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日本代表がゲットする13億円、税金も「半端ないって」 五輪と違い非課税扱いなし

2018年06月30日 11:12  弁護士ドットコム

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サッカーW杯で、日本代表が16チームで争う決勝トーナメントへの進出を決めました。選手たちには、日本サッカー協会からボーナス(報奨金)が支払われるようですが、その額がどれくらいになりそうなのか、定かではありません。少々気が早い話ではありますが、過去の大会などを参考に、支給額の見込みとかかる税金について、李顕史税理士が考察しました。


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●ベスト16で賞金は13億円超

ーーどれくらいの額が選手に入るのでしょうか


「W杯の賞金は破格で、今回のロシア大会では、ベスト16で1200万ドル(約13億2千万円)が支払われるとのことです。単純に選手23人で分け合うとしたら約5,700万円ですが、日本サッカー協会も経費を負担しているので、全額が選手に渡されるわけではありません。


日本サッカー協会(JFA)のホームページによると、8年前の南アフリカ大会でベスト16だった日本代表の獲得賞金は約11億円で、選手には総額約2億5千万円、一人あたり1,087万円支払ったそうです。賞金総額の約22%を選手が報奨金としてもらった計算になります。


この22%を今回のロシア大会に当てはめると、一人あたり1,304万円となります。選手がもらう額が、賞金総額全体の22%というのは少ないと思われるかもしれません」


ーー頑張った選手にはもっと支給されるのかと思いました


「選手が試合で結果を出すまでに、かなり多額の経費がかかっているということでしょう。南アフリカ大会での日本サッカー協会の支出が12億円(協会関係者の出張旅費、メディアセンターの建設などに使われたもよう)で、結果として支出が収入を上回ったそうです。


また、この1,304万円という数字はあくまでも平均です。日本サッカー協会によると、南アフリカ大会で最も多くもらった選手は2,220万円です。ちなみに最低額は公表されていませんが、少なくとも1千万円以上はもらっています」


●がっつり課税、五輪メダリストへの報奨金とは異なる

ーー税金はどうなるのでしょうか


「次に税金についてです。海外リーグ在籍の選手も多くいて、その選手は日本ではなく、活躍している外国に税金を納めることになります。ここではJリーグ所属選手で、平均額の約1,304万円を獲得した選手と仮定して考えてみましょう。


獲得した報奨金はすべて『事業所得』となり、1,304万円が全額課税対象です。オリンピックのメダリストなど、アマチュア選手が受け取った報酬金は一時所得となるのですが、Jリーグ所属選手はプロサッカー選手なので、扱いが異なります」


ーースポンサーから別途、報奨金が入る場合もありそうです


「はい。スポンサーなどからも多額のボーナスが支給される場合も考えられます。この場合、さらに税金がかかります。『半端ない税金』と言いたくもなるかもしれません。いずれにせよ、決勝トーナメントでも日本代表の『半端ない活躍』を期待してます。


ちなみに日本オリンピック委員会(JOC)が金メダリストに支払う報奨金は500万円。こちらは所得税法9条1項14号の規定により、非課税となっています」


(7月3日追記:獲得する報奨金の区分について、修正しました)


【取材協力税理士】


李 顕史(り・けんじ)税理士


李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。PwCあらた有限責任監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。


事務所名 : 李総合会計事務所


事務所URL:http://lee-kaikei.jp/


(弁護士ドットコムニュース)