BTCCイギリス・ツーリングカー選手権は6月22~24日、2018年シーズンの中盤戦となる第5戦クロフト・ラウンドが行われ、ここまで苦戦が続いていた王者アシュリー・サットンのスバル・レヴォーグGTが予選ポールポジションを獲得。その勢いのままフロントロウに並んだチームメイト、ジェイソン・プラトとのワン・ツーでレース1のポール・トゥ・ウインを達成すると、レース2でも続けて勝利しスバルが反撃の2連勝を飾った。
今季、NGTC規定のもとで水平対向4気筒ボクサーターボのエンジンチューナーを変更したチームBMRは、前半戦はその熟成に手間取り、結果が付いてこない苦しい戦いを強いられてきたが、このクロフトでの週末でその状況が一変。
王者サットンのドライブするFRのスバル・レヴォーグGTは、プラクティス2で今季初のセッショントップタイムを記録すると、そのまま予選も制圧。サットンは約12カ月ぶりのポールポジションを獲得すると同時に、「オールトンパークからエンジンの状況が改善された。これで我々もようやく『Game On』だ」と語る“悪童”プラトとともに、スバル勢がフロントロウを独占してレース1スタートを迎えた。
そのスタートでは、スバル・レヴォーグGTがFRのトラクションを活かして1コーナーを制するも、後方でロブ・オースティン(ハンディ・モータースポーツ/アルファロメオ・ジュリエッタ)がコースオフを喫しグラベルにスタック。この車両回収のため早速のセーフティカー(SC)導入が宣告された。
ハードコンパウンドでのスタートとなったサットンは、SC明けリスタートまで入念にタイヤの熱入れを進めると、再開後も3番グリッドから2番手プラトをかわして浮上してきたアンドリュー・ジョーダン(ウェスト・サリー・レーシング/BMW125i Mスポーツ)を従えて首位キープに成功。その後も安定したラップで、後続を引き離しにかかる。
ソフトタイヤをチョイスしていた3番手プラトのレヴォーグGTも、BMWとのFR対決でラップタイムに勝る速さをみせ、11周目には前を行く2013年王者を攻略すると、そのままハードタイヤのチームメイトを猛追。
17周目のファイナルラップにはチャンピオンに対しテール・トゥ・ノーズにまで迫り、スバル・レヴォーグGT同士のドッグファイトに発展するも、オーバーテイクするまでには至らず。0.863秒差でフィニッシュとなり、サットンが王座防衛へ反撃ののろしを上げる今季初勝利のポール・トゥ・ウイン。2位プラトとともにスバル・レヴォーグGTのワン・ツー・フィニッシュとなった。
一方、プラトに先行されたWSRのジョーダンは、14周目のクレルヴァー・コーナーでコースオフし10番手にまでドロップ。代わってスピードワークス・モータースポーツのトム・イングラム(トヨタ・アヴェンシス)が最後の表彰台を獲得している。
続けて開催されたレース2は、勝者サットンがふたたびポールからの発進となるも、スタートでそのFRレヴォーグの前に出たのは、3番グリッドから抜群のダッシュを決めたトヨタ・アヴェンシスで、イングラムはそのままオープニングラップのコントロールラインをトップで通過していく。
しかし、ラップ2のヘアピンでわずかに“ドアが開いた”瞬間を見逃さなかったサットンは、そのままインに飛び込むと、トヨタの快速FFマシンをオーバーテイク。早々にレースリーダーの座を取り戻してみせる。
その後も、このレースでは標準のソフトタイヤを装着したサットンのレヴォーグGTは力強いラップタイムで後続を引き離しにかかり、一方のイングラムがWSRコリン・ターキントン(BMW125i Mスポーツ)からの攻撃に対し防戦に徹する展開となったことにも助けられ、15周で4秒のマージンを築いて悠々クルージングのトップチェッカー。
2位イングラム、3位ターキントンに続き、4位にはこの9レースで6度目となるモーターベース・パフォーマンスのサム・トルドフ(フォード・フォーカスRS)が入った。
「まず言わなくてはならないのは、この週末のスバル・レヴォーグGTは本当に素晴らしいマシンだったということだね」と、現役チャンピオンのサットン。
「エイドリアン・フラックス・スバル・レーシング、チームBMRのメンバーはとてつもない仕事をこなしてくれた。トム(イングラム)が“昼寝”をしていた瞬間だったかは分からないけど、そのときも彼は僕に対してハードにドアを閉じるような無謀なことはしなかった」
「その後、ギャップを築こうとハードにプッシュしたけど、これまでのマシンとは見違えるスピードを見せることができた。選手権では現時点で昨年よりはるかに後方(ランク8位)だけど、王座防衛を諦めたりはしない。この連勝でトンネルの向こうに少し光が見えた感じだよ」
一方、サットンとともにフロントロウからスタートしたプラトは、その際にジャンプスタートを取られ、さらにドライブスルー消化後の中団でもバトル中のムーブでペナルティを受け14位に終わっている。
続く最終のレース3は、前戦のオールトンパーク戦からBTCノーリンに加入し、FK2型のホンダ・シビック・タイプR NGTC仕様をドライブするダン・ロイドが、レース2の9位でリバースグリッドの優位を活用して勝利。現TCR UKのポイントリーダーは、ホールショットを奪うと一度も首位を譲ることなく6秒の大差で逃げ切り、このBTCCでも速さを証明した。
次戦、BTCC第6戦はイギリス東部、ロータスが本拠を構えるノリッチ近郊に位置するスネッタートンを舞台に、約1カ月後の7月27~29日に開催される。