フランスGP2日目の土曜日、ホンダは金曜日のフリー走行2回目でトラブルが発生したブレンドン・ハートレーのパワーユニットをすべて新しいものに交換した。
また金曜日の走行で、マイレージがまだ残っていた旧仕様のPUを走らせていたチームメイトのピエール・ガスリーも、予選とレースに向けて、カナダGPのレースで投入した新仕様のPUに積み替えていた。
現在のF1でPUは動力源であると同時に、マシンを構成する重要な一部になっている。したがって、PUを変えれば、セッティングがまったく同じでもフィーリングが変わってくる場合がある。さらに、PUによって、エンジンの設定を調整しなければならないため、PUを変えたときは確認走行が必要になる。
ところが、土曜日のポール・リカールは午後1時から開始されるフリー走行3回目が始まってすぐに雨が降り出すあいにくの天候となった。そのため、ガスリーもハートレーも完全なドライ路面でマシンのセッティングとPUのセッティングを確認することができないまま、予選に臨まなければならなかった。
ハートレーは「スタッフが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、マシンとPUのフィーリングは良かった」と語り、Q1の1回目のアタックではトップ10に入るスピードを見せていた。
しかし、2回目のアタックで渋滞につかまり、タイムが伸びずに17位に終わり、Q1で敗退した。ただし、この日PUを交換していたハートレーはすでにグリッドペナルティを受けており、最後尾からのスタートが決まっていたため、今回の予選はいわばレースに向けたテストセッションだったともいえる。
その予選で「クルマのフィーリングはとてもいいから、日曜日のレースはポジティブ」と抱負を語っていた。
チームメイトのガスリーは、Q2に進出したものの、最後のアタックでタイムが伸びずに14位に終わった。
予選後、ガスリーは「第2セクターのロングストレートで失速した。何が問題か分析しないといけない」と語ったが、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは「PUのデータ上に明らかな問題はなかったと思います」と、デプロイの設定ミスやPUのトラブルではないと語った。
考えられることは、トロロッソの車両パフォーマンス責任者を務めるギヨーム・デゾトーが言うように、マシンバランスの変化だったと考えられる。
「ピエールは最後のアタックでひどいアンダーステアに苦しんだ。何が問題だったのかを理解するためにこれからデータを分析したい」(デゾトー)
予選では、マシンに対するフィーリングが異なっていたトロロッソ・ホンダの2人。それが日曜日にどのような影響を与えるのか。28年ぶりのポール・リカールでのF1は、手探りの状況の中で、スタートが切られようとしている。