メルセデスは、F1オーストリアGPで1‐2体制で走りながら、トラブルで2台ともリタイア、ノーポイントに終わった。それによってドライバーズ、コンストラクターズ両選手権におけるリードも失う結果となった。メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフが、戦略の失敗と2台に起きたトラブルについて説明した。
「チームにとって悲惨な一日だ」とウォルフは2016年スペインGP以来のダブルリタイアを嘆いた。
オーストリア決勝で、2番手を走っていたボッタスは、14周目、油圧低下によりコース脇にマシンをとめた。これによってバーチャル・セーフティカーが出動、トップ6のうち、リーダーのルイス・ハミルトン以外はすべてタイヤ交換を行った。チームの判断でステイアウトさせられたハミルトンは、25周目にピットイン。これで首位を失い、4番手に後退。その上、タイヤのブリスターに苦しみ、52周目に2度目のタイヤ交換を行った。4番手を走行していたハミルトンだが、62周目、燃圧低下を訴えてマシンをとめた。
ウォルフは、2台のトラブルは最新パワーユニット“フェーズ2.1”のアップグレードとは関係ないと述べている。
「我々が見る限り、今日起きたどちらの問題も、エンジンの信頼性とは関係がない」とウォルフが述べたとBBCが伝えた。
「バルテリについてはステアリングに関連したハイドロリックリークが見られた。ルイスのマシンには燃圧の低下が見られ、それは燃料システムに関連したものだ。現時点ではそう理解しており、(アップグレード版)エンジンの導入を後悔してはいない」
一方、ハミルトンの戦略ミスについて、フェラーリやレッドブルのようにすぐさまドライバーをピットに呼び戻さなかったのは「我々のミスだ」とウォルフは認めた。
「VSCが導入され、半周の間に決断しなければならなかった。だが、この間に我々は行動しなかった。それによって勝利を失ったのだ」
ハミルトン1台しか残されていないメルセデスは、フェラーリやレッドブルが2台で戦略を分ける可能性などを考えて時間を消費してしまったという。
「マシンの撤去に時間がかかると考え、ルイスをあと1周ステイアウトさせて、その間に後続グループに合わせて行動しようと考えた。だがVSCは予想より早く解除された。その結果、我々は誤った決断を下したことになった」とウォルフは説明している。
「このような辛い日々から学べることは大きい。それは過去の苦い経験から知っている。数日で態勢を立て直し、ミスから学び、シルバーストンに前向きに臨みたい」