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「仕事は見て覚えろと言われ、間違えると怒鳴られる」 造園業者が「お庭のカットモデル」で経験積ませ"若者の職人離れ"防ぐ

2018年06月27日 11:41  キャリコネニュース

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造園業を行うやましたグリーン(東京都八王子市)は、修行中の職人が剪定を行う「お庭のカットモデル」を提供している。

公式サイトには「一人前の職人を目指して修学中の弊社見習い従業員が剪定をいたします」とあり、半日コースで通常1万6500円が1万3000円、1日コース2万7000円が2万2000円(いずれも税抜き、ゴミ処分代含む)となっている。通常の2割程度安い価格だ。

これまで新人の主な仕事は掃除「数年はハサミすら持てませんでした」

現在、造園工事業を含む建設業界では、深刻な人手不足となっている。国土交通省の調査によると1997年のピーク時には、建設業従事者が685万人いたのに対し、2016年が492万人と約3割減少。また若者の建設業離れも叫ばれており、今後も高年齢者層の引退に伴って人員不足が予想される。

この若者離れについて、同社はプレスリリースで「『きつい、危険、きたない』の3Kのイメージの影響もありますが、大きな理由の一つの辛い修行があるからだと考えられます」と説明する。

「現場の多くは職人の世界、まずは見習いから始まります。見習いが現場で行う仕事は、掃除や片付けと運搬、あとは黙々と下準備をするだけ。仕事は見て覚えろと言われ、間違うと怒鳴られてしまう。これでは一人前になる前に挫折して辞めてしまいます」

同社でもこれまで新人の主な仕事は掃除で、「数年はハサミすら持てませんでした」という。また実際の現場では教える時間も、練習する場所もなかった。そのため「これは修行期間を我慢できないのが悪いのではなく、教育の仕組みが良くないのでは」と6年前から「お庭のカットモデル」を始めた。

利用者は通常料金より安く済ませることができ、見習い職人は経験を積むことで技術が早く身に付く。また社長や先輩がチェックし手直しを行うため、安心して利用することもできる。

さらに、「集金するところまでを見習い従業員が行うので、新人は自分の仕事でお金をもらった充足感と仕事に対する責任感を持つことができる」という。カットモデルサービス開始から1人は独立したが、また新しい若手人材も入ってくるようになり、今年は新卒2人を採用した。

現在は「空き家」への依頼が多く、「住んでいるわけではないからお金はかけなくないけど、道路や隣に飛び出した枝を剪定してほしいというニーズがある」という。対応エリアは東京都内を中心に、神奈川県、埼玉県、千葉県の一部となっている。