お金がないとは辛いことだ。一生懸命働いて待遇が改善しないと、出社するのも嫌になってしまう。稼ぎが乏しい仕事を続けるのは徒労感が凄まじいもので、そんな職場で、「君は仕事が出来るね!」とか褒められても、嬉しくもなんともない。
中には「やりがいさえあればお金なんて」とか言う奴もいるかもしれないが、賃金面での不満を見ないふりをしている感じがして痛々しい。(文:松本ミゾレ)
旅行にかかるコストと得られる絆の強さ、費用対効果はいかほど?
賃金を上げずに他の施策で誤魔化そうとすることもある。先日、おーぷん2ちゃんねるに「企業『賃金を上げずに社員を定着させたい…せや!』」というスレッドが立った。本文には「社員旅行で絆を深めたろ!」との文字。スレ主はこういうやり口に辟易しているタイプなんだと思われる。
社員旅行に始まり、運動会、近所の清掃作業、ボウリング大会、割り勘の飲み会。面白くなさそうなレクリエーションを考えることにおいては、日本の会社はアイディア豊富だ。どれをとっても全く乗り気がしないし、ましてや休日開催だったら、なんで休みの日にそんなことをしなきゃならないのか、理解できない。
スレッドでも、
「大体上司サイドはどう思ってるんや。好きでもない若者と変な旅行行って楽しいんか」
「賃金はそのまま残業0にして社員がやりたいイベントを企画すればええのに」
といった意見があった。
社内イベントで絆を深めるったって、絆なんてもともと、ある程度親密な者同士でなければ深めようがない。賃金もろくに払わない企業に社員が親しみを持っているとは思えないし、イベントにコストをかけたところで思ったほどの効果は出ないんじゃないだろうか。
65%は社員旅行に反対「絶対やだ」 「行きたい」はわずか8%
キャリコネニュースは2016年、「社員旅行に行きたいと思いますか?」というアンケートを実施している。総投票数3万3115件のうち、「行きたい」という回答はたった8%だった。
大多数を占めたのが「絶対やだ」(65%)。残る27%は「行き先による」と答えている。そう、社員旅行が楽しみな労働者なんて、ごく一部。そんなことより賃金を上げろ、家でゆっくりしたいと思っているのだ。
思えば数年前、僕も某企業の熱海旅行に参加したことがあったが、陶芸体験をさせられ(これが嫌で合流を遅らせて近場で遊んでた)、快晴で気温も高い中、山登りをさせられた。このとき確信したね。「ああ、やっぱ社員旅行なんか企画する経営者は、圧倒的にズレてる」と。
これを読む経営者も何人かいることだろう。そして「賃上げなんかやらないぞ」と思っている人もいるはずだ。それはそれで任せるけど、代替案としての社員旅行だけは絶対に提案しないことをオススメする。