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桑田佳祐、明日開催!デビュー40周年キックオフライブについて語る「1曲目がこれだったら、びっくりすんぞー」

2018年06月24日 17:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 桑田佳祐がMCを務める『ニッポンハム ムーンライト・ミーティング 桑田佳祐のやさしい夜遊び』(JFN系列38局ネット)。6月23日の放送は6週に渡って放送された『デビュー40周年に向けて、サザンオールスターズ特集!』のファイナルとして、ライブと“歌詞”にフォーカスされた放送となった。


「6月25日で、サザンオールスターズ、おかげさまでデビュー40周年でございます。25日と26日、NHKホールにて“サザンオールスターズ キックオフライブ 2018『ちょっとエッチなラララのおじさん』”が開催されます。そして26日は、全国の映画館で、ライブビューイングも実施でございます」


 そんな挨拶から始まったこの日の放送。最初に取り上げられたメールは、「北海道のKANさんのラジオ番組で『エロティカセブン』がかかりました。そこでKANさんが、サビの最後の<セブン>のところは、作曲の時にできていたのでは、と言っていました。本当のところは?」というものだった。桑田は「KANくん、その通りです」と答え、「ギターを弾きながら曲を作っていくときに、歌詞の断片が口を突いて出ることがある」と明かした。「マンピーのG★SPOT」も、ミック・ジャガー気分で歌っていたら出てきた歌詞がベースになっているという。


 桑田は洋楽・邦楽問わず、もともと歌詞を意味ではなく、音として覚えてきたと語る。デビュー当時は周りの人に「メッセージがない」と言われたこともあったそうだが、その後、「あの歌詞は良かった」「意味はよくわからないけれど好きだ」と言ってくれるファンのおかげで、デビューから4~5年経ったころから、歌詞の意味について深く考えるようになったという。ただ、「勝手にシンドバッド」など最初期の楽曲についても、「思想も哲学もない歌詞だが、心象風景なのか、リズムなのか、何かある」と、多くの人の心を捉えた要因を分析していた。


 桑田は今後、“某所”で歌う予定だという「蛍の光」についても、「意味を考えたことはないけど、音は全部記憶されている。不思議なものだよね」と語っていたが、胸に心地よく残る、“音”の気持ちよさは、サザンの名曲たちにも通底している。この日もフルコーラスで流された新曲「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」においても、強いメッセージ性をたたえながら、歌詞の響きには不思議な心地よさがあり、若き日の感性が全く失われていないことが印象付けられた。


 歌詞についてのメールは続き、「『愛の言霊 ~Spiritual Message~』(1996年)の歌詞はどうやって思いついたのか」という質問も寄せられた。桑田は当時、ちょうどサーフィンに凝り始めた時期で、「梅雨の時期に、無風で波のない由比ヶ浜の沖から、陸地を眺めているという光景に痺れた。そこで材木座のお寺の鐘がなってね」と、歌詞に強い影響を与えた心象風景について語っていた。


 目前に迫ったキックオフライブについても、ファンの関心が集まっている。曲順の決め方を問われた桑田は、「一曲目をまず決めて、お客さんが喜んでくれそうな曲をリストアップ。メンバーの演奏も想像して、頭の中で並べて、携帯にセットリストを打ち込んで、マネージャーに送ってみるのが好きなのよ。『1曲目がこれだったら、びっくりすんぞー』って」と笑う。最後はもちろん、メンバーと楽器を持ちながら検討するそうだが、キックオフライブに向けての期待感を高めていた。


 キックオフライブのチケット当選を報告したリスナーからは、「『DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~』(2006年)の振り付けを復習している。私の努力、無駄に終わりますか?」という内容のメールが寄せられた。桑田は「本番前なので、曲をやるとかやらないとか、夢がないから言いたくないんですけど、『努力が無駄に終わるか』って言われちゃうと困っちゃうね……無駄に終わりません! あなたは正解です!」と、ついつい口を滑らせていた。「EBATOさんという振り付けの人がいるんだけど、“この曲をやると12年前の振り付けを覚えていて、一生懸命踊ってくれるお客さんがいるから、やろうよ”って、つい昨日話したの。ありがたいね」とのこと。NHKホールのチケットが取れたファンも、映画館でライブビューイングを楽しむファンも、あの振り付けをおさらいしておきたいところだ。


 今回の放送で印象深かったのは、「Bye Bye My Love」(1985年)を流した後に語られた言葉だ。桑田は「まだ30になる前の自分がここにいる。最近、年齢を重ねていくのを楽しんで生きよう、という考え方もあるんですけど、逆に、この頃の、何かにしがみつくような自分というものも忘れたくないなと。何も知らずに生きていて、よく失敗して怒られましたけども、この歌を聴くと、あの頃の自分は大事だな、という思いがございます」と語っていた。


 メッセージを深めながら、音としての心地よさを失わない歌詞もそうだが、キャリアと年齢を重ねた桑田佳祐というアーティストが、かつて持っていた「大事」なものを失ったようには全く思えない。25日、26日のキックオフライブも、いい意味でこれまでどおり、軽やかでユーモラスだが、しかし胸に深く染み込む、サザンオールスターズらしいステージを見せてくれることだろう。そして、ここまで精力的な動きを見せているサザンオールスターズだけに、40周年記念日はライブだけではない“何か”がある予感がするのは筆者だけではないだろう。


 次回はライブを終えての生放送となる。40周年というステージに踏み出した桑田が何を語るのか、全ての音楽ファンの注目が集まる放送になりそうだ。(文=橋川良寛)