トロロッソ・ホンダにとって初めてのフランスGPは、スタート直後にアクシデントに巻き込まれるという波乱の幕開けとなった。
14番手からスタートしたピエール・ガスリーが3コーナーでエステバン・オコンと接触。マシンに大きなダメージを負ってコースサイドに止まったガスリーはそのままリタイアとなった。
「3つのコーナーを走っただけで、レースを終えるほど悔しいものはない。しかも、母国グランプリでね。3コーナーでオコンをオーバーテイクしようとしたけど、ブレーキングで彼が突然インを閉めてきたため、僕にはどうすることもできなかった。フランスGPでフランス人同士が接触を起こしてしまい、いまはまだ心の整理がついていない」
これでブレンドン・ハートレーの1台だけになってしまったトロロッソ・ホンダ。ウルトラソフトを履いてスタートしたハートレーとチームは、事前に早いタイミングでピットインする作戦を選択肢のひとつに入れていた。
「ハートレーはパワーユニットの交換によってペナルティを受けて最後尾グリッドになり、予選で自分よりもペースが遅いマシンの後ろからレースをスタートすることになりました。そのため、その遅いマシンに引っかかって、前方のマシンに離されないよう、早めにピットインする予定でした」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)
ところが1周目に、アクシデントに見舞われたマシンだけでなく、ハートレーの直前のグリッドからスタートしていたウイリアムズの2台もピットイン。このままピットインしても、再びウイリアムズの後ろに回ってしまうため、チームはハートレーをステイアウトさせた。
さらにこのときチームは天気予報の情報を見ており「僕たちはレース中に雨が降ることに賭けた」というハートレーは、その後も雨が降るまで走り続けさせる戦略に変更した。
だが、雨は降らなかった。そのため、38周目にピットインしたハートレーは、最後尾までポジションを下げ、ギャンブルは失敗に終わった。
「序盤にエリクソンといいバトルをして、彼をオーバーテイクしたけれど、ピットストップの間に逆転されてしまった。その後は、ストレート区間でスピードが足りず、難しいレースとなった」(ハートレー)
アクシデントに見舞われ、ギャンブルに失敗したフランスGPのトロロッソ・ホンダ。しかし、運が味方しなかったことだけが、フランスGPで結果を残せなかった原因ではない。
レースを終えた田辺TDは、こう言う。
「相対的なパフォーマンスがわれわれが期待していたものよりも低かった。コーナーでのグリップ力はそんなに悪くなかったんですが、結果的にそれによってストレートが遅くなった。つまり、もう少しダウンフォースを削ることができたわけですが、それをどれくらい削ればいいのかという作業まで予選までにやりきることができなかった」
「エネルギーマネージメントのほうでも、もっと何かやれることはなかったのか。この結果を参考に、来年のフランスGPに対してだけでなく、今シーズンの残りのレースでより良い結果を出すために、チーム全体で解析しなければならない」