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『花のち晴れ』今田美桜と飯豊まりえの恋が切ない 音を支える愛莉とめぐみの徹底的な強さ

2018年06月26日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 いよいよ最終回を目前まで控えた『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)。江戸川音(杉咲花)を賭けての神楽木晴(平野紫耀)と馳天馬(中川大志)の対決に注目が集まる。一方、その強烈なキャラクターで魅力を放っている真矢愛莉(今田美桜)と西留めぐみ(飯豊まりえ)も忘れてはならない。同ドラマの魅力は、異なるタイプの異性に揺れ動く恋心だけではないのだ。1人の女の子が友情を育んでいく姿にも注目してほしい。


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 ドラマの軸が音と晴、天馬をめぐる恋物語だからこそ、愛莉とめぐみはライバルとしての位置付けで描かれることが多かった。しかし、物語が進み、晴と天馬の一騎討ちとなった今、彼女たちは音の友達として重要な役割を果たしている。音は自分が晴に惹かれていることを受け入れられず、家庭環境や友人関係を理由にその気持ちに蓋をする。自分に言い聞かせるかのように天馬に愛を伝え続ける姿は、どうしても「本音じゃないくせに!」と言いたくなってしまう。音がずっと気にかけている本当の自分というのは、最終的には自分の恋心にも素直な“本当の自分”になれるように少しずつ足掻きもがいている様子なのではないか。その音のジレンマをサポートするのが、愛莉とめぐみというキャラクターだ。毒舌ながらも愛情深く、誰に対しても相手の本当の気持ちを1番に大切にする芯の強い愛莉、痛々しいほどに真っ直ぐで、どんなに傷つけられても一生懸命なめぐみの2人は、まだ未成熟な音の“本当の自分”とは対照的に、個性が確立している。


 愛莉の愛情の深さは、音や晴に対してだけではない。時には、めぐみに対しても思いやりを持ち誠実に接する。めぐみのことを気に入らないと言いつつも、次第にその真っ直ぐな気持ちを受け入れ、晴を想うめぐみの気持ちを優しく受け止めている。めぐみとたこ焼きパーティーをした際には、「恋愛なんか世界から消滅しちゃえばいいのに」と自身を取り巻く環境に感情移入し、弱々しくつぶやく優しさを見せた。一方のめぐみもまた、深い愛情で音や晴をサポートしている。音の、「晴を好きではない」という態度に惑わされ、振り回されていることに気づいていても、音を責めるようなことはしない。さらに、晴がどんなに中途半端にめぐみに接しても、めぐみは常に晴の居場所で居られるように待っているのだ。“芸能人”という職業を表すように、めぐみは誰かの“拠り所”であり続けるという強さを持っている。


 彼女たちはもうただの「ヒロインのライバル役」ではない。ヒールに徹し、ヒロインの魅力を助長させるためにいるキャラクターではないのだ。はじめこそ、恋における一つの試練としての位置付けであったが、今ではヒロインの成長を助け、見守るキャラクターとして描かれている。実際に、愛莉は音の本音を探るような発言を多くしており、音の本当の気持ちを受け止めようと向き合っている。さらにめぐみは、自分が恋している晴が音に好意があることをわかっていながら、音の良さや魅力を真正面から受け止め素直に認めている。彼女たちの音と向き合う徹底的な強さは、このドラマで一番安定感のないヒロインの音を、両脇からしっかりと支えているのだ。彼女たちの存在によって、ようやく建前で塗り固められた音の本音が垣間見えている。


 同ドラマの女性キャラクターには三者三様の魅力がある。決して、音が不安定ゆえに魅力のない女性なわけではない。しかし音の魅力というのは、愛莉がいて、めぐみがいてこそさらに光るものなのではないだろうか。音がヒロインである以上、音以上に幸せになることはないであろう2人のキャラクター。この2人にはそれぞれの幸せを見つけ、羽ばたいてほしいと願う。


(Nana Numoto)