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「日大の中枢部に寄生する人々」がターゲット、今度は「雇い止め」で非常勤講師8人が怒りの提訴

2018年06月22日 19:52  弁護士ドットコム

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日本大学から不当に雇い止めをされたり講義のコマ数を減らされたりしたとして、日大で英語などを教えていた8人の非常勤講師が6月22日、日大を相手取り、東京地裁に雇い止めが無効であることの確認を求める訴えを起こした。あわせて、1人あたり20万円の慰謝料なども求めた。原告や原告を支援する首都圏大学非常勤講師組合が同日会見し、明らかにした。


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●原告「契約更新への合理的期待がある」

訴状などによると、日大は原告ら非常勤講師を採用するにあたって、新学部である危機管理学部とスポーツ科学部の設立を見据え、「平成28(2016)年4月からご担当願います」「平成32(2020)年3月までは継続してご担当いただきますよう、お願いいたします」と記したペーパーを渡していた(ペーパーの日付は、2014年11月25日付)。


ところが2018年3月をもって雇い止めにされたり、コマ数を減らされたりした。原告側は「4年間の雇用期間まで更新される旨の合意が存在しており、仮に合意の存在が認められなくても、4年間の契約更新への高い合理的期待がある」と主張している。会見で代理人の中川勝之弁護士は「4年間という合意は明確にあったと思う。鋭意、戦っていきたい」と話した。


また、日大が講義を外部の民間組織に委託したため、そのぶん講義のコマ数を減らされた非常勤講師もいる。それにより、多い人で月額20万円前後の賃下げになったという。原告側は、委託した講義で、日大の専任教員が出す指示のとおりに委託先の講師が動いているとして、「偽装請負となっている疑いが強い」とも指摘している。


●日大による非常勤講師ゼロ化計画か

原告団の真砂久晃団長は会見で、「今回私たちが是正を要求するのは、日大の中枢部に寄生し、非常勤講師を良心の呵責もなく使い捨て、教職員をこき使って何食わぬ顔をしているわずかの人々に対して」だとし、「非常勤講師を含む教職員を人間扱いしない人に、学生が守れるはずがない」と語った。


別の非常勤講師の男性は「ルールを無視して、働く者の権利をないがしろにして、色々な事柄を隠蔽して対処しようとする姿勢に疑問を持っている。教育機関として、正しい判断をしてほしい」と求めた。


原告側が入手した日大人事部の内部文書「非常勤講師に係る対応について」には、「非常勤講師の無期転換権発生を認めるということは今後の大学運営に支障をきたす可能性が大きいことを考慮に入れる必要がある」と記されていたという。このため、原告側は、「日大による非常勤講師ゼロ化計画だ」と批判している。


無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールのこと。賃上げの保証はないが、予期せぬ契約打ち切りに怯える必要がなくなる。


(弁護士ドットコムニュース)