『クラス1』規定の合意によってますます近くなってきたスーパーGTとDTM。2019年に予定されている日本とドイツでの交流戦を前に、DTMに参加している3メーカーの首脳陣にDTMの今季、そしてスーパーGTとのコラボへの期待を聞いた。第2回目はBMWモータースポーツのイェンス・マルカルト代表に直撃した。
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──2019年シーズンはメルセデスがいませんが、将来のDTMはどのような方向に進んで行くと考えていますか。
「今シーズンから採用されたテクニカルレギュレーションがうまく機能しており、これまでの3イベント(6レース)では非常に僅差のバトルが見られています。さらに2019年からは、発表があった『クラス1』レギュレーションの採用が決まっています。常に改善を続けてシリーズをより良いものにしていきますが、今のところDTMは良い方向に進んでいると思います。(技術規定やレース形式など様々な要素を改善して)魅力的なシリーズにすることで、自動車メーカーが新規参入しやすい環境をめざしています」
「たしかにメルセデスはDTMの活動を休止しますが、2019年シーズンには日本で3社、ドイツで2社と合計5つの大手自動車メーカーが『クラス1』規定に基づいたマシンでモータースポーツ活動を行います。シリーズを発展させていくためには多くのメーカーの参入が必要ですが、新しいレギュレーションによって自動車メーカーにとって参戦しやすいカテゴリーになるはずです。『クラス1』技術規定の発表は、非常に大きな一歩だと思います」
──その『クラス1』技術規定ですが、充分満足なものになりましたか?
「ベストな結果が出せたと思います。2012年に行われた最初のミーティング以来、これまでスーパーGTの関係者とはかなり密接に話し合いを行ってきました。DTMでの4気筒エンジン採用のタイミングが遅れたため、当初の予定より時間はかかりましたが、日本の『友人たち』との協力で、この『スーパーレギュレーション』を完成できたのはとても素晴らしいことだと思います。スーパーGTもDTMも世界で最高レベルのツーリングカーレースです。そこをベースに、トップレベルのドライバーがサイド・バイ・サイドのバトルを演じる、世界最高峰のレースに発展させたいですね」
──ドイツメーカーのスーパーGT参戦は現実的にあると思いますか?
「来シーズン後半に交流戦を行うことは決まっています。すでに(スーパーGTとDTM)2つのシリーズがあるわけですから、シーズンの終盤に例えば『チャンピオンズリーグ』のような形で統一王者を決めるレースを行うことは考えられます。そうしたプログラムができれば、自動車メーカーにとっても、さらに魅力のあるものになり新規参入のきっかけになるでしょう」
「それから、たとえば、7社や8社の自動車メーカーが『クラス1』レギュレーションのマシンを製造し、そのうちの何社かがDTMとスーパーGT両方に参戦することもあり得ると思います。そうなれば、各シリーズで1社が走らせるマシンの台数が少なくてもグリッドが埋まり、トータルの参戦コストが下げられます。一方、DTMもしくはスーパーGTなどひとつのシリーズに集中すれば、さらに低いコストでのシーズン参戦が可能になると思います。オプションが増えることで参入する自動車メーカーが増えれば、交流シリーズの可能性も高まるかも知れません」
「すべての自動車メーカーはグローバルに活動しています。したがって、インターナショナルに活用できるモータースポーツカテゴリーがある事はとても重要なのです。その舞台の準備が整ったのです」
──『クラス1』レギュレーションによって、自動車メーカーが参加しやすい環境ができるということですね。
「もちろん。そのために技術規定の作成に力を注いできたのですから。2012年にBMWがDTMに参戦を決めたひとつの理由は、このシリーズがインターナショナルになる可能性があったからです。DTMは既にヨーロッパのシリーズへと成長を遂げました。さらに欧州の主要な自動車市場をカバーするように発展を続けていきます」
「『クラス1』規定の合意で、スーパーGTと共にインターナショナルに拡大するための大きな一歩を踏み出しました。来シーズンから、2つのシリーズがヨーロッパとアジアで行われることになります。ドイツと日本に軸を置きながらも、インターナショナルなレギュレーションに基づいたカテゴリーが始まります。スケジュールの遅れはありましたが、DTMが掲げていた目標の大きなひとつを達成することができました」
──スーパーGTのマシンとのレースが楽しみですね。
「そうですね。去年のホッケンハイムとツインリンクもてぎでのデモランは3台だけでしたが、それでもファンタスティックな出来事でした。ですから、実際のレースは『メガスペクタクル』間違いなしです。スターティンググリッドは本当に壮観でしょうね。スーパーGTは、すでにアジアで大きな成功を収めているシリーズです。ファンの熱心な様子を見ればどれだけ受け入れられているかが分かります。そんなスーパーGTと一緒にレースができることを本当に楽しみにしています」