7月1日、アメリカ・ニューヨーク州のワトキンス・グレンで、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第6戦ワトキンスグレンが行われ、JDC-ミラー・モータースポーツの99号車オレカ07・ギブソン(ミーシャ・ゴイクバーク/ステファン・シンプソン/クリス・ミラー組)が6時間レースのトップチェッカーを受け初優勝を飾った。
ワトキンス・グレン6時間は、開幕戦デイトナ24時間や第2戦セブリング12時間、最終戦プチ・ル・マンとならんでNAECノースアメリカ・エンデュランス・カップの一戦として数えられるシーズン中盤戦の耐久イベント。2018年の今戦もセブリング以来、約3カ月ぶりに参戦するチームが複数あり、エントリーリストにはプロトタイプ(P)、GTル・マン(GTLM)、GTデイトナ(GTD)の3クラス合計42台が名を連ねている。
摂氏30度に迫る気温のなかでスタートが切られた決勝は、ポール・ディ・レスタ駆るユナイテッド・オートスポーツの32号車リジェJS P217・ギブソンを先頭にスタートが切られるが、ディ・レスタはターン1までに3番手からスタートしたアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車アキュラARX-05 DPiに首位の座を奪われてしまう。
この直後、ターン3でスピリット・オブ・デイトナの90号車キャデラックDPi-V.Rと、テキーラ・パトロンESMの22号車ニッサンDPi、同2号車ニッサンDPiを含む複数台が絡むマルチクラッシュが発生。レースはオープニングラップからフルコースイエロー(FCY)が導入されることとなった。
リスタート後はオープニングで首位に立った6号車アキュラがレースを引っ張っていくが、その後方では総合8番手スタートとなっていた99号車オレカをドライブするシンプソンがじわじわと上位陣に迫り、スタート40分後に迎えた最初のルーティンピットタイミングまでに32号車リジェを交わして総合2番手に浮上してみせる。
レース中盤になると99号車オレカの勢いが衰え、代わってエリオ・カストロネベス駆る7号車アキュラARX-05 DPiが上位に進出してくる。7号車アキュラはそのまま首位に立ち、6号車アキュラとともにワン・ツー体制を築くが、2時間30分過ぎにギアボックスにトラブルを抱えたほか、その後ペナルティを受けて優勝争いから離脱することとなってしまう。
2回のFCYを挟んで迎えたチェッカーまで残り1時間、この時点で見た目上のトップはCOREオートスポーツの54号車オレカ07・ギブソンがつけるも、事実上の総合首位はファン・パブロ・モントーヤ駆る6号車アキュラとなっていた。このままレースの大半をリードしてきた6号車アキュラが今季初優勝を飾ると思われたが、コース上ではGTDマシンのタイヤトラブルによりデブリが散乱。残り50分で今レース4回目のFCYが導入される。
このコーションの間にPクラスのマシンは最後の給油のため一斉ピットへ。真っ先にコースインを果たしたのはウェイン・テイラー・レーシングの10号車キャデラックDPi-V.Rで、6号車アキュラが2番手に続く。その後方では中盤に順位を落としていた99号車オレカが3番手にポジションアップした一方、直前まで首位を走っていた54号車オレカはドライバー交代を行った関係で8番手に順位を下げてしまった。
レースは残り36分で再開されると、トップ再奪取を狙うモントーヤの6号車アキュラと、ジョーダン・テイラー駆る10号車キャデラックがリスタート直後から激しいバトルを展開。3番手となった99号車オレカのシンプソンは、前を行く2台がわずかに接触しスピードが緩んだところを強襲して一気に首位に躍り出ることに成功する。
その後ペースに勝る99号車オレカは、10号車キャデラックを交わして2番手となった6号車アキュラの追撃を振り切ってトップチェッカーを受け、チームに初めての総合優勝をもたらした。総合2位はリスタート後、ロマン・デュマの激走によってファイナルラップまでに8番手から3番手に浮上し、最後は6号車アキュラをも抜き去った54号車オレカが入った。これによりオレカはPクラスで初のワン・ツー・フィニッシュを達成している。
55号車と77号車、2台のマツダRT24-P DPiでPクラスに挑んでいるマツダチーム・ヨーストは、フリープラクティスで大破した77号車マツダの修復を決勝に間に合わせ2台で6時間レースに挑むも、55号車マツダが総合10位、77号車はトップから36周遅れの総合13位に終わった。またニッサンDPi勢は序盤のアクシデントによって両車ともにリタイアとなっている。
GTLMクラスはレース序盤、フォードGT勢が速さをみせて独走体制を築いたものの、中盤以降はポルシェとコルベットが肉薄を許しトップの座を明け渡してしまう。しかし、最後は2番手スタートのフォード・チップ・ガナッシ・レーシングの66号車フォードGT(ジョーイ・ハンド/ディルク・ミューラー組)がピットストラテジーで逆転しクラス優勝を飾った。
クラス2位にはコルベット・レーシングの3号車シボレー・コルベットC7.Rが入り、ポルシェGTチームの911号車ポルシェ911 RSRが同3位に続いている。
3GTレーシングの15号車レクサスRC F GT3がクラスポールを獲得したGTDクラスでは、最終盤まで僅差の接戦が繰り広げられるなか、ターナー・モータースポーツの96号車BMW M6 GT3(ディロン・マチャーベン/マーカス・パルタラ/ドン・ユーン組)が優勝。
マイケル・シャンク・レーシングの86号車アキュラNSX GT3がクラス2位に入り3戦連続の表彰台を獲得した。ポール・ミラー・レーシングの48号車ランボルギーニ・ウラカンGT3がクラス3位となり、ポールスタートの15号車レクサスはクラス4位でレースを終えた。
IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの次戦第7戦は6月6~8日、カナダ、ボーマンビルのモスポートパークで行われる。