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ホンダ山本MS部長インタビュー(1):レッドブルとの提携について気になる疑問を直撃

2018年06月24日 22:21  AUTOSPORT web

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2019年はレッドブルとホンダがタッグを組んで戦うことに
6月19日にホンダは「レッドブル・グループとレッドブル・レーシングに対して、2019年から2年間、パワーユニットを供給することについて合意した」と、発表した。

 フランスGPを訪れていた山本雅史モータースポーツ部長に、合意までの経緯と、今後について尋ねた。

 今回の発表でまず気になったのは、発表では『契約』という表現ではなく、『合意』という表現が使われていたこと。これについて、山本部長は「「6月19日の発表は、いわゆるMOU(Memorandum of Understanding)、覚書を交わしたということです」と説明する。

「本契約を締結させるには詳細を煮詰めていかなければならず、非常に時間がかかります。『夏休み明けぐらいまでかけてやりましょう』ということをマルコさんと話しています」
 次に『2019年から2年間』という期間について。これは「契約期間の2年間は、レッドブルもホンダも同じ考えで、2021年からレギュレーションが変わるので、まず現行のレギュレーションで2年間一緒にやりましょうということです」という。



 合意相手が『レッドブル・レーシング』だけでなく、『レッドブル・グループ』も含まれているのも、気になるポイントのひとつ。

 これについて山本部長は「われわれはMotoGPでもレッドブルと仕事しているし、当然トロロッソもレッドブル・グループの一員です。そういうなかで、レッドブルとトロロッソに対して違いがなく、同じ条件で仕事をするため、レッドブル・グループとも契約することを選択しました」と明かした。

 そして、今回の発表でもっとも気にかかったポイント、つまりアナウンスメントで『ワークス』という文言が一切使用されなかった件を聞いてみた。事前の報道などでは、レッドブルとトロロッソの“ダブルワークス体制”となるというのが大方の予想だったからだ。

「われわれもその点は議論しました。そこで明確になったことは、われわれはレッドブルとトロロッソのそれぞれに対し、別々の開発は行わないということでした」と山本部長。

「レギュレーションで許される範囲でレッドブル・テクノロジーに軸足を置いて、同じ仕様、同じパフォーマンスのPU(パワーユニット)を、効率よく2チームに供給する。そうなると、ワークスとかセミワークスという言葉を使うのは適切ではないという結論に達しました」

 レッドブルが、パワーユニットをルノーからホンダにスイッチする大きな理由として、ワークス体制を希望しているとの見方が強いが、レッドブル側はそのことを了承しているのだろうか。

「レッドブル側もこの件は了承しています。マルコさんは『すべて同じPUのほうがデータをたくさん収集できるからいいよね』と。トロロッソからは『いまと条件が変わらないよね?』ということだけしか、言われていません。同じ仕様のPUにすれば、レッドブル・テクノロジーを通して、冷却系などのデザインもより精度が高くなると思います」