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86/BRZ第4戦:佐々木雅弘が逃げ切り4人目のウイナーに。織戸学がランク首位守る

2018年06月25日 19:41  AUTOSPORT web

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織戸学、谷口信輝からの猛攻を防ぎ、今季4人目のウイナーに輝いた佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)
GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第4戦が岡山国際サーキットを舞台に、6月23~24日に開催され、プロフェッショナルシリーズは佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)が制して、今季4人目のウイナーが誕生。クラブマンシリーズでは神谷裕幸(N中部GRGミッドレスDL 86)が今季2勝目をマークして、ふたたび単独でのランキングトップに浮上した。

 プロフェッショナルシリーズもクラブマンシリーズも、ここまで3戦すべてウイナーが入れ替わる大激戦となっており、果たして岡山国際サーキットの第4戦でも、同じような状況が続くのか注目された。

 土曜日の予選は、昼まで降っていた雨の影響でクラブマン1組、クラブマン2組、そしてプロフェッショナルと、行われた順に路面状態が向上していった。当然、それぞれのセッションでも、どのタイミングでアタックするかで明暗が分かれた。

 まずクラブマン1組は完全に後半勝負。ラスト3分で目まぐるしくトップが入れ替わるなか、金曜日の専有走行でも最速だった庄司優磨(OTG DL 86)がトップに立って、これで決まりかと思われた直後に上回ってきたのが、田嶋聡(ネッツ兵庫インパルスDL86)だった。

 田嶋は86/BRZ Race初参戦だが、岡山国際サーキットがTIサーキット英田と呼ばれていた頃を知る者は一目置く存在。エントリーが100台を超えた伝説のAE86レースで、初代チャンピオンに輝いているドライバーだからだ。

「ここ(岡山)で遊びのレースには出ていましたが、本格的なレースはインテグラ以来、10数年ぶりです。レコードラインは乾いていたので、縁石はもちろん脇は一切使わないよう、慎重に走ったのが良かったんですかね」と、ひさびさのレースにも腕に錆のないことを田嶋はアピールした。その1組の2番手は庄司で、3番手は山下昌樹(NUTECアライズ86)。

 クラブマン2組は、もう前半勝負に。先頭でコースインした神谷裕幸(N中部GRGミッドレスDL86)が最初に記したタイムは、その後誰にも破られなかったからだ。もちろん田嶋のタイムも上回って、開幕戦以来のポールポジションを獲得する。

「コンディションに助けられましたね。昨日まで庄司くんが速かったので、普通にドライだったら、どうなっていたことか。もうドライになっていると判断したので、先頭で出ていったのも良かったですね。今日はツキもありました」と神谷。

 2番手は水野大(リキモリ制動屋ピース剛式86)が、3番手は岡山スーパーFJポイントリーダーでもある大島和也(Team MDI/BSR 86)が獲得した。

 そしてプロフェッショナルシリーズは、クラブマンシリーズより5分長い、20分の計測であったから、結果的には前半にアタックしたドライバーたちが上位を占めたが、後半に好タイムが記録された可能性もあっただろう。しかし、折り返しのあたりで赤旗が出て計測が中断されたこと、そして最後の最後に小雨が降ったことで、その可能性はなくなった。

 普段なら後半に勝負を賭ける谷口信輝(KTMS 86)が先頭で出ていったことに、何か感じるところがあったのだろう。「いつもと違って、早く出ていったのは一に雨が降りそうだったのと、二に赤旗を出すような奴がいるだろうというのと、三にピットが1コーナー寄りで出やすい位置だったから」と語る谷口に、佐々木雅弘(小倉クラッチREVO 86 BS)、織戸学(サミー☆K-one☆MAX86)らが続々と続いていく。

 その結果、トップタイムをマークしたのは佐々木で、その背後につけた織戸が2番手。谷口が3番手で、菅沼冬悟(OTG DL 86)、阪口良平(大阪トヨタ86レーシングBS)、服部尚貴(OTG DL 86)の順で続くことになった。

「後半の方(にアタックするの)が良さそうだったけど、雨が降ってきたから嫌なので最初から行きました。昨日いろいろあって、ミスじゃないけど足りないところが分かったので、そこをアジャストしていったら、うまくいきました。前回のAPから新車にしてもらってだいぶセットが決まってきたので、ポールが獲れてすごく良かった。ランキング上位のふたり(織戸、谷口)とは同じタイヤを履いているけど、本当は違う看板のドライバーなので(笑)。だから、僕が勝たないといけないので、決勝は頑張ります。絶対に勝ってきます」と佐々木。

 そして織戸は「昨日まで25番手とか、絶不調だったから佐々木の後、着いていったのは大正解。僕的にはグッドジョブ!」と一言。

 決勝レースの行われる日曜日は前日とは一転して好天に恵まれ、気温は30度を超え、路面温度は50度にも迫る、まるで夏場のレースのようなコンディションになっていた。

 クラブマンシリーズのBレースでは、燃料計トラブルで20番手スタートを強いられた橋本洋平(カーウォッチ86 BS revo)が序盤早々にトップに立って、最後は20秒差の圧勝に。2位に黒岩唯一(埼玉トヨペットGB 86)が入って、続くAレースの盛り上がりに、しっかりお膳立てを整えていた。

 そのクラブマンシリーズのAレースは、まずは予選順位そのままに神谷が田嶋と水野、庄司を従える形から開始される。2周目になると、もうトップグループが後続を引き離すも、ただひとり加わってきたのが菱井將文(CUSCO 86 BS)だった。5列目からのスタートだったが、1周目のうちに大きく順位を上げて、3周目には庄司に抜かれたばかりの水野をパスして4番手に浮上。

 一方、「初めてのレースだったので情報が足りず、内圧低めでスタートしたのが裏目に出てしまいました」と語る田嶋を、庄司がとらえて2番手に上がったのが8周目のヘアピン。これに続こうと菱井はWヘアピンで田嶋をかわそうとしたが、ここでの逆転は許されず。しかし9周目の1コーナーでは菱井も3番手に躍り出る。

 こうした後続のバトルが激しさを増したこともあり、一気にスパートをかけた神谷が一時は1秒7のリードを築いて、そのまま逃げられるかと思われたものの、それを唯一許してくれなかったのが庄司だった。

 ラスト2周は完全にテール・トゥ・ノーズ状態になるも、辛くも神谷は逃げ切り成功。今季2勝目をついにマークして、単独でのランキングトップに立つことになった。

「ペースコントロールできるかと思ったんですが、全然そんな余裕なかったですね。最初のうちは田嶋さんと初めてバトルするので、どういう出方をするのか様子見していたというのはありましたが、実のところクラッチの調子が悪くて、シフトポイントが周ごと変わっちゃっていて。本当に長く感じられたレースでした、時にラスト2周が。これでまたランキングのトップに立ちましたが、有効ポイントもあるので、まだどうなるか分かりません。とにかく一戦一戦大事に戦っていくだけです」と神谷。

 その表情が安堵に満ちていたのとは対照的に、「今回は一発もロングも速さに自信があったので、全然コントロールするとか考えず、ガンガン行ったんですが、前の2台を抜くのに時間かかっちゃったのが痛かったですね」と庄司は実に悔しそうだった。3位は菱井が、そして田嶋が4位を獲得。

 プロフェッショナルシリーズの決勝では、織戸が絶妙のスタートを決め、1コーナーにトップで飛び込んだものの、「内圧高めにして、早々に逃げようと思っていた」という佐々木がバックストレートで抜き返すことに成功。続くヘアピンでは織戸に谷口が襲い掛かったが、逆転は許されず。そこからのオープニングラップは、またしても大渋滞が発生する。これにも助けられた佐々木はグランドスタンド前に1秒7の差をつけて戻り、そのまま逃げ続けていくのかと思われた。

 しかし、ピークは予想外に早く、4周目の4秒差がMAXに。その頃すでに後続を引き離していた織戸と谷口が、徐々に佐々木に迫るようになってくる。8周目には谷口をも振り切った織戸が10周目にテール・トゥ・ノーズ状態へ持ち込むまでに。

「前半は予定通りの展開で、うまく離せたんだけど、路面が上がってきてから織戸さんが近づいてきてからは、本当に厳しいレースになっちゃいました。明らかに“ヤル気スイッチ”入っているんだもん! もう超必死でした」と語る佐々木がコンマ3秒差ながらも逃げ切って、今季4人目のウイナーが誕生。

 そして、「これでシリーズ争いに僕も加われたと思うので、早く追いついて最終戦で逆転、といきたいですね。まだまだ諦めてなんか全然いませんから」ともつけ加えた。

「金曜日までは調子悪かったけど、土曜日の予選から流れが変わって、本当に楽しいバトルができた。あと2周あればね!」と語る織戸は、ランキングのトップを死守。3位でゴールの谷口も、今年はプロフェッショナルシリーズが全戦有効のポイントシステムに改められただけに、このしぶとさが最後に大きくモノを言いそうだ。

 次戦富士でも、果たして5人目のウイナーは誕生するのだろうか? 第5戦は7月21~22日に行われる。