2018年06月24日 09:12 弁護士ドットコム
犬のフン投げ捨ては、罰金50万円ーー。宇都宮簡裁で5月、栃木県迷惑防止条例違反の罪(嫌がらせ行為の禁止)に問われた宇都宮市の会社役員男性(72)に対して、罰金50万円の略式命令が出されたと朝日新聞が報じた。
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報道によると、男性は2017年3月から4月、3回にわたって宇都宮市内の住居前の路上に犬のフンが入ったポリ袋を投げ捨てた。男性が犬のフンを放置しようとしていたところ注意され、逆恨みにより、後日になって投げ捨て行為に及んだという。
投げ捨てられた側の住人が、自宅前にカメラを設置して行為を記録していたことが特定につながる大きな要因だったようだ。男性は既に罰金50万円を納付したという。
罰金50万円は、当時の栃木県迷惑防止条例が定める罰金の最高額で、検察側の求刑通りだったと伝えられている(条例改正で、いまの罰金最高額は100万円)。身近な近所トラブルに対し、裁判所が厳しい姿勢で臨んだということなのか。近藤公人弁護士に聞いた。
ーーなぜ罰金の最高額になったと思われますか
「犬・猫が嫌いな人もいますので、飼主はマナーを守るべきでしょうし、フンを持ち帰るのは、飼い主にとって、最低限のルールです。今回は、最低限のルールを守らなかっただけではなく、犬のフンが入ったポリ袋を投げ捨てた行為を注意され逆恨みをして、3回も投げ捨てたことで、罰金の最高額になったと思います」
ーー仮に、注意されたことに対して謝罪するなどの対応をしていれば結果は変わったでしょうか
「はい。注意をされても謝罪をしていれば、罰金にもならなかったでしょうし、一般的には初犯であり、悪質でなければ罰金30万円程度でしょう。最高額での罰金刑にしたことから、『次にやったら罰金はないよ。正式裁判で懲役刑だよ』というのが裁判所の意思といってよいでしょう」
ーーペットのフンをめぐるトラブルで正式裁判になることもあるのですか
「私も、猫のフンで近隣トラブルとなり、正式裁判まで発展した刑事事件を受けたことがあります。この事件では、執行猶予付きの懲役刑となりました。
たかが犬・猫のフンと思わずに、飼主のルールはきちんと守り、近所・近隣トラブルにならないようにしましょう。逮捕勾留されたら、愛犬、愛猫に会えなくなり、また愛犬、愛猫もさみしがりますよ」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
近藤 公人(こんどう・きみひと)弁護士
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。
事務所名:滋賀第一法律事務所
事務所URL:http://shigadaiichi.com/