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ドリカム吉田美和からGLAYまで……MACOが歌い継ぐ北海道出身アーティスト珠玉のラブソング

2018年06月22日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 今年デビュー5年目を迎えるシンガーソングライターのMACOが、6月20日にベストアルバム『BEST LOVE MACO』をリリースした。これまで幅広い世代の共感を呼ぶ歌詞や、伸びやかで情感あふれる歌声で支持を集めてきた彼女。自身初となるベストアルバムには、大ヒットした1stシングル「LOVE」をはじめ、”わしまこ”コンビとしてファンにはおなじみ、E-girls鷲尾伶菜とのコラボ曲「Dear My Friend feat. 鷲尾伶菜 (E-girls / Flower)」、テレビ東京系ドラマ『東京センチメンタルSP~御茶ノ水の恋~』の主題歌に抜擢された「君のシアワセ」など全17曲が収録された。発売にあたっては、「私がデビューしてからいままで好きでいてくれてるみんなに、感謝の気持ちを込めてこの作品をリリースします。昔のMACOといまのMACOが詰まったベストアルバム、ぜひたくさんの人に届きますように」とのコメントを発表。シンガー・MACOの5年間の歩みをギュッと詰め込んだ、まさに集大成的な作品に仕上がっている。


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 2014年にメジャーデビューしたMACOだが、そのきっかけとなったのはYouTubeに投稿されたテイラー・スウィフトの「We Are Never Ever Getting Back Together」の日本語カバーだったことはよく知られている。本作はテイラー本人からお墨付きをもらったばかりか、公開されるやいなや大反響を巻き起こし、現在までに1600万回再生に達するヒットを記録。洋楽に独自の日本語詞を付ける試みは、若い世代を中心に大きな話題となった。このほか、アリアナ・グランデやマイリー・サイラスらもレパートリーに持つ彼女だが、実は日本人アーティストのカバーでも高い評価を得ている。


 たとえば、昨年5月にリリースした3枚目のシングル「恋するヒトミ」には、AIの「Story」のカバーが収録され、「良い意味で違う曲に聴こえる」「透明感がすごい」と、ファンを魅了した。また、BS-TBSの人気音楽番組『SEIKO presents Sound Inn “S”』に出演した際には、徳永英明の「壊れかけのRadio」を披露。この時のパフォーマンスが評判を呼び、同番組初の映像配信も行われたという。


 極めつけは、2ndアルバム『love letter』リリース時、iTunes限定で収録されたDREAMS COME TRUEの「未来予想図II」のカバーに挑戦したこと。楽曲を聴いた中村正人がブログで言及し、「もはやカバーしたなんていう表現も必要ありません」と絶賛し、DREAMS COME TRUEを愛するアーティストが思い入れのある楽曲を独自の解釈でカバーしたコンピレーションアルバム『The best covers of DREAMS COME TRUE ドリウタVol.1』の中にも収録されることに。原曲へのリスペクトを持ちながら、類い稀な歌声で自分の色に染め上げるMACOのカバーが、リスナーだけでなく、アーティスト自身からも求められるものであることがよくわかる。


 そんな彼女が今作『BEST LOVE MACO』で挑んだのは、GLAY初のミリオンセラーともなった1997年のヒットソング「HOWEVER」。カバーの経緯については、「常に家で流れていた音楽で、26歳になった私はふいにこの曲を去年の終わり頃聴いた時、こんな歌詞だったんだって涙が止まらなくて。幼かった頃わからなかった言葉の意味とか、いまの自分にフォーカスして聴いてしまったりもして。改めてこの曲をカバーしたいと思いました」と語るなど、思い入れの強さも伝わってくる。実際聴いてみると、永遠の愛を歌う壮大な世界観のなかに、女性目線の切なさ、柔らかさが加わり、また違った表情を見せてくれていることに気づく。今後は原曲同様、ウエディングソンングとしても引き合いが増えそうな予感だ。奇しくも、先に述べたDREAMS COME TRUEの吉田美和、そしてGLAYとも、MACOと同じ北海道出身。同郷のアーティストの楽曲を積極的にカバーする姿勢には、先人へのリスペクトとともに、歌手を夢見ていたころに抱いていた憧れや、歌うことへの喜びがあふれているようにも思える。いずれ彼らと肩を並べる北海道を代表するラブソングの名手となる日もそう遠くないだろう。


 今後は『BEST LOVE MACO』リリース記念のイベントが全国各地で開催されるほか、8月14日には初ワンマンを行った思い出の地、恵比寿リキッドルームにて一夜限りのスペシャルワンマンライブも決定。節目の年を迎え、さらなる高みへと飛び立とうとするシンガー・MACOから目が離せない。(渡部あきこ)