10年ぶりの復活開催、母国ドライバー3人と話題づくめの2018年フランスGPはどんな盛り上がりを見せたのでしょう?ポール・リカールからムッシュ柴田氏が現地の様子をお届けします。
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久しぶりにポール・リカールにやって来ると、やっぱりフランスGPは南仏だよな~と思ってしまいます。
この陽光は、地中海ならではですもんね。ただポール・リカールの最大の欠点は、サーキットが山の中にあって、周りに何もないこと。隣接する超高級ホテルに泊まれないわれわれ下々は、そこから20kmほど下った海沿いの村々に宿を取って、毎日通うことになります。
今年はラ・シオタという村に民泊しました。
ガレージを改造したと思われる、極小の部屋。寝るだけだからいいんですけど、せめてシャワールームがもうひと回り広いとうれしかったかも。隣に住んでる大家さん夫婦は、いい人たちでしたけどね。
F1渋滞緩和のために、関係者だけが通行できる道が1本確保されました。おかげで毎朝、スイスイ。道端に咲いてるケシの花があんまり可憐で、レンタカーを停めて撮りました。
この辺り、けっこうリズミカルに走れるワインディングロードなんですよね。30数年前にフランク・ウィリアムズが事故ったのも、確かこの近くかと。金曜日の夕方には、ブレンドン・ハートレーの運転とおぼしきシビックTYPE Rが、ものすごいスピードでかっとんで行ってました。
久しぶりのフランスGPということもあってか、いろいろ懐かしい顔に再会しました。
2年前のモナコGP以来となる無限ホンダ創業者・本田博俊さん。
「オヤジが生きてたら、みんなボコボコにされてるよ」という話をしてるところに通りかかった、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長。
「僕もほんと、そう思います」と、ちょっと強ばった表情で相づちを打ってました。
博俊さんて、すぐにムキムキのふくらはぎを見せたがるんですよね……(笑)。
山本部長はその後、外国人記者相手に囲み会見。
ホンダがレッドブルと組むことへの関心はやはりかなり高いようで、ずいぶんたくさんのジャーナリストたちが押し寄せていました。
中でもイギリス人が多かったのは、3年前のマクラーレンの時と比べて、今度のホンダがどこまでやれそうか、知りたかったということなんでしょうか。
予選後のハートレー選手。
渋滞に捕まったこともあって、不本意な予選16番手タイム。
ただ、パワーユニット全交換でグリッド最後尾スタートが決まっていましたから、実害はほとんどありません。
「レースペースは悪くないし、着実に順位を上げて行くよ」と、この週末もあくまで前向きでした。
真正面に話を聴いていて、彼のしてる腕時計にふと目が留まりました。
よくよく見るまでもなく、カシオのかなり古い、しかも決して高級じゃないモデルじゃないですか。隣の南アフリカのオジサンも気になったようで、予選の話そっちのけで、「その時計どうしたの」と質問。
するとハートレーは、「あ、これ?カシオがスポンサーしてくれてるずっと前に、個人的に買ったんだ。気に入っていて、それからずっとしてるんだ」とのこと。好感度、ますます高し!!
あとでSNSで教えてもらったんですが、『チープカシオ』というジャンルができていて、この種の時計がけっこう人気があるんだそうな。
決勝当日は曇りがちの天気。レース中の降水確率は60%ということで、途中で雨が降ったらかなり面白い展開になりそうと期待したんですが、
結局一粒も降らず、ルイス・ハミルトンの圧勝に終わりました。
そしてわれわれメディア関係者にとっては最もカンベンしてほしい、レース後の囲み取材のタイミングでどしゃどしゃと大雨(涙)。
もしかしてスタート直後にクラッシュに絡んで、期待した結果を出せずに終わった地元フランス人ドライバー3人の、涙雨だったのかもしれません。
明らかにもらい事故で、自分は被害者と思っていたピエール・ガスリーは、スチュワードの聴き取りから帰ってきたあとも憮然とした表情でした。
それに比べると、フランスの隣国モナコのシャルル・ルクレールは今回も絶好調でした。
予選8番手という結果は、いくら今年のザウバーが戦闘力を回復しつつあるとはいえ、驚きの速さでした。
レースは地力に勝るライバルたちに抜かれたりしたものの、それでも10位入賞。
今回はキミ・ライコネンもがんばって表彰台に上がりましたけど、このまま行くと来季のフェラーリはセバスチャン・ベッテルとルクレールのコンビになる可能性が、ますます高くなってる印象です。