2018年06月27日 11:12 弁護士ドットコム
高齢者や主婦を狙った催眠商法の一つに「ハイハイ商法」「SF商法」と呼ばれるものがある。無料商品の配布や激安商品の販売で、狭い会場に人を呼び込み、販売員のトークで熱狂的な雰囲気を作り上げ、客が冷静な判断力を欠いたところで、高額な商品の購入希望者を募るというものだ。
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ネットには、実際に被害にあった主婦からの投稿も寄せられている。投稿者は、近所で開催された「展示会」に参加し、激安の商品を購入するなかで、冷静さを欠き、30万円の高額羽毛布団の購入希望者が募られたときに、とっさに手をあげてしまったそうだ。
人間の心理につけこむ商法だが、本当は購入する意思がなかったのであれば、売買契約を無効にできないのか。尾崎博彦弁護士に聞いた。
「このようなケースにおいては、クーリングオフができる場合が多いです」
クーリングオフは、主に訪問販売に対して認められるというイメージがあるが、このような商法でも適用されるのか。
「訪問販売というと、自宅などへ訪問して勧誘する販売をイメージしてしまいますが、特定商取引法においては、およそ『営業所等以外の場所』での販売もこれに該当します。
一時的な場所を利用し、短期間(1日程度)の開催にすぎない近所の「展示会」等での販売は『営業所等以外の場所』での販売に該当すると考えられます。
訪問販売は、特定商取引法の規制を受けますので、販売業者は法定書面を交付しなければならず、その書面を受領した日から起算して8日以内であれば、無条件で契約を解除(クーリングオフ)できるのです」
もしクーリングオフの期間を過ぎてしまっていた場合、取り消すことはできないのか。
「既にクーリングオフの期間を経過していた場合であっても、たとえば通常の店舗では数万円程度で販売されている羽毛布団を30万円で買わされたというような事情があった場合などは、『不実の告知』あるいは『虚偽の不告知』に該当し、当該契約を取り消すことができます。
また、日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える数量の商品を購入させられた場合には、『過量販売解除権』が認められています。
『催眠商法』や『SF商法』といった詐欺的な商法で不要な商品を購入させられた場合には、特定商取引法や消費者契約法により契約の解除や取消を主張できることが多いです。速やかに弁護士さんや消費生活センターに相談されるのがよろしいかと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
尾崎 博彦(おざき・ひろひこ)弁護士
大阪弁護士会消費者保護委員会 委員、同高齢者・障害者総合支援センター運営委員会 委員、同民法改正問題特別委員会 委員
事務所名:尾崎法律事務所
事務所URL:http://ozaki-lawoffice.jp/