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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメは『オンリー・ザ・ブレイブ』

2018年06月22日 17:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、炎どころか梅雨のジメッとした暑さすら耐えられない、リアルサウンド映画部の軟弱侍・安田が『オンリー・ザ・ブレイブ』をピックアップ。


参考:<a href=”http://www.realsound.jp/movie/2018/05/post-199501.html”>サノスはなぜ単純な悪ではない? ダースレイダーの『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』評</a>


 山火事と戦う、実在の精鋭消防部隊“グラニット・マウンテン・ホットショット”を描いたジョセフ・コシンスキー監督作品。日本では、高温多湿な気候からあまり馴染みのない山火事だが、アメリカやカナダなど乾燥した地域においては、日本における地震のように人々に恐怖を植え付ける存在である。


 山火事消防は、我々に馴染みのある消防車とホースで水による消火という手段を取らず、炎の周囲の木々を先に燃やしてしまい、延焼を防ぐといった手段が取られる。気象の変化で予想だにしない燃え広がりを見せるなど、まるでモンスターのように襲い掛かる山火事に対抗するため、ホットショット部隊の若者たちは過酷な訓練を強いられる。彼らが何キロにも及ぶ山を駆けずり回り、荒れた野道を車で、空からヘリコプターでと、様々な手段で山に挑戦し、一糸乱れぬ連携で防火帯を築き上げるさまは、まさに圧巻の一言だ。


 山火事と戦う個性豊かな男たちを束ねるのは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『デッドプール2』と最近話題作で重要な役どころを演じているジョシュ・ブローリン。最恐ヴィランから、部下からの信頼厚いおじさんへと見事な変貌を遂げた。そのほか『セッション』にてJ・K・シモンズと激闘を見せたマイルズ・テラーが、娘が生まれたことをきっかけに真っ当な人生を歩もうとホットショットに入隊する薬物中毒者を演じる。


 また、ホットショットを取り囲む人間関係にも注目だ。町では、命を懸けて山火事に挑む彼らを英雄扱いする者も多い。しかし、アメリカの国中のさまざまな地域に派遣されるホットショット部隊は、山火事シーズンになると長期に渡り家を空けることも少なくなく、彼らの家族たちは出動要請がかかる度に、帰らぬ人となるかもしれない夫を送り出し、不安で眠れぬ日々を過ごすのだ。


 人間ドラマと男たちの熱き闘いが混ざり合い、物語はある一つの結末に向かって進んでいく。どこにでもいるような若者が真の英雄になるとき、涙が溢れて止まらない。早くも夏バテ気味の男性諸君にぜひ観ていただきたい1本だ。(リアルサウンド編集部)