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F1 Topic:トロロッソ・ホンダがコンスタントに入賞するために必要なこと

2018年06月30日 09:11  AUTOSPORT web

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ピエール・ガスリー
第7戦カナダGPのレースでフォース・インディアとハースをオーバーテイクするパフォーマンスを見せたトロロッソ・ホンダ。しかし、第8戦フランスGPでは一転、ストレートスピードに悩み、ブレンドン・ハートレーはザウバーのマーカス・エリクソンを抜けずに14位に終わった。

 この2戦はホンダが投入した新しい仕様のパワーユニットにも問題があったために、その遅い原因についてはあまりクローズアップされなかったが、フランスGPの後のトロロッソ・ホンダはこの失速を深刻にとらえており、オーストリアGPのフリー走行ではさまざまなメニューを用意して、セットアップの確認を行っていた。

 しかし、最近のトロロッソを見ていると、レースを戦う上で、トップチームに比べると中小チームであるがゆえの悩みが見え隠れしている。

 例えば、フランスGPのフリー走行中の取材ではピットレーンではなく、ピットウォール側で行うシステムとなっていたため、珍しくサインボードを撮影することができた。その様子を撮影をする際に気づいたのだが、トロロッソはサインボードを出していなかった。これはトロロッソだけでなく、トップ3チームとマクラーレン以外の5チームも同様だった。



 この件をあるチーム関係者に聞くと、「ガレージで作業できるパスを持っている人間に限りがあり、フリー走行中はピットウォールに出て仕事をしている余裕がないから」だと説明した。

 もちろん、いまは高性能な無線があるため、サインボードがなくても、直ちにコミュニケーションを取ることに困るわけではないが、無線に問題が発生した時や、レースに向けた準備ができないという意味では、まったく弊害がないわけではない。


 フランスGPのフリー走行1回目では、こんなこともあった。レギュレーションではフリー走行1回目の最初の40分を経過すると、1セットタイヤを返却しなければならないというルールになっている。

 しかし、ガスリーは40分を過ぎてもコースを走り続け、ペナルティを受けることとなった。理由は無線がシステムの不具合で使用できなかったからだ。もし、サインボードを併用していれば、このような問題は起きなかっただろう。

 同じフランスGPのフリー走行3回目では、予想よりも雨が降るのが早まったため、変更したセッティングを確認することができないまま、予選に臨まなければならない事態となった。天気予報が外れることは珍しいことではない。そのため、フェラーリのセバスチャン・ベッテル、レッドブルのダニエル・リカルドなどは雨が降り出さぬ内にセッション開始とともにコースインしていた。トロロッソはセッションに向けた事前の準備が、やや甘かったような気がする。

 レッドブルがトップチームだと思わせる所は、フランスGPの水曜日から路面をチェックを行なっていたこと。予算と人材が限られているトロロッソが、トップチームと同じことはできないのは当然だが、近づくために工夫はできるはず。そうしなければ、トップとのギャップは永遠に縮まらない。