2018年06月22日 10:32 弁護士ドットコム
「ふたりで旅行に行きたいな」、「一緒になったら人生違っていたかも」。結婚した友人の男性とこんなメールを送りあっていた既婚女性が、「男性の妻から不倫を疑われて困っている」と弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せました。
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女性によれば、相手の男性はあくまで友人。しかし「価値観が一致」しているそうで、仕事や家庭のことで行き詰まったときは、メールや電話で励まし合っていました。会うことはありませんでしたが、「ふたりで旅行に行きたいな」などといった誤解を与えかねないメールのやりとりをしていました。
そんなやりとりが男性の妻にバレ、男性からは「メールも立派な不倫だと妻に言われた。離婚になりそうだ。一緒に謝罪してください」と言われました。
このようなメールや電話のやりとりだけでも、男性の妻が言うように「立派な不倫」なのでしょうか。また、慰謝料請求される可能性はあるのでしょうか。田中今日太弁護士に聞きました。
今回の相談者のようなメールや電話のやりとりは、「不貞」になるのでしょうか。
「どこからかが不倫なのかは人それぞれ考えがありますが、法律上は不倫や浮気という言葉はありません。いわゆる性的関係を結ぶことを、法的には『不貞行為』といいますが、不貞行為があった場合には慰謝料請求が認められます」
今回はメールや電話で励まし合っていた程度で、性的関係はなかったようですが…。
「『一緒になっていたら人生違っていたかも』や『ふたりで旅行に行きたいな』というメールは、不貞行為にはあたりません。今回は、2人で会ってもいない状態なので、このメールのやりとりだけでは、慰謝料請求は認められない可能性が高いです。
ただ実際に、2人で頻繁に会っていたり、旅行、特に泊りがけの旅行に行ったりなどすると、不貞行為があったと推認されて、慰謝料請求が認められる可能性があります。
また、今回は、謝罪を求められていますが、やましいことがないのに下手に謝罪をしてしまうと、相手に証拠を与えることにもなりかねませんので、注意しましょう。
いきなり慰謝料の請求がくるのは怖いですよね。異性の友人同士、仲が良いのは良いことなのですが、配偶者の方に誤解を与えてしまうような表現は控えた方がよいでしょう」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田中 今日太(たなか・きょうた)弁護士
大手法律事務所で管理職を経た後、独立して法律事務所ロイヤーズ・ハイを設立。2018年4月には弁護士法人化し、大阪の難波と堺に事務所を構え、地元大阪に密着し、クライアントのために誠心誠意活動することを信条にしている。
事務所名:法律事務所ロイヤーズ・ハイ
事務所URL:https://www.lawyers-high.jp/