トップへ

DEEPが『THE SINGER』に込めた“歌い手”としての決意「自分たちの生き様が伝わるものになった」

2018年06月27日 19:01  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 DEEPが、3年4カ月ぶりのアルバム『THE SINGER』をリリース。彼らのグループとしての在り方や、“歌い手”としてのこれまでのキャリアを表すような重要作が完成した。今回のインタビューでは、アルバム直前にリリースされたシングル「Celebrate」や「SING」がグループに与えた影響を中心に、アルバム収録曲について話を聞いた。そして、「ずっとこのメンバーで、生涯現役を掲げて歌っていきたい」と力強く語る、4人の今の思いに迫った。(編集部)


・アーティストにできることは、歌を届けること(KEISEI)


ーー3年4カ月ぶりのオリジナルアルバム『THE SINGER』が遂に完成しました。まずは直近である5月30日にリリースしたシングル『Celebrate』について聞かせてください。


KEISEI:今回「Celebrate」という曲を作らせてもらって、それをシングルとして出せてもらったんですけど、その根本にあるのは、大切な人に向けて、日ごろ言えない感謝の気持ちを伝えるということで……そういう歌になっていると思います。


ーーなるほど。


KEISEI:今年の2月に出した前回のシングル曲「SING」が、あまりにも強烈過ぎたんですよね。僕らの中でも、あの曲ですごい出し切った感じがあったというか、もうホント渾身の一曲だったんです。だから、その次にどんな曲を出そうかっていうときに、やっぱり「SING」と同じように、自分たちの人生を乗せたような強い楽曲を出したいよねって話になって。アーティストにできることっていうのは、やっぱり歌を届けることなのかなっていう。


ーーそれは、「SING」の歌詞でも歌っていたことですよね。


KEISEI:そうなんです。で、メンバーからも、「それだったら、KEISEIプロデュースでやってみないか?」って言ってもらって。この曲のMVも、昔からの仲間を僕らが訪ねて行くところを撮ったものになっていて。そうやって、僕のことを知っている人たちがまわりにいたからこそ、こういう曲になったと思うんですよね。


YUICHIRO:そう、「Celebrate」のMVは、KEISEIの地元である札幌に僕ら全員で行きまして……KEISEIの友だちの結婚パーティに、僕らがサプライズで登場して、この歌を披露したんですけど、そのときの様子を今回MVにしたんですよね。


ーーメンバーのプロポーズソングを、DEEPとして歌うというのは、どういう気分なのでしょう?


RYO:アーティスト冥利に尽きますよね(笑)。もう11年も一緒にやっているので、そういうことがあってもいいのかなっていう。ファンのみなさんも、すごい祝福してくれているし……あと、KEISEIが幸せそうなので、やって良かったなって思います。


TAKA:そう、さっきKEISEIが言ったように、とにかく“歌いたい”という気持ちを歌ったシングル『SING』からの流れを考えると、「じゃあ、何を歌うのか?」って話になるじゃないですか。だから、これはこれで、すごく意味のあるシングルになったと思います。


ーーちなみに、そのカップリングには……今回のアルバムにも収録されていますが、木村カエラさんの「Butterfly」のアカペラカバーが入っていて。これ、すごく良いですね。


TAKA:ありがとうございます(笑)。ちょうど、ジューンブライドっていうこともあって、「Celebrate」を出すなら、カップリングも結婚を意識した楽曲にしようってなったんですよね。あと、この曲は、僕らにとって、最長のアカペラソングなんです。アカペラ自体は結構やってきているんですけど、作品として、ここまで長い尺をアカペラで歌い続けた曲は、今回が初だったので。それはそれで、結構大変でしたね。


ーーそして、それら諸々の楽曲を含むアルバム『THE SINGER』が、いよいよリリースされるわけですが……本当にようやくといった感じですよね。


TAKA:そうですね。まずはファンのみなさまには、本当にお待たせしましたっていう感じです(笑)。


YUICHIRO:そう、今回のアルバムにも入ってますけど、ニューヨークに行く前に出したシングル「MAYDAY」が、もう2年以上前ですからね。「Guess What Girl」とか「U-turn love」、あと「Turn Back Time」とか、その時期にレコーディングした曲も、実は今回のアルバムには入っていて……。


RYO:だから、制作期間という意味では、これまででいちばん長いものになりましたね。


ーーメンバーにとっても、かなり思い入れの強い一枚になったのでは?


KEISEI:そうですね。DEEPのオリジナルアルバムとしては5作目になるんですけど、最初の頃は、年齢的にも、まだまだ自分を磨いたりとか、そういうものをメインにやっていたところがあったような気がして。自分の人生を乗っけるというか、それを作品としてまとめあげるみたいな感じのアルバムは、今回が初だと思うんですよね。そういう意味でも、これまで出してきた中で、いちばん色の濃いアルバムになったんじゃないかなって思います。


ーーもともと歌の上手いグループでしたが、そこに加えて“歌の奥行き”のようなものが出ているように思いました。


TAKA:この3年のあいだに、DEEPとしてもいろいろありましたからね(笑)。そういうリアルな感じが出ているというか、何か自分たちの生き様みたいなものが、すごく伝わるアルバムになったと思います。で、僕は、このジャケットが、実は今まででいちばん好きで……。


ーーこれはどういう?


TAKA:これは僕たち4人のシルエットなんですけど、顔が見えるか見えないかわからないぐらいの感じになっていて……何かシンガーっぽくて良くないですか? 歌で勝負している感じがあるというか。


YUICHIRO:顔はあえて見せないっていうね。


TAKA:そう。いや、俺らは歌だからっていう。


・決意を表したアルバムタイトル(TAKA)


ーーまさしく“THE SINGER”というアルバムのタイトル通りというか……これは複数形ではなく、あえて単数形で?


TAKA:そこが実は大事なんですよね。DEEPっていうのは、それぞれがメインを歌えるグループであるっていう主張でもありますし、このメンバーになって11年目を迎えた今、改めて「俺たちは歌い手なんだ」っていう決意を表したアルバムタイトルになっているんですよね。それはやっぱり、「SING」という曲をリリースした流れからきているところもあって……そういう意味で、「SING」という曲は、自分たちにとっても、すごい大きかったんですよね。改めて“歌いたい”、“歌い続けたい”というか、やっぱりそれしかないんだっていう。


ーー話が前後してしまいますが、「SING」というシングルは、相当リアクションも大きかったのでは?


TAKA:そう、めちゃめちゃリアクションが良かったんですよ。今まで僕たちを見てきてくださったファンの方はもちろん、スタッフの方とか僕らのまわりの人たちも含めて、「すごい緊張感があって、良かったよ」って言ってくれて。それは、一発撮りで臨んだ、「SING」のMVについても同様で。やっぱり、魂の叫びというか、リアルを追究したものっていうのは、ちゃんと伝わるんだなって思って。まあ、だから、その次が大変だったっていう話に戻るんですけど(笑)。


ーーそんな「SING」を核としつつ、今回のアルバムは、どんな方向性でまとめ上げようと思ったのですか?


TAKA:とりあえず、この3年間で出してきたシングル曲とカップリング曲は、全部入れたいと思っていて。それにプラスアルファで、新曲ですよね。今回のアルバムの10曲目から12曲目の3曲が、一応新曲になるんですけど。


YUICHIRO:たとえば、その10曲目の「DWTS」という曲とかに関して言えば、ライブ映えっていうのはもちろん意識しつつ、僕らが今まで作ってきたアップテンポのものとはまたひと味違うものになっていて。ちょっと大人になった感じのアップテンポな曲というか。


ーーこの曲は、かなりグルーヴィな一曲になっていますよね。


YUICHIRO:そうですね。この「DWTS」というのは、“Dance With The Stars”っていう意味なんですけど、アメリカでは、そういう名前のダンス番組があるくらい有名な言葉なんですよね。で、この曲は、もともとテディ・ライリーっていう、すごい方が作った曲だったりもして。さらに、軽く振りなんかもつけて歌えるようになっている曲なので、そういう曲をアルバムに収録できて、僕は個人的に嬉しかったですね。


ーー既発曲も、シングルのカップリング曲とかは、かなりカッティングエッジな曲にもチャレンジしていましたよね。


TAKA:そのへんは、ライブを意識しているところもあって。やっぱり、アップテンポな曲がないと、ライブの緩急がつかないじゃないですか。そういうところは昔から考えながら、アルバムは作っているんですよね。


ーーなるほど。


TAKA:あと、この11曲目に入っている「あなたに」という曲は、このアルバムのリード曲になってもおかしくないぐらい、すごい名曲が誕生したなって自分たちでは思っていて。僕たちが以前出した「君じゃない誰かなんて~Tejina~」っていう曲が、ライブとかでもすごい人気があって、DEEPの代名詞みたいになっているところがあるんですけど、それに近い楽曲になっていくんじゃないかと思っていて。この曲は、ずっと歌い続けていくべき曲……歌い続けることによって、大きく広がって成長していく曲かなっていうふうに思っているんですよね。


ーー最後の新録曲は、昨年EXILE THE SECONDのツアーに帯同したときにも披露していた、EXILE SHOKICHIさんのヒット曲「The One」のカバーです。


RYO:そのアコースティックバージョンですね。


TAKA:そう、これはツアーに帯同させてもらった感謝も含めて、今回最後に収録させていただきました。


ーーでは最後に、改めて本作の聴きどころを、それぞれひと言ずつ。


RYO:この一枚で僕らのことがわかるようなアルバムになったと思います。あと、個人的には1曲目の「MORE DEEP」は、Full of HarmonyのHIROさん――MIHIROさんにプロデュースしていただいた曲になっていて。僕、昔からファンだったので、単純に嬉しかったんですよね(笑)。だから、そういう僕らの歩みも入っていると言うか、11年間の重みを感じて聴いてくれたら嬉しいなって思います。


YUICHIRO:女性の方々にはもちろんなんですけど、やっぱり男性の方々にも、是非聴いてもらいたいなって思います。多分、男性が聴いてカッコいいなって思えるような曲も、たくさん入っていますし、男性が「歌いたい」って思う曲も入っていると思うので。あとはやっぱり、どの曲も、デビューしてから11年経った僕らだからこそ歌える歌になっていると思うので、そういうところも是非聴いていただきたいですよね。あと、今回の初回生産限定盤についているDVDには、シングルのMVの他に、「DEEPに聞きたい50のこと」っていう、ちょっとバラエティみたいな企画ものの映像が入っていて(笑)。それも含めて、楽しんでいただけたらなって思います。曲はカッコ良く、だけど映像は面白くみたいな感じになっていると思うので(笑)。


KEISEI:全12曲、余すことなく聴いてほしいですし、今YUICHIROが言ったみたいに、「歌いたい」と思えるような楽曲というか、歌がホントに好きな方、バラードが好きな方は、絶対気に入ってもらえるアルバムになっていると思うんですよね。で、僕らも、この『THE SINGER』という名の通り、ずっとこのメンバーで、生涯現役を掲げて歌っていきたいなと思うので、歌好き、バラード好き、あるいは歌いたい方、歌手を目指している方……もうすべての人に聴いてもらいたいなって思います(笑)。


TAKA:まあ、みんながもう十分に言ってくれたと思うんですけど、DEEPの良さは、やっぱり生で聴くライブにあると思うんですよね。だから、CDを聴き込んでくださるのも、もちろん嬉しいし、カラオケで歌っていただいたりするのも嬉しいし、聴いてくれた人たちの今後の人生にとって、思い出の一枚になってくれることを、すごく願っている一枚ではあるんですけど、是非一度、僕たちの歌を生で聴いてみていただきたいなって思います。そのあたりの情報は、随時ホームページのほうにアップさせてもらうので、そこをチェックしてもらって是非、生の『THE SINGER』を体験してもらいたいですよね。(取材・文=麦倉正樹)