、7周目には#7 RC Fをパス。後方からは予選で失格となった#10 GT-Rが段違いのペースで迫り先行を許すも、トップ10をうかがうポジションにつけていく。

 藤井は後半スティントを担当するミューラーのためにタイヤを労りながら周回を重ねていくが、ただそれでも上位陣とはやや差がある。しかし、作戦遂行のために無理はできない。藤井はベストを尽くしながら30周まで引っ張るとピットインし、ミューラーに交代。チームは迅速なピット作業時間でD'station Porscheを送りだした。

 その甲斐あってミューラーは6番手前後を走行することになるが、その後、前には異なる作戦のライバルが出てくる。また、後方からは#96 RC Fや#34 NSXらが近づいてくる。ミューラーはタイヤをキープしながらも、前後のプレッシャーと戦うことになった。

 しかしミューラーは順位を落とすどころか、前方を走る#2 ロータスに狙いを定めると、54周目にこれをオーバーテイク。ひとつポジションを上げ、最後は8位でチェッカーを受け貴重なポイントを加算してみせた。予選順位を考えれば、作戦完遂での見事なリカバリーと言えるだろう。

 ただ、上位のペースとはやはりやや差があり、このあたりは課題を残したと言える。次戦は長距離の富士。D'station Porscheの強みはレースにこそあり、その点では強みを活かせるレースだ。チームはしっかりと課題に取り組むことを決意し、帰国の途に就いた。



星野 敏
Satoshi Hoshino / Team Principal
今回、ブランパンGTシリーズ・アジアと日程が重なっており現地には行けませんでしたが、ずっとレースを気にかけていました。レースは15番手スタートで、チームとしては上位を狙うにはタイヤ無交換作戦しかなく、それを実行するためにチーム一丸となって準備をし、マネージメントを行っていきました。藤井選手が序盤順位を上げてくれましたし、スヴェン選手もタイヤが厳しいなかでベストな仕事をしてくれた結果がポイントに繋がったと思います。チームとしてはベストな仕事をしてくれたのではないでしょうか。次戦もぜひ応援よろしくお願いします。

佐々木主浩
Kazuhiro Sasaki / General Manager
公式予選を終えた段階で、チームみんなで相談してタイヤ無交換作戦を採ろうと決めていました。ドライバーふたりが頑張ってくれてポイントを獲ることができたのは、大きな結果だと思っています。藤井選手がうまくタイヤを残してくれて、スヴェン選手もきっちりと最後までマネージメントしてくれた。ふたりの腕が大きいのではないでしょうか。それにしてもライバルが速いですね(苦笑)。次の富士スピードウェイはレース距離も長いですし、僕たちにとっては好条件だと思うので、期待しています。

武田敏明
Toshiaki Takeda / Team Director
振り返ってみると、難しいコンディションとなった予選でのタイヤの使い方は、結果論ですがあと1周あればQ1は突破できたと思います。その結果15番手スタートとなりましたが、上位に進出するまでにはトラフィックに引っかかったりという部分がありました。そこでトップとは差がついてしまった部分があります。また、想定したラップタイムと差があったので、そこは戻ってから検証しなければなりません。ただタイヤ無交換作戦をチーム一丸となって遂行できましたし、ドライバーふたりが最高の仕事をしてくれたことポイントに繋がったと思います。

藤井誠暢
Tomonobu Fujii / Driver
今回はハードタイヤを選択していたこともあり、タイヤ無交換作戦を採りましたが、最終的に8位という結果を残せたのは悪い結果ではないと思います。チーム力を発揮した結果ではないでしょうか。ただ一方で、トップ争いが見えるような競争力はなかったです。今後解決していかなければいけないと感じています。今回はこういった結果でしたが、次戦の富士は距離も長いので、楽なレースにはならないとは思いますが、上位進出を目指して頑張っていきたいと思っています。

スヴェン・ミューラー
Sven Müller / Driver
まずレースの結果についてはポジティブにとらえている。予選では18番手に終わってしまったけど、予選後の車検で2台が失格になり、15番手からスタートすることができた。レースは藤井選手がクリーンにポジションを上げてくれたけど、ライバルがストレートは速かったね。タイヤ無交換作戦でピット作業時間も短かったし、全体としてはクリーンに戦えたし、いいレースになったと思うよ。次の富士は好きなコースだし、ポルシェはレースにも強いから、僕たちには有利だと思う。いい結果を残せるように頑張るよ。