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『絶対零度』『サバイバル・ウェディング』『この世界の片隅に』……2018年夏ドラマ注目作は?

2018年07月01日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 4年に一度のサッカーの祭典が閉幕する頃には、各局で夏ドラマがスタート。新作ドラマはもちろんのこと、今クールはとりわけリメイク作品やシリーズ作品の続編ドラマが目立つ。今回は、今年の夏の注目ドラマ4作品をピックアップ。さて何を観ようか?


参考:『ひよっこ』松本穂香ら多数ブレイク “朝ドラ脇役出身”は若手女優のハイレベルな新登竜門に


●『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(7月9日(月)21:00スタート/フジテレビ系)
 フジテレビの月9枠では、『ガリレオ』『鍵のかかった部屋』『貴族探偵』など、“事件解決モノ”の作品は途中あったものの、警察官が主人公の作品は意外なことに、2009年の『東京DOGS』以来9年ぶりとなる。沢村一樹主演の本作は横山裕、本田翼、柄本時生、平田満、伊藤淳史、上戸彩が出演し、上戸が主演を務めた『絶対零度』シリーズの7年ぶりの復活作品となる。


 元公安のエリート刑事・井沢範人(沢村一樹)が未然犯罪捜査チームに異動になり、AI技術を駆使した“ミハンシステム”とともに捜査を進め、重大犯罪に立ち向かっていく姿を描く。


 まず、注目すべきは主演が上戸から沢村へのバトンタッチがなされたことであろう。今回、上戸が演じる桜木泉は特殊任務中に姿を消してしまったという設定で、山内徹(横山裕)が1人、彼女の行方を捜査し続ける。前クールの『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)に続いて再び“警視庁勤務”になる沢村。とはいえ、本作では『未解決の女』と違って、エリート街道からは一旦それて、トラブルメーカーばかりが集められた部署での活躍となる(『未解決』で、大怪我がきっかけに異動になった矢代(波瑠)の気持ちがちょっとわかったりして?)。


 また、過去にフジテレビでは、『救命病棟24時』『僕の生きる道』『家族ゲーム』などの演出を務めた佐藤祐一が演出を担当。刑事モノでいうと佐藤は過去に『古畑任三郎』シリーズや『ストロベリーナイト』『福家警部補の挨拶』といった作品を手がけてきたわけであるが、今回の『絶対零度』はいずれの作品とも異なる刑事モノであるため、どんな映し方をほどこしてくるのかに着目したい。


●『サバイバル・ウェディング』(7月14日(土)22:00スタート/日本テレビ系)
 さて、先程『未解決の女』にからめて少し触れた波瑠であるが、彼女もまた前クールに引き続いての連ドラ出演となる。こちらは刑事モノからガラッと変わったコメディドラマ『サバイバル・ウェディング』(日本テレビ系)。波瑠を主演に据え、伊勢谷友介、吉沢亮、風間俊介が出演するほか、高橋メアリージュン、ブルゾンちえみ、前野朋哉ら急上昇中の面々が本作を彩る。


 出版社に勤務していた黒木さやか(波瑠)は、3か月後に挙式を控え、寿退社していたにも関わらず、婚約者の浮気が発覚。一夜にして結婚も仕事も吹っ飛ぶ。そんなさやかを拾ったのは、人気雑誌のカリスマ編集長(伊勢谷友介)。しかし彼のところでの再就職の条件はなんと“半年以内に結婚すること”。追い詰められたさやかは結婚に向けて、編集長直伝の恋愛テクニックのもと自分の価値を高めることに奮闘する。


 波瑠は『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)以来半年ぶりに本放送枠に帰ってくることになる。昨今、立て続けにドラマ出演を果たしている波瑠であるが、本作ではどんなコメディエンヌを演じてくれるのかに着目したい。また、脚本は『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)の衛藤凛が担当。“のだめ的”な笑える要素がふんだんに盛り込まれていることに期待できそうだ。


 さらに、伊勢谷友介は昨年、『監獄のお姫さま』(TBS系)で小泉今日子ら女優陣にボロボロにされる、嫌われ社長役を演じてくれたわけであるが、今回は超上から目線の編集長役で、またも嫌われ役。公式サイトでは本人曰く、「この前演じたのも嫌われ社長役でしたし、僕は“やなヤツ”の役が合っていると40歳を過ぎて身に染みて分かったので、この路線で頑張っていきたいなと思います(笑)」とのこと。これは楽しみだ。


●『この世界の片隅に』(7月15日(日)21:00スタート/TBS系)
 さて、『サバイバル・ウェディング』の放送翌日もまた注目作品。片渕須直監督によるアニメーションがまだ記憶に新しい中、実写化作品が日曜劇場で放送される。松本穂香が連ドラ初主演を務め、脚本・岡田恵和×音楽・久石譲という豪華タッグで送る。『陸王』『99.9 -刑事専門弁護士- SEASON II』『ブラックペアン』と続いた本枠であるが、今回の『この世界の片隅に』はまた日曜劇場に新たな息吹を吹き込むことになるだろう。


 こうの史代の同名漫画が原作の本作は、呉に嫁いだすず(松本穂香)が、太平洋戦争中にひたむきに生きていくさまを描く。幼少期、川原で絵を描いているところを人さらいに捕まってしまう。しかし、先に捕まっていた周作の機転で逃げ出すことに成功。そして、9年後周作がすずを嫁にもらいたいとすずの住む浦野家にやってくる。


“Torn Apart By War. Brought Together By Love.”


 これは英語版の片渕須直監督によるアニメ『この世界の片隅に』のキャッチコピーである。戦争で引き裂かれ、愛で結ばれる。確かに、先程述べたように最近の日曜劇場の作品と比べると趣向が異なり、壮大なテーマと世界観をもった作品となっている。欧米各国でも評価を受けた片淵監督によるアニメは、日本人だけだなく、多くの国々の戦時下での人々の生き方と重なるところがあったのであろう。今回の実写版ではどのように視聴者を震わせるのかが気になるところだ。


 すずの妻・周作を松坂桃李が、すずの幼なじみを村上虹郎がそれぞれ演じるほか、二階堂ふみ、尾野真千子、田口トモロヲ、伊藤蘭(『ブラックペアン』での娘の趣里からバトンタッチ)らが出演する。


●『ハゲタカ』(7月19日(木)21:00スタート/テレビ朝日系)
 獲物の体力が弱っているときを見定めると、一気に捉えにかかるハゲタカ。その習性に由来して、株式や社債が安いときの企業を買収し、投資を行った上で莫大な利益を獲得するファンドのことを“ハゲタカファンド”と呼ぶのだとか。


 真山仁原作の同名小説を実写化した『ハゲタカ』。2007年にNHKで放送された本作が、このたびテレビ朝日で、綾野剛を主演に迎えて再び放送される。NHK版では主人公の鷲津政彦役を大森南朋が務めたが、今回は同じくダーティな雰囲気漂う綾野剛が企業や経済界を舞台に暴れまわる。


 バブル崩壊後の1997年、“失われた10年”の渦中にあった日本に突如として現れた外資系投資ファンド代表の鷲津政彦(綾野剛)。 “ハゲタカ”とバッシングを受けながらも、次々と買収劇を仕掛け、鮮やかに勝利していく様を描く。本作では、原作『ハゲタカ』『ハゲタカII』の物語に加え、2018年を舞台にしたオリジナルストーリーも加えられ、リーマンショック、アベノミクスを経た日本経済をどのように鷲津が捉えているのかにも注目したい。


 また、沢尻エリカのほか、渡部篤郎、小林薫、光石研、杉本哲太、池内博之ら硬派な演技派が脇を固め、作品に重厚感を与える。『ヘルタースケルター』、『新宿スワン』と共演をしてきた綾野と沢尻であるが、今回はどんな関わり合いを見せてくれるのだろうか?


 以上が注目4作品の概要である。『ブラックペアン』ロス、『おっさんずラブ』ロス、『花のち晴れ』ロスという具合に、一つのクールのドラマが終わるたびにロスがくるのはつきものだが、ゆっくりと次のクールの作品にも目を向けてみてはいかがだろうか?(國重駿平)