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GT500優勝候補が次々脱落。スコール後の波乱の予選でMOTUL MUGEN NSX-GTが初ポール獲得

2018年06月30日 21:21  AUTOSPORT web

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武藤英紀にとっては2016年以来、中嶋大祐にとっては初めてのGT500でのポールポジション獲得
スーパーGT第4戦タイの公式予選が6月30日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、MOTUL MUGEN NSX-GTがGT500復帰後、初となるポールポジションを獲得した。

 第3戦から約1カ月ぶりの開催となるスーパーGT第4戦。予選日となった土曜午前の公式練習はドライコンディションで行われ、昨年のポールポジションタイムを大幅に更新するチームが相次いだ。

 しかし、いざ始まった予選コンディションは公式練習の時とは様変わり。予選セッション開始45分前にスコールが降り、路面はフルウエット。スコールはすぐにあがったものの、予選セッション開始時刻の現地時間15時時点で、路面は濡れたまま。予選開始は15分ディレイがアナウンスされた。

■Q1:コースコンディションに翻弄されたセッション。制したのはカルソニック IMPUL GT-Rの佐々木

 15分のセッションディレイを経て予選Q1がスタート。GT300クラスに続き、GT500クラスのQ1突破(上位8台)に向けたタイムアタックが始まった。現地時間15時ごろの気温は29度、路面温度は35度でコースコンディションはウエット。ドライで行われた土曜午前のセッションに比べ、スコールによって気温、路面温度ともに下がっている。

 GT300クラスのQ1を経て、コンディションはウエットパッチが残る完全ウエットとは言い難い微妙な状況。各車最初はまずコース状況を様子見しつつの走行となった。

 最初に動いたのはMOTUL AUTECH GT-Rで、レインタイヤからドライ用のスリックタイヤに交換。路面のライン上はドライに乾き始めており、ここから各車、タイヤ交換に入るもウエット、ドライで大きく選択が分かれていく。

 優勝候補でもあるau TOM’S LC500、ZENT CERUMO LC500、WAKO’S 4CR LC500のレクサス+ブリヂストン陣営はレインタイヤからニュータイヤのレインタイヤに履き替え、さらにレインタイヤからレインタイヤに交換後、さらにスリックタイヤを履いたというEpson Modulo NSX-GT、一度スリックタイヤに履き替えてコースインするも、再びレインタイヤに交換したKeePer TOM’S LC500など、チームによってタイヤ選択が分かれ、把握が難しい状況となる。

 そんななか、コースコンディションは刻々と回復。残り3分で最後のタイムアタックが始まった。各車がタイムを更新するなか、ホンダNSX+ブリヂストン陣営はレインタイヤからスリックにタイヤを代え、その中でRAYBRIG NSX-GTがまずトップタイムをマーク。

 続いてMOTUL MUGEN NSX-GTがRAYBRIGタイムを上回る。この時点でセッション残り時間は1分。ここでカルソニック IMPUL GT-Rの佐々木大樹が1分27秒015でトップに立つと、そのままQ1を制した。

 2番手にはフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの高星明誠、KEIHIN NSX-GTの小暮卓史が3番手に続き、ランキングトップで64kgのウエイトハンデを積むRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴が4番手につけてジェンソン・バトンにたすきをつないだ。

一方、レクサス陣営は苦戦し、トップは6番手のWedsSport ADVAN LC500。今回の本命の1台であるau TOM'S LC500は10番手、ディフェンディングチャンピオンのKeePer TOM'S LC500は12番手、そして第2戦ウイナーであるMOTUL AUTECH GT-Rは最後のアタックでZENT CERUMO LC500に引っかかったこともあり最下位に終わり、Q1敗退を喫している。

 結果的にQ2に進出した8台中4台がNSXとなり、今季の好調ぶりだけでなく、運も味方する形となった。Q1はタイヤメーカーの特性と刻々と変わる路面の乾き具合の見極めにより、タイヤ選択の判断が結果に大きく影響したセッションとなった。

■Q2:雨がぱらつくなか、MOTUL MUGEN NSX-GTの武藤がポールポジション獲得

 Q2は開始5分を過ぎたところで、最終コーナー付近でぽつぽつと雨粒が落ちてきたが、ウェットコンディションになるまでには雨量は増えず、そのままドライで開催。

 まずターゲットタイムをマークしたのはDENSO KOBELCO SARD LC500で1分23秒882。このタイムをKEIHIN NSX-GTが更新してトップに立つ。さらにRAYBRIG NSX-GTのバトンが3番手。

 雨脚はそれ以上強くなることはなく最終コーナーあたりでぱらつく程度にとどまった。セッション残り3分を切ったところで、MOTUL MUGEN NSX-GTの武藤英紀が2番手タイムを記録。さらに残り1分で1分23秒341をたたき出し、リーダーボードのトップに浮上する。

 セッション残り時間もわずかとなり、最後のアタックでDENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンが追いすがるも、届かず3番手。MOTUL MUGEN NSX-GTがポールポジションを獲得した。

 2番手にはKEIHIN NSX-GT塚越広大が入り、バトンがステアリングを握ったRAYBRIG NSX-GTは5番手を獲得。レクサス勢が得意といわれるタイで、NSXがグリッドのワン・ツーを占めた。

 また、ポールポジションから6番手までが、これまでのコースレコードの1分24秒307を更新。Q1の難しいコースコンディションからのレコード更新は、今年のマシン、エンジン、タイヤが確実にパフォーマンスアップしていることが伺える。

 決勝レースも予選日のようにスコールに見舞われる可能性も高く、レース展開を予想するのが難しい。優勝候補、上位候補が次々と脱落した予選同様、臨機応変な状況判断が必要になりそうだ。注目の決勝レースは日曜、現地時間15時(日本時間17時)にスタートする。