スコール明けの波乱の予選のなかで今季初ポールポジションを獲得し、最上位グリッドからレースに臨んだMOTUL MUGEN NSX-GT。スタート直後は武藤英紀が2番手以下を引き離しにかかるも、2番手に上がったヘイキ・コバライネンのDENSO KOBELCO SARD LC500に追いつかれる苦しい展開となった。武藤がレースを振り返る。
「予選ではスピードを見せることができましたけど、やはり決勝ですよね。最初は後ろを離せて中盤までは良かったけど、コースの特性上、そして自分たちのクルマの特性でもあるのですけど、結構、ダウンフォースが抜けちゃうところがあって、そのあたりはレクサスの方がコース適応の幅があって、GT300の処理も速かった」
MOTUL NSXだけでなく、NSXの共通の課題として今季はフロントのダウンフォースが抜けやすいという特徴がある。特にGT300などの背後に付いた場合、その特徴が顕著に出てしまうという。
「僕たちはセクター3が辛くて、GT300の後ろについてしまうと、フロントのダウンフォースがすごく抜けちゃうので厳しかった」と武藤。
2番手DENSOコバライネンに並びかけられながらもなんとかトップをキープしていたが、19周目にGT300が絡み、アウトから武藤が抜いたがインからGT300を抜いたコバライネンに前を奪われ、2番手に交替してしまった。
「なんとか並ばれながらもトップを守っていたのですが、GT300絡みで抜かれてしまいました。それもこのレースの難しさですが、GT300がいなくても、今日はスティントの終わりはタイヤが結構、厳しかったです」
2番手に後退すると、27周目にはWAKO'S 4CR LC500にも交わされてしまい、3番手に。そこでピットに入った。そして、ピットストップでライバルよりも15秒近くタイムをロスする結果となり、優勝戦線から脱落。結果的に5位フィニッシュ。ポールからのスタートとしては悔しい結果だが、武藤はその悔しさよりも、今回の手応えを強調した。
「今年はNSXが速くて、その中でも今回はNSXの最上位だったので、自分たちの力は付いてきていると思うんですよね。だから、また今回のようなタイミングが来た時に、きっと良い勝負ができるんじゃないかなと思っています」
レースはGT500ルーキーのDENSO KOBELCO SARD LC500小林可夢偉がスーパーGT初優勝を飾ったが、ヨコハマタイヤを履いてGT500復帰2年目のTEAM MUGENもまた、このタイで大きな可能性を見せた。新勢力の台頭が、GT500をさらに面白くしつつある。