第4戦タイのスーパーGT300クラスを制した平中克幸と安田裕信(GAINER TANAX GT-R) 2018年のスーパーGTは7月1日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットで第4戦の決勝レースが行われ、スーパーGT300クラスはGAINER TANAX GT-Rがシーズン初優勝。今季から投入された2018年型ニッサンGT-RニスモGT3に初優勝をもたらした。
シリーズ唯一の海外戦として開催されているタイラウンド。決勝日も前日同様、東南アジアらしい蒸し暑さのなかでの開催となり、朝早くから地元の熱心なモータースポーツファンがサーキットに足を運んでいる。
66周の決勝レースは現地15時、日本時間17時にセーフティカー先導によるフォーメーションラップでスタートした。なお、このフォーメーションラップではクラス7番手スタートのグッドスマイル 初音ミク AMGがトラブルか、最後尾までポジションを落としている。
迎えたスタートではポールシッターのLEON CVSTOS AMGの加速が鈍ったところで、1コーナーアウトからHitotsuyama Audi R8 LMSがオーバーテイク。さらにARTA BMW M6 GT3もLEON AMGを交わしていった。
ポジションを上げたHitotsuyama Audi、ARTA BMWが差を広げる一方、LEON AMGは思うようにペースが上がらず、後方からGAINER TANAX GT-R、est cola by AAS Motorsportなどが接近。3位争いは早くも集団戦となっていく。
そして6周目の1コーナーへの飛び込みでGAINER GT-RがLEON AMGのイン側を突いてオーバーテイクし3番手に浮上。その翌周にはest MotorsportがLEON AMGを攻略していった。
クラストップ争いを演じるHitotsuyama AudiとARTA BMWは0.5秒前後の間隔で走行していたが、Hitotsuyama Audiのリチャード・ライアンが引き離しにかかり、8周を終えた時点で差を0.912秒まで広げてみせる。また、このタイミングでクラス4番手を走っていたest Motorsportが緊急のピットイン。クラス最後尾の23番手までポジションを落としている。
ライアンが独走体勢を構築するかと思われたが直後の10周目、ライアンのペースが1分36秒台まで落ちたところでARTA BMWの高木真一が接近。その後方からはGAINER GT-Rの安田裕信も追いつき、トップ争いは三つどもえに発展したものの、3台の争いはその後10周以上に渡りこう着状態に。
その後方では前日予選トップタイムを記録しながらも予選後の車検不通過となったマネパ ランボルギーニ GT3がじわじわとポジションアップ。19周を終えた時点でポイント圏内の9番手まで順位を回復している。同じく車検不通過となったGAINER TANAX triple a GT-Rは12番手だ。
GT300クラストップが22周目を突入した頃、SUBARU BRZ R&D SPORTが最終コーナー手前のストレート区間でストップ。その数周前にはスピンする場面もあり、マシンにトラブルが起きた可能性がありそうだ。
トップのHitotsuyama Audiだったが、21周を消化したタイミングで緊急ピットインを強いられる。その直前、GT500クラスで争っていたカルソニックIMPUL GT-Rとフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rが接触した際、カルソニックIMPUL GT-RがHitotsuyama Audiのサイドにヒットしてしまったのだ。これでHitotsuyama Audiはオイルクーラーやエアジャッキを破損してしまい、一度修復して富田竜一郎に交代するもふたたびピットに戻り、もらい事故による悔しいストップとなってしまった。また、23周目には最後尾から追い上げてきていたGAINER TANAX triple a GT-Rがバトルのなかでラジエターを破損。オーバーヒートでコース脇でマシンを止めている。
また、このタイミングから各チームともルーティンのピット作業を迎え、22周目終わりでGAINER GT-Rがピットインしたほか、その後もLEON AMG、est Motorsportなどが続々とピットへ向かっていった。
■22周目ピットインのGAINER GT-Rが逆転で首位浮上。2位争いは残り3周でドラマ
26周を終えた時点で、クラストップはピットを済ませていないARTA BMW、2番手にリーガルフロンティア ランボルギーニGT3、3番手にマネパ ランボルギーニ GT3、4番手にK-tunes RC F GT3が続く形に。
トップを走るARTA BMWは29周を終えた時点でピットイン。タイヤを交換してピットアウトしていったが、先にピットを済ませていたGAINER GT-Rの前には出られず、その後方の暫定10番手でコースに復帰した。
41周目終わり、暫定2番手の初音ミクAMGがピットイン。タイヤは交換せず、給油とドライバー交代のみ行いピットアウト。こちらは9番手でコースに復帰した。
最後までピットを引っ張っていたシンティアム・アップル・ロータスは43周を終えたところでピットへ。これでGT300は全車がルーティンワークを終えて、GAINER GT-Rが見た目上でもトップに浮上。6秒以上後方の2番手にARTA BMW M6 GT3、3番手にSYNTIUM LMcorsa RC F GT3が続く格好となる。
トップを走るGAINER GT-Rは2番手のARTA BMWより6周早くピットインしているため、レース終盤のタイヤライフが心配されたが、ドライブする平中克幸はこれまでに築いてきたマージンを生かしながらペースをコントロール。49周目終わりにはギャップを7.41秒まで広げてみせる。
その後も危なげない走りでレースをリードした平中は、最終的に3.569秒のマージンを持ってトップチェッカー。チームに2017年第4戦SUGO以来の勝利をもらたすとともに、2018年型ニッサンGT-RニスモGT3に初優勝をプレゼントした。
2位は残り3周までARTA BMWが確保していたが、56周目にSYNTIUM RC FとLEON AMGを交わした31号車TOYOTA PRIUS apr GTとバトルを繰り広げて、ランオフエリアにはみ出した際に右リヤタイヤがパンク。緊急のピットインを余儀なくされ戦線を離れることに。
これで2位には31号車プリウスの平手晃平が浮上。3位にSYNTIUM RC F、4位にLEON AMGが続く結果となった。
5位はリーガルフロンティア ランボルギーニ、6位は38番グリッドからのスタートだったマネパ ランボルギーニが確保。タイヤ無交換作戦を採った初音ミク AMGは7位でチェッカーを受けている。
2018年のスーパーGT第5戦は8月4~5日に富士スピードウェイで開催。今季最長の500マイルで争われる1戦だ。