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【小松礼雄のF1本音コラム】フランスGPから“6連戦”。小規模チームを悩ませる過密スケジュール

2018年06月22日 16:11  AUTOSPORT web

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ロマン・グロージャン(ハース)
現役日本人F1エンジニアとして、ハースF1でチーフを務める小松礼雄エンジニア。F1速報サイトで好評連載中のコラム、今回はF1第6戦モナコGPをふり返り。現在のF1で起きている真相と、現場エンジニアの本音を読者のみなさまにお届けします。

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 マシンのアップデートを入れたカナダGPですが、ロマン(グロージャン)が12位、ケビン(マグヌッセン)が13位という残念な結果に終わりました。ただ、アップデート自体は機能していたと思いますし、前回のコラムで懸念していたパーツの脱落問題も解決できていたので、そこに関しては良かったと考えています。

 カナダGP初日の金曜日はマシンの安定性があまり良くなかったのですが、セッティングを変更してFP3へ臨んだ結果バランスが改善し、ロマンも手応えを感じていました。しかし、ハイパーソフトを履いて1周アタックした時点でパワーユニットに問題が発生してしまい、その後FP3での走行はできなくなってしまいました。

 トラブルの原因としてあやしい部分は分かっていたのですが、FP3から予選までは2時間しかないため、それらをすべて交換することはできませんでした。時間内で換えられるパーツだけを交換して予選を迎えたものの、正直なところタイムアタックをできない可能性は高いと覚悟していました。

 しかし、現実はアウトラップどころか、ピットレーンからも出られず……。ロマンは、残念ながらコースインもできないまま、Q1を終える結果となりました。

 パワーユニットの問題なので僕らにはどうしようもできないのですが、モナコGPのようにパフォーマンスが振るわなかったグランプリではなく、しかも調子が良く予選で上位につけられそうだったロマンにトラブルが出てしまったのは、本当に残念でした。

 一方のケビンはモントリオールのサーキット特性と新しいマシンにうまく対応できず、FP1の出だしからロマンに対して一歩遅れていました。

 モントリオールのような壁に囲まれたサーキットでは、ドライバーがどれだけマシンに自信を持って攻められるか、縁石をアタックできるかが重要になるのですが、ケビンは苦労していました。

 ケビンは予選前の最後のFP3でもロマンより0.4秒くらい遅かったのです。コンマ4秒で順位は7番手から14番手まで落ちるので、最悪の場合はQ1敗退もあるかもしれない……と危惧していました。

 結果としてケビンは予選を11番手で終えましたが、FP3までの状態を考えると、よく挽回してくれたとは思います。しかし、以前にも書きましたが、F1のレベルで遅れを取り戻すというのはなかなか難しいんです。
 
 ですから、今回の週末からケビンが学ばなければいけないことは「いかにフリー走行1回目からきちんと合わせることが重要か」ということです。

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