F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに?」と尋ねる連載企画。今回はフランス空軍のジェット機をメンテナンスする整備士たちだ。
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フランスGPでルノーのモーターホームにお揃いのつなぎを着た男性が7名、テーブルを囲んでいた。普段、見かけない顔ぶれだっので、どんな方々なのか、ルノーのスタッフに紹介してもらった。
彼らはフランス空軍のアクロバットチーム『パトルイユ・ド・フランス』が使用するジェット機をメンテナンスする整備士だった。
なぜ、ジェット機の整備士がフランスGPのパドックにいるのか。それは日曜日のレーススタート直前に、サーキット上空をジェット機によるデモンストレーション飛行するためだ。
じつはル・キャステレ村にあるポール・リカールにはル・キャステレ飛行場という小さな飛行場があり、フランスGPの週末はチーム関係者などを乗せた飛行機が何度も離発着していた。このル・キャステレ村から約70km離れたサロン-ド-プロヴァンスにパトルイユ・ド・フランスの本拠地があり、サロン-ド-プロヴァンスからル・キャステレ飛行場に、8機のダッソー/ドルニエ・アルファジェットを事前に運び、メンテナンスしていたという。
パトルイユ・ド・フランスは、イギリスのレッドアローズ、イタリアのフレッチェ・トリコローリと並ぶヨーロッパの三大アクロバットチームのひとつ。使用する機体はダッソー/ドルニエ・アルファジェット機で、フランスのダッソー社とドイツのドルニエ社が協同で開発した軽攻撃機で、フランス空軍のほかにドイツ、ベルギー、ポルトガルなど多くの国が使用している名機だ。
日曜日のスタート前、彼らがメンテナンスしたダッソー/ドルニエ・アルファジェットがサーキットの上空に来るのを待っていた。最終コーナーから1コーナーへ向けて飛んで行ったダッソー/ドルニエ・アルファジェット機からは3本ずつ赤・白・青のトリコロールのカラースモークを大空に描いていた。
「美しいなあ」と空を見上げながら、ふと疑問が。
「3本×3機で合計9機。パトルイユ・ド・フランスって8機編隊だったはず!!」