自民党の二階俊博幹事長が6月26日、都内の講演で少子化問題に触れた際、「子供を産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」「子供をたくさん産み、国が栄え、発展していく方向にしよう」などと発言していたことが分かった。
結婚や出産の強要とも捉えられかねない発言に、「時代錯誤も甚だしい」「また自民党か」など、ネットでは多くの批判が上がっている。
「今、食べるのに困る家はない」困窮する人を蔑ろにする発言も
東京大学Cedepとベネッセ教育総合研究所が実施した調査によると、2人目の子どもを持ちたくても、経済面から難しいと感じている世帯は、年収800万円以上でも約68%いるという。年収400万円未満では約91%にも上る。
子育てに金銭的不安を持つ人が多いのは、多額の教育費や保育園不足などの問題を、自力で埋める必要があるからだ。現在の子育て支援政策だけでは安心して子どもを育てられない、という意識の表れとも言える。
朝日新聞の報道によると二階氏は「食うや食わずの戦中、戦後、子どもを産んだら大変だから産まないようにしようと言った人はいない」という自身の考えを踏まえた上で「子どもを持たない人は勝手」と発言したと言う。まるで、政府は子育て環境を十分整備しているのに子どもを持たないなんて怠慢だ、とも言いたげだ。
ネットでは一連の発言に、
「子供を持つか持たないかは夫婦の問題で国が口を出す権利はない。しかし、自分達の政策の悪どさを棚に上げてよく言えたものだ」
「子育てができる法整備もろくに無いのに、子供を作らないやつは非国民みたいな扱いを政治家にされたらふざけんなよってところはあるだろうし、この超少子化を招いたのは長年政権を担いながらも問題を放置し続けた自民党の責任は重大なはずだけど、そこは謝罪もないあたりがまた」
などの声が相次いでいる。
二階氏は講演中、「戦後と違い、食べるのに困るような家はもう今はない。今晩お米が用意できないという家はない。こんな素晴らしい幸せな国はない」とも発言している。厚労省の調査によると、2016年度の一月あたりの生活保護受給世帯数は約164万世帯で、過去最高を更新している。深刻化する貧困問題への理解不足を露呈させただけでなく、現在困窮している人を蔑ろにする発言だ。
5月には別の自民議員が「結婚したら必ず3人以上子どもを産んで」と発言し謝罪
自民党では、子どもを持たない人や家族の価値観を否定し、「国のために子どもを産め」という趣旨の発言をする議員が後を絶たない。直近では5月上旬、加藤寛治衆院議員が、派閥の会合の場で「結婚披露宴に出席する際は、必ず3人以上の子どもを産み育てるようお願い」していると発言。批判を浴び、謝罪した。
同月下旬には萩生田光一幹事長代行が、宮崎市内の講演で
「男女共同参画や男も育児だとか言っても、子どもにとっては迷惑な話」
「赤ちゃんにパパとママどっちがいいか聞けば、ママのほうが良いと言うに決まっている」
と発言している。
昨年11月には山東昭子議員が、子どもを4人産んだ女性を表彰して少子化対策につなげようと提案し、物議を醸した。相次ぐ自民党議員の失言に「また自民党かよ」と呆れる声も出ている。