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「会社としてのプライオリティが変わった」DTM首脳に聞く:第3回メルセデスAMGウルリッヒ・フリッツ代表

2018年06月30日 17:11  AUTOSPORT web

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DTM メルセデスAMG
『クラス1』規定の合意によってますます近くなってきたスーパーGTとDTM。2019年に予定されている日本とドイツでの交流戦を前に、DTMに参加している3メーカーの首脳陣にDTMの今季、そしてスーパーGTとのコラボへの期待を聞いた。最終回となる第3回目はメルセデスAMGのウルリッヒ・フリッツ代表を直撃した。

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──今年がメルセデスにとって最後のDTMシーズンになりますが、目標は?

「これまでおよそ30年DTMに関わってきましたが、常にコンペティティブであり、(レースにおいて)成功することを目標にしています。今年も今までと変わりなく、タイトルをめざしています。DTMでは僅差の激しい戦いが行われるので簡単ではありません。マシンの性能、チーム力、時には運も必要です。ですから、最後の最後まで勝利に向けて全力でプッシュしています」

──自動車メーカーとしてのメルセデスが参戦するカテゴリーを選ぶ場合、どのようなポイントを重視しますか?

「ご存知のように現在モータースポーツは非常に速いスピードで変化しています。そのような環境においても(予算や人員など)会社のリソースは無限ではないので、いくつかの分野に集中させる必要があります。様々な検討を重ねた結果、大きな成功をおさめているF1に加え、30年続けてきたDTMに代えてフォーミュラEに参戦することを決定しました」

──自動車産業全体が向かっている方向を考慮して、メルセデスにとって一番魅力的なモータースポーツカテゴリーを選ぶという考え方ですね。

「そうです。今後数年に関してはF1、GT3とGT4によるカスタマーレーシングプログラム、そしてフォーミュラEに集中することを決定しています。この結論に至るまでには時間をかけて充分議論し、当社の事業戦略の一環としての決定がなされました」

「DTMは非常に魅力のあるシリーズで、だからこそ30年にわたって参戦し続け、多くの成功を収めることができました。『クラス1』レギュレーションも完成した事ですし、今後もさらに発展していくでしょう。しかし、会社としてのプライオリティが変わり、我々は別のカテゴリーにフォーカスを移す必要が出てきたのです。メルセデスにとっては成功が絶対条件です。2番手や3番手に甘んじることはあり得ません。したがって、これからはフォーミュラEにおいて競争力を確保する方向に集中します」

──『クラス1』規定に関してはどのような印象を持っていますか?

「スーパーGTとDTMのレギュレーションの統一は、私たちが過去5年ほどずっと進めてきたプロジェクトですから、ここまで来られて良かったと思います。来シーズンは、両方のシリーズでほぼ同じテクニカルレギュレーションに基づいたマシンが走ることになります(注:日本側は2020年からの予定)。スポーティングレギュレーションは2つのシリーズで異なりますが、技術的には同じマシンになるわけで、とても大きなステップでありDTM、スーパーGT両シリーズの将来に向けて非常に良い方向だと思います」

──数戦の開催ではなく、ドイツメーカーと日本メーカーのマシンが戦うシリーズ戦は可能だと思いますか?

「もちろん、可能性がまったくないということはありません。我々が常に目指していたのは、DTMとスーパーGTのマシンで一緒にレースができる環境を作ることです。完全なシリーズか、数レースか……。スプリントレースと耐久レース、スーパーGTのGT3、GT300マシンとの混走、DTMの1イベント2レース形式など、現状では形式がかなり違うので何とも言えません。将来的にはそういった部分に関する話し合いも行われ、2つのシリーズのマシンが一緒に戦うレースがたくさん見られるようになれば良いですね」

──最後にスーパーGTについてはどのような印象を持っていますか。

「素晴らしいシリーズだと思います。2年前に観に行きました。マシンはDTMと似ていますが、レース展開が違いますね。GT3マシンとの混走でオーバーテイクシーンが多く、耐久レース的な色合いが濃いところなど。いずれにしても、とてもプロフェッショナルでレベルの高いレースだと理解できました」

──セミ耐久的なレースですが、ヨーロッパでどのように受け入れられるでしょうか。

「そこは良く分かりませんし、私は判断する立場にはありませんが、ドイツでは週末にDTMのスプリントレースを2回行うようにした形式が成功しています。近頃はエンターテイメントの選択肢もたくさんありますし、TV放送のシステムを考えると、個人的にはスプリントレースの方が広い層に観てもらえるのかな、と思います。とはいえ、DTMもスーパーGTもそれぞれ実績のあるシリーズです。お互いが学べることはたくさんありますね」